- はじめに
- 序章 今,教育に必要なのは「マネジメント」
- 変化を求められる教師
- マネジメントとは何か
- 教師にとってのマネジメントとは
- 組織をつくり,育てていきながら成果を出す
- 成果を出すとは
- 第1章 学級経営に生かす「マネジメント」
- 1 学級経営に生かす「マネジメント」理論
- @ 学級目標とマネジメント
- A 子どものみとり
- B 学級組織のマネジメント
- 2 日々の学級経営「マネジメント」実践
- @ 学級だより
- A 朝の会,帰りの会
- B 学習規律
- C 教室環境
- D 教室掲示
- E 休み時間
- F 給食
- G 掃除
- H 当番,係活動
- I 班活動
- J 席替え
- K 部活動
- L リーダーの育成
- 3 年間を通じた学級経営「マネジメント」実践
- @ 学級開き
- A ルールづくり
- B 家庭訪問,学級懇談会
- C 遠足
- D 水泳の授業
- E 夏休み
- F 林間学校
- G 漢字・計算コンクール
- H 音楽会
- I 運動会
- J マラソン大会
- K 修学旅行
- L 卒業式
- 第2章 生徒指導に生かす「マネジメント」
- 1 生徒指導に生かす「マネジメント」理論
- 生徒指導の視点
- 2 生徒指導に生かす「マネジメント」実践
- @ 登校指導
- A 始業チャイム入室,着席
- B 授業の始業,終業の号令
- C 整列,人員点呼
- D 昼食指導
- E 昼休みの過ごし方
- F 下校指導
- G 子どものほめ方
- H 職員室入退室の礼儀指導
- I 児童会・生徒会活動
- J 暴力行為・危険行為対応
- K 別室指導
- L 同僚とのチームワーク
- 第3章 授業に生かす「マネジメント」
- 1 授業に生かす「マネジメント」理論
- @ なぜ授業にマネジメントが必要なのか
- A 授業における成果
- B 授業の基本形
- C 授業づくりの軸
- 2 授業に生かす「マネジメント」実践
- @ 教師の役割
- A 指導の技術
- B 教授法研究
- C 見通しのもてる授業
- D 学ぶしかけ
- E 学び合える集団
- F 学習環境
- G 学習促進のための評価
- H テスト学習
- I 道具
- J 授業力の向上
- 第4章 教師生活を豊かにする「マネジメント」
- 1 教師生活を豊かにする「マネジメント」理論
- 自己管理の大切さ
- 2 教師生活を豊かにする「マネジメント」実践
- @ プライベートとのバランス
- A 同僚とのコミュニケーション
- B 保護者との関わり
- C 悩みの解決法
- D トラブルに打ち勝つ
- E アイデア・笑顔で
- 終章 教師として成長するための「マネジメント」
- 試される教師
- タイムマネジメントをして自己管理できる教師
- プラットフォームとしての自己成長ができる教師
- 常に発信型として学び続けることができる教師
- 参考文献・資料
- おわりに
はじめに
現在,教育現場では,「教師が何を教えたか」ではなく,「子どもがどれだけ学んでいるか」という,成果が求められてきています。また,児童生徒や家庭,地域社会に変化が起こり,教師の仕事の多様化と多忙化が加速してきています。
従来型の学級経営や授業が通用しなくなる場面がでてきています。
学級崩壊や,休職や早期退職は身近な出来事となりました。
学級経営や授業のあり方を見直す必要がでてきています。
それでは,どのように見直せばよいのでしょう。本書では,マネジメントの考え方に着目しました。
マネジメントとは単なる組織の管理ではなく,本質を考え,人を生き生きとさせ,そして成果を上げることです。
ドラッカーは,組織が卓越した成果を上げるために「経営の5つの質問」(P. F.ドラッカー『経営者に贈る5つの質問』ダイヤモンド社)を投げかけています。
1 われわれのミッションは何か?
2 われわれの顧客は誰か?
3 顧客にとっての価値は何か?
4 われわれにとっての成果は何か?
5 われわれの計画は何か?
この5つの質問をもとに学級経営や授業のそれぞれの場面をマネジメントの視点による定義,成果,具体的な実践として捉えなおしました。
例えば,授業における「見通し」は次のようになります。
通常,授業における「見通し」は,趣旨説明や段取り,見当とされていますが,マネジメントの視点では,「見通し」を「授業の型(授業の流れ)」として考えました。
見通しをもたせるために授業の型をつくり,目的(何のために学習するのか),目標(何が求められているのか),手順のそれぞれを伝えます。扱う内容は毎時間異なりますが,授業の流れは同じになります。
型があることで説明の時間が減り,学習活動の時間が増えます。活動の質が高まります。やるべきことがわかっていれば,事前に準備をしてきたり,予習をしてきたりといった,自発的な行動を引き出しやすくなります。また,一度きりではなく継続することで,得た経験を次に生かすことができます。学習の積み重ねが起こりやすくなります。
授業の型の実践例として,社会科におけるまとめがあります。全単元でプレゼンテーションを行うというものです。ポイントは,毎単元必ず行うことと,準備を2時間に限定すること,発表は小グループで何度も行うことです。書くまとめもありますが,発表を繰り返すことにより,調べたことが何度も反芻されます。さらに,質問タイムをとることで学びに深まりが見られます。継続して行う中で,家庭や休憩時間も使い意欲的に取り組む姿や,情報収集ならびに発信する力の高まりが見られるようになります。
「見通し」を「授業の型」として捉えなおすことで,実践アイデアが生まれ,成果を上げやすくなります。あいさつやテスト,遠足などもマネジメントの視点から見ることで改善ポイントが浮かび上がってきます。
マネジメントによるアプローチから,現状を把握し,あるべき姿を一緒に考えてみましょう。きっと新たな可能性が広がっていくことと思います。
子どもたち,そして教師自身が,今よりももっと楽しく充実した毎日を送る契機になれば幸いです。
2012年9月 /山田 将由
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- 明治図書
- 教師の仕事を概観するのには適した本である。いろいろ再確認もできた。2014/8/19學び魂