特別支援教育を変える授業づくり・学級づくり3
自立への挑戦と授業づくり・学級づくり
中学校〜高校

特別支援教育を変える授業づくり・学級づくり3自立への挑戦と授業づくり・学級づくり中学校〜高校

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思春期以降の自立に立ち向かう生徒への支援と実際を示す

通常の学校で、障害のある子どもの支援が本格的なスタートを切った。「気になる子」と日々向かい合う中で、その行動の改善だけに目を向けていていいはずはない。では、中学校から高校の教育実践をどう組み立てたらよいのか、その鍵を授業づくりと学級づくりに探る。


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ISBN:
978-4-18-051370-3
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
対象:
中・高
仕様:
A5判 152頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
T章 子どもの生活力の育成と特別支援教育
/湯浅 恭正
1 現代の子どもと生活力
(1) 現代の中学生と生活づくり
(2) 発達障害児と生活
2 学級づくりと特別支援教育
(1) 基礎集団としての学級
(2) 特別な場所・ルールと学級づくり
3 学びの願いに応える
(1) 学習の困難さを支援する
(2) 学ぶことへの意識の育ちとリアルな学びを支援する
(3) 「できる」「できない」の世界を越えていく学び
U章 中学・高校の学級づくりのポイント
*多様な子どもがつながる生活づくり* /中川 拓也
1 中学校の学級の特徴
2 中学校の学級づくりのポイント
(1) 最も課題の大きい子どもを学級づくりの柱にする
(2) 子どもは縦糸と横糸で分析する
(3) 横糸を紡ぎながら縦糸を紡ぐ方針を持つ
(4) 指導で負けないようにする
3 授業への参加と生活指導との連動性
(1) 課題の大きな子どもたち
(2) 予想外の淳
(3) 分析と方針を立てる
(4) 淳を指導する
V章 学びの共同化を実現する授業・学級づくり
*ゼロ・トレランスを越えて* /福田 敦志
1 学びのなかで傷つけられる子どもたち
(1) ゼロ・トレランスを支える子どもと大人
(2) 授業を妨害する子どもたちと授業のなかで息を潜める子どもたちとの共通点
(3) 課題としての「学びの共同化」の追求
2 学びにおけるケアすることとつなぐこと
(1) 教師の善意に基づく行為に潜む攻撃性
(2) 固有名詞の尊重と合意の重要性
(3) 指導への合意の調達と「特別ルール」の開放性
3 学びを共同化していく視点と方法
(1) 「特別なニーズ」と教材研究
(2) 学びへの参加を保障するルールづくりのもつ意味
(3) 学びの発展と集団の発展の相互関係
4 おわりに
W章 PISA型読解力の育成と特別支援教育
/新井 英靖
1 PISA型読解力を育成する
2 読解力の指導と特別支援教育の関連性
3 読解力を育てる国語の授業改善の視点
(1) 意味のまとまりを作る支援
(2) 理解した内容を活用したり,表現するときの支援
4 鑑賞力をどこまで支援するか?
X章 英語の「つまずき」と指導の工夫
/北川 慎一
1 特別支援を必要とする子どもとは
2 すさまじい2極化
3 授業は歌でスタート
4 辞書引きで授業参加を
5 スタンプで授業参加を評価
6 教え合いのある授業
7 自己表現はこころを開く
8 5行英詩づくり
9 子どもたちの声に寄り添う
Y章 特別に支援する集団ではなく「ともに生きる集団」に
/上田 華
1 浩一との出会い *このタイプの子は誰も受け持ったことがなかった*
2 私たちの方針 *とにかく最善の道を探そう*
3 授業でのトラブル *頭では分かっていても「なんでやねん!」*
4 この苦肉の策が浩一とつながる第一歩に *隠された浩一の要求だった*
5 ついにその日が来た *浩一の気持ちをみんなの前に*
6 「おまえなんかもう歌わんでええわ」 *2年生 流血と感動の涙 合唱コンクール*
7 浩一を仲間とつなぐ *支援される関係ではなく*
8 浩一がいて当たり前の学級 *違っててもええんや*
Z章 中学生に対する多様な学習教室の組織化
/井上 真理子
1 中学校の学習の特徴
2 中学生の学力差の実態
3 多様な学習支援の必要性
4 学習サイクルを活用した学習支援
5 教員相互の共通理解
6 保護者との学習支援上の連携
7 「わかる」授業から生まれるもの
[章 新しい生活指導のかたち
*自己理解と他者理解を基盤にした関係づくり* /熱田 智
1 申し送り事項と家庭の様子
2 入学早々
3 校外学習から体育大会まで
4 「メガネがない!」
5 ゴンの“癒し”アイテム
6 移動教室で
7 1年3学期
8 2年生に進学 *1学期の様子*
9 2年2,3学期 *総合学習の取り組みから*
10 3年生になって *1学期の様子*
11 進路に向けて
\章 専修学校における特別ニーズ教育の実践
*高校生,大学生そして成人へ* /安達 俊昭
1 はじめに
2 この時期にこそ必要な学びがある
3 「次の目標」の前に
4 この人に「今」必要なこと,「将来」必要なこと
5 Aくんの3年間 *現在本科3年生*
6 青年期の学び *社会で学ぶ,余暇を楽しむ*
7 Bくんの5年間 *本科から進学し専攻科を卒業した学生*
8 在学中に成人を迎える専攻科 *生涯支援への足掛かり*
9 障害のある人の社会生活
10 さいごに
【コラム1】 PISA型学力とその指導 /新井 英靖
【コラム2】 教科の専門性と授業研究 /湯浅 恭正

まえがき

 平成19年に特別支援教育がスタートして2年になる。通常の学校で障害のある子どもの支援が本格的に取り上げられ出したのだから,画期的なことであった。特別な支援に必要な教育条件やコーディネーター等の体制の整備,発達障害児の理解とそれに応じた支援方法の研修が主に議論されてきた。しかし,発達障害を含めて「気になる子」への対応が求められる日々の学校で教育実践をどう進めるのか,そのための理論と方法はまだまだ明らかにされてはいない。


 この全3巻シリーズは,特別支援教育を変え,教育実践をつくり出すための方向を展望する。その柱は「授業づくりと学級づくり」である。先生方が積み重ねてこられた授業や学級づくりの指導力が十分に発揮されるとき,特別支援の努力は実を結ぶからである。日々の教室では,ともすれば発達障害の子どもの行動とその改善だけに目を向けがちである。授業をつくり,学級づくりの充実を図るという教育実践の基本に立ち帰ることが,特別支援教育を変えるための鍵だと考える。


 授業づくりでは,◯特別支援の視点からこれまでの授業づくりをふりかえり,◯新しい授業方法の開発をめざして,特別支援教育を変える実践の方法を展望する。

 授業の基盤である学級づくりでは,◯生活指導と学級づくりの原則をふまえ,◯特別な支援と集団づくりを結びつけ,学級づくりの場面で必要な実践の方法を示す。

 この第3巻では,中学校を中心に,この時期の授業づくりと学級づくりの方向を展望する。高校を含めて,思春期以降の自立に立ち向かう生徒への支援と実践の柱は次の三つである。


 @ 自立に挑戦する生活力をどう育てるか

 A 教師間の連携によって学習の支援をどう計画するか

 B 進路を見通した自己形成と仲間づくりをどう展開するか


 9本の実践と理論では,◯生徒理解(自立の課題に揺れる生徒に寄り添う支援の方法),◯教科の指導(苦手な教科への対応と多様な学習支援のあり方),◯仲間づくり(高校段階以降を見通した長い目で,集団づくりを進める方法)が示されている。


 特別支援教育の成果を焦れば焦るほど,子どもたちの成長にはつながらず,取り組みが振り出しに戻ることさえある。同僚や保護者とつながりながら,じっくりと実践をつくる姿勢が求められる。このシリーズでは,教科指導や生活指導を軸に特別支援教育を変えようとされてきた方々にご協力いただいた。じっくりと,しかし,確かな理論と方法に支えられた授業と学級づくりを進め,特別支援教育を変えようと日々努力されておられる先生方に広くご活用いただき,教育実践の展望を開いていくための一助になれば幸いである。

 本シリーズの刊行にあたって,明治図書の長沼啓太氏には企画段階から大変お世話になった。衷心よりお礼申し上げたい。


  平成21年3月   /湯浅 恭正

著者紹介

湯浅 恭正(ゆあさ たかまさ)著書を検索»

1951年島根県生まれ。1979年広島大学大学院教育学研究科博士課程退学。徳島文理大学家政学部,香川大学教育学部を経て,2005年より大阪市立大学大学院文学研究科・文学部教育学教室教授。日本教育方法学会理事,全国生活指導研究協議会指名全国委員。専門は教育方法学,特別ニーズ教育論

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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