- まえがき
- T章 特殊教育から特別支援教育へ
- /宮崎 直男
- 1 制度の改正
- 2 求められる40の教師力
- (1) 応用力/ (2) 解決力/ (3) 学習力/ (4) 観察力/ (5) 感受力/ (6) 記憶力/ (7) 企画力/ (8) 技術力/ (9) 計画力/ (10) 経験力/ (11) 継続力/ (12) 現場力/ (13) 構想力/ (14) 行動力/ (15) 思考力/ (16) 持続力/ (17) 実現力/ (18) 実行力/ (19) 実践力/ (20) 指導力/ (21) 情報力/ (22) 説得力/ (23) 先見力/ (24) 創造力/ (25) 想像力/ (26) 組織力/ (27) 調査力/ (28) 調整力/ (29) 挑戦力/ (30) 伝達力/ (31) 洞察力/ (32) 読解力/ (33) 発想力/ (34) 判断力/ (35) 評価力/ (36) 表現力/ (37) 文章力/ (38) 分析力/ (39) 理解力/ (40) 論理力
- 3 指導計画
- (1) 年間指導計画
- (2) 個別の指導計画
- 4 個別の教育支援計画
- 5 交流及び共同学習
- U章 特別支援学校(知的障害)で求められる教師力
- /埼玉大学教育学部附属特別支援学校
- 1 個別の指導計画 /多田 明彦 /河合 賢治
- (1) 単元の指導計画と個別の配慮*生活単元学習の実践をもとに
- (2) 題材学習の指導計画と個別の配慮*題材学習「国語」の実践をもとに
- 2 個別の教育支援計画 /内河水 穂子
- (1) 家庭との連携と個別への配慮
- (2) 福祉との連携と個別の配慮
- (3) その他の連携と個別への配慮
- 3 交流及び共同学習 /古橋 立哉 /池澤 健
- (1) 交流会なんて嫌い!?
- (2) 附属小学校との交流における工夫
- (3) 附属中学校との交流における工夫
- (4) ともに生きていく社会のための「種まき」
- 4 校内支援体制の整備 /永妻 恒男
- (1) センター的機能を効果的に発揮するための校内組織
- (2) センター的機能の充実と教員一人ひとりに求められる教師力
- (3) 地域支援の体制整備における今後の課題
- V章 特別支援学校(肢体不自由)で求められる教師力
- /斉藤 正志
- 1 個別の指導計画
- (1) 単元の指導計画と個別への配慮
- (2) 単位時間の指導計画と個別への配慮
- 2 個別の教育支援計画
- (1) 家庭との連携と個別への配慮
- (2) 福祉との連携と個別への配慮
- (3) 医療との連携と個別への配慮
- 3 交流及び共同学習
- (1) 小・中学校との交流及び共同学習
- (2) 居住地域における交流及び共同学習
- 4 校内支援体制の整備
- (1) 教師の資質向上
- (2) 特別支援教育センターとしての役割
- W章 知的障害特別支援学級で求められる教師力
- 1 個別の指導計画 /長江 清和
- (1) 一単元の指導計画と個別への配慮
- (2) 一題材の指導計画と個別への配慮
- (3) 一単位時間の指導計画と個別への配慮
- 2 個別の教育支援計画 /長江 清和
- (1) 家庭との連携と個別への配慮
- (2) 福祉・その他の機関との連携と個別への配慮
- 3 交流及び共同学習 /板倉 伸夫
- (1) 支援籍学習の取組み
- (2) 通常の学級との交流及び共同学習
- (3) 交流及び共同学習の充実
- 4 校内支援体制の整備 /板倉 伸夫
- (1) すべての生徒を支えるために
- (2) 「わかる」と「いごこち」
- (3) 施設・設備の充実
- (4) 特別支援教育を支えるもの
- X章 小学校・通常の学級で求められる教師力
- 1 個別の指導計画 /中村 英美
- (1) 学級集団づくりと個別への配慮
- (2) 単元の指導計画と個別への配慮
- (3) 単位時間の指導計画と個別への配慮
- 2 個別の教育支援計画 /中村 英美
- (1) 家庭との連携と個別への配慮
- (2) 関係機関との連携と個別への配慮
- 3 交流及び共同学習 /長江 清和
- (1) 特別支援学校との交流及び共同学習
- (2) 特別支援学級との交流及び共同学習
- (3) 個別の交流及び共同学習
- 4 校内支援体制の整備 /三浪 真紀
- (1) 一人ひとりをていねいに見る土壌づくり
- (2) 組織として支える体制づくり
- (3) 校内支援体制整備における課題
まえがき
平成の時代になり,特殊教育は特別支援教育に変わり,教育の対象者も超軽度の障害のある子どもから重度・重複の障害のある子どもまでと多様となりました。したがって,教育の場は,特別支援学校から特別支援学級,さらに通級による指導から通常の学級までとなりました。
一方,学習指導要領は,小中学校の総則では,「学校がその目的を達成するために,……障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習や高齢者などとの交流の機会を設けること」と示し,当然,特別支援教育の学習指導要領でも同じ趣旨のことを述べています。
今回の学習指導要領改訂で強調されていることは,前記した「交流及び共同学習」と「個別の指導計画」「校内の支援体制」です。つまり,これからの教育は,互いに学級や学校に囲い込むのでなく開かれた学級や学校とするように方向を示していることです。
個別の指導計画には,一人の子どもと向き合って指導する場合と,小集団の中のAちゃんを指導する場合とがあります。指導計画は,知的障害のある子どもとない子どもとでは,教育の基本が違います。知的障害のある子どもの場合は,生活中心の教育あるいは経験・活動中心の教育となりますが,知的障害のない子どもの場合は,教科中心の教育,指導内容中心の教育となります。知的障害のない子どもの場合は,小中学校の学習指導要領に基づいて指導計画を立てることになりますが,知的障害のある子どもの場合は,特別支援学校の学習指導要領は参考程度にしかなりません。むしろ,指導することを子どもに学ぶことになります。
交流及び共同学習は,いかにもこと新しいように言われますが,決して新しいことではありません。国の施策(特別支援教育側)としても30年以上前から進めてきていることですが,意図するように進展していなかっただけです。ただ,通常の教育の側がその気になってくれていることが新しいということです。
なお,「交流」と「共同学習」を書き分けていますが,特別支援教育における実際の活動は,障害のある子どもとない子どもとが一緒にする学習活動で,生活単元学習と言ったり特別活動と言ったりしますが,通常の教育側は,総合的な学習と言ったり特別活動に位置付けたりします。
改訂学習指導要領は,学級や学校の枠にしばられることなく必要に応じて他の学級・学校はじめ福祉,医療などとの連携や交流を進めるように校内支援体制の整備を強調しています。
以上のことを踏まえて成果を上げるためには,これまで以上に教師の力が必要となります。改訂学習指導要領総則の趣旨を満たすためには,どんな教師の力が必要になるかと言えば,当然のことながら子どもに対しては「指導力」,保護者・教育委員会・地域社会などに対しては「説得力」です。「指導力」と「説得力」をさらに例示をしながら具体的に述べたのが第T章です。第U章以下は,T章の意を汲み実践したものです。
確かに特別支援教育を取り巻く諸条件は多様化しました。だからと言って指導法は千差万別で共通するところはないのでしょうか。これでは指導技術の向上は望めません。
本書は,例えば,知的障害に自閉症を併せ持っている子どもが,特別支援学校,特別支援学級(情緒障害),特別支援学級(知的障害),あるいは通級指導教室,通常の学級のいずれかに在籍した場合,指導内容や方法が全く違うのか,それとも共通しているところはどんなことかなどを確かめ,日々疑問を持ちながら指導している先生方のお役に立ちたいと考えて企画・編集しました。
最後になってしまいましたが,本書を編集するに当たってご多用中にもかかわらず執筆のご協力をいただいた諸先生に心から感謝するとともに,本書がここに出版の運びとなったのは明治図書出版株式会社並びに編集者長沼啓太氏によるもので,併せてお礼を申し上げる次第です。
平成21年6月 編 者
素晴らしいです。
他に斉藤先生が執筆された書籍はあるのでしょうか?
是非もっと読ませて頂きたいです。
特に、肢体不自由の斎藤先生は、素晴らしい実践をされていて、分かりやすいです。
生活単元をここまで掘り下げて実践されているのに驚きます。実際の生徒の個別の指導計画を取り上げているので、個別の指導計画と授業の関係も分かりやすく書かれてあります。
若い先生は是非読んだ方がいいですよ。