- まえがき
- Chapter1 活動の分類と授業計画編
- 【1.コミュニケーション活動と言語活動】
- 1 「コミュニケーション活動」について
- 2 「コミュニケーションの(ための)基礎を養う活動」について
- 3 活動が目指す能力をめぐって
- 4 「言語活動の充実」について
- 5 「コミュニケーション活動」と「言語活動の充実」
- 【2.1時間の授業の流れをどうするか】
- 1 1時間,単元の授業の流れ
- 2 学年ごとの1時間の授業の流れ
- 3 1時間の授業の流れを上手に組むために
- Chapter2 コミュニケーション活動とコミュニケーションの基礎を養う活動編
- 【1.統合型コミュニケーション活動】
- 1 英語劇を作る
- 2 デイリーカンバセーション
- 3 会話
- 4 会話テストと評価
- 【2.発信(表現)型コミュニケーション活動】
- 1 紹介文を書く…その1(修学旅行記)
- 2 紹介文を書く…その2(自分の訪れた場所など)
- 3 自己紹介をする(発表の工夫)
- 4 音読(暗唱)発表をする
- 5 4コママンガを描く
- 【3.受信(理解)型コミュニケーション活動】
- 1 時期を限定して取り組む受信(理解)型コミュニケーション活動
- 2 リスニングの学習
- 3 リーディングの学習
- 4 レッスン・サマリー
- 【4.練習型コミュニケーション活動】
- 1 クラスワークの基本形
- 2 ペアワーク基本形・前置詞いろいろ
- 3 グループワークいろいろ
- 4 個人ワーク基本形
- 【5.語彙と言語の仕組みを理解する活動】
- 1 ピンクシート
- 2 イエローシート
- 【6.文化を理解する活動】
- 1 オリジナルカードを作ろう(クリスマスカード・バレンタインカードなど)
- 2 看板・標識(サイン)を読み取る
- 3 絵ハガキを書こう
- Chapter3 評価編
- 【1.評価をする】
- 1 評価をどうすすめるか
- 2 評価に振り回されない
- 【2.1年のはじめの自己評価】
- 【3.学期末自己評価】
- 1 簡単便利なノートの自己評価シート
- 2 1年間の英語の学習を振り返ろう
- Chapter4 その他
- 【1.小学校英語に振り回されない】
- 【2.ICTに振り回されない】
- 【3.英語の習得に振り回されない】
- 1 生徒たちが学んでいるもの,私たちが教えているもの
- 2 教育者としての原点を忘れない
- あとがき
まえがき
2007年〜2008年に出版した『英語表現・文法指導アイデアワーク』シリーズを「ワークシート編」,2009年の『英文法の基礎・基本&面白解説ワーク』シリーズを「ドリル編」とするなら,本シリーズは「理論と実践編」とでも呼べるものです。中学校で英語を担当する教師にとってすぐに役立つアイデアや工夫,実践から,じっくり役立つ理論や考え方など,さまざまな意味で「365日」役に立つ内容になっています。そして,本シリーズではこれまで英語教育関係の本で語られることがあまりなかった,2つのことに挑戦しています。
その1つは「授業づくりにおける経験知」を伝えようとしたことです。
私が中学校で英語を教えるようになって十数年経ちます。何年経っても授業は試行錯誤の連続ですし,理想の授業に迷いを感じるのは,教壇に立ち始めた頃と変わりません。ただ,私が先輩の英語教師から受け継ぎ実践してきたことを,次の世代に伝えていかなければならないという思いだけは,少しずつ大きくなってきました。
2010年代には,学校現場で働く数多くの教師が退職し,新しい教師が教壇に立ちます。自治体によっては,この10年間で学校現場の半数が退職されるケースもあります。学校ではいったいどのようなことが起こるのでしょうか。
教師が教科指導の専門としてある程度一人立ちするまでに,10年近くかかります。ベテランの減少と若手の増加。専門的知識や技術は研修等でも伝達されるでしょうが,経験や勘,コツなどの知恵の部分については学校現場での経験の中でないと継承が難しいものです。年齢構成のアンバランスな学校現場の中で,授業づくりの知恵はどうなっていくのか。これが私の心配していることです。本シリーズではこのような経験知に相当する部分を,実践の中で表現するよう心がけました。うまくいったかどうかは分かりませんが,読者の皆さんにご判断いただければと思います。
2つ目の挑戦は「新しい英語授業のスタンダード」の提案です。
いま中学校の英語教育は,あるべき姿と現実の姿の間で苦しんでいるように思えます。その狭間で私自身も苦悩していますし,おそらく多くの先生もまた,私と同じような思いをされているのではないでしょうか。高すぎる理想,手の届かない目標,輝かしすぎる実践。地に足が付いたスタンダードな英語授業像を切望しているのは,経験の浅い教師に限らないのではないかと思います。本シリーズでは,英語教育を取り巻く諸状況を視野に入れながら「新しい英語授業のスタンダード」を理論をもとに探っていきます。大きな挑戦であるがゆえに,成功しているかどうかは分かりませんが,こちらも読者の皆さんのご判断をお待ちしたいと思います。
最後になりましたが,本シリーズを世に送り出すにあたり,明治図書の木山麻衣子さんはじめ,編集部の皆様に多大なるご支援をいただきました。思わぬ大部となり,お骨折りいただくことが多くなったことに深く感謝申し上げます。
2012年5月 /笹 達一郎
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- 明治図書