- まえがき
- 第一部 修業の具体的方途
- 一 具体的にやりたいことをはっきりさせる
- 1 教育現場の現状?
- 2 研修でやりたいことは何か
- 3 研修とは、何をどうすることか
- 4 わたしの提案
- 二 「何で勝負するか」決めよう―今年はこれで勝負しよう―
- 1 面白いことをやる
- 2 何で勝負するか
- 3 わたしが目覚めた教材研究
- 4 真の教材研究は面白い
- 三 研究を一本化して専門教科をつくる
- 1 「どげんかせんといかん!」
- 2 成長を自覚できるようにする
- 3 研究に開眼した学校
- 四 実践の事実を見せる研修を
- 1 参観にいい学校はないか
- 2 研究校も時には歯車がくるう
- 3 有料の研究会
- 五 研究の全体像をつかむ工夫
- 1 全体像を立てよう
- 2 プロットをつくる要領で計画を立てる
- 3 大きな紙で全体像をとらえる
- 4 いいことはすぐ実行しよう
- 六 子どもをとらえることはむずかしい―だからこそ意味があるのだ!―
- 1 子どもをとらえることのむずかしさ
- 2 子どもは異文化人
- 3 子ども研究で根気をつけよう
- 4 あえて提案したい
- 5 教師は取材の現場にいるのだ
- 七 板書が変わると他のことも変わる
- 1 板書計画をもとに指導案を書く
- 2 時間の使い方
- 3 板書を変えると他も変わる
- 4 すべては関連している
- 5 柔らかいチョークがいい
- 八 どんな研究会に参加したいですか?
- 1 多種多様な研究会
- 2 研究会の組織がいい
- 3 場所の工夫
- 4 研究会の内容がかんじん
- 5 参加者の態度
- 九 研究会への参加のしかた
- 1 研究会への参加態度
- 2 プラス思考で聞いてほしい
- 3 メモの取り方を考える
- 4 研究会は有料がよい
- 十 研修にも「遊び心」が必要
- 1 校内研修のあり方
- 2 講師のよび方
- 3 研修は幅広く考えて
- 4 研修にも遊び心が必要
- 十一 学ぶとは具体的にどうすることか
- 1 研修とは
- 2 浮魚と底魚
- 3 食パンのつくり方?
- 4 さとうきびの教材化
- 十二 教材開発は、発問開発するということ
- 1 パイナップルづくりの発問
- 2 パイナップルを切ってみる
- 3 発問を少し変えてみる
- 4 発問開発ということ
- 十三 金印$^贋論争の再燃?
- 1 疑えばどこまでもおかしい?
- 2 子どもと真贋論争
- 十四 私が最近入手したネタ・マル秘メモ公開
- 1 まずはネタ帳をつくる
- 2 布教の武器としての砂糖
- 3 「佐賀」のすごさに目を開く
- 4 佐賀鍋島藩の軍事力
- 5 ネタ帳を生かす
- 第二部 今の教師に考えてほしいこと
- 一 「どうぞ」「ありがとう」の徹底
- 1 「審議のまとめ」で考えること
- 2 何を教え、考えさせたいのか
- 3 内容と方法の重点化例
- (1) 一〜二年生の場合/ (2) 三〜四年生の場合/ (3) 五〜六年生の場合
- 二 面白くて役に立つ「道徳」にしなければ―本音を出させて検討を―
- 1 「道徳」を逃げ道にしている教師
- 2 わたしの道徳観
- 3 一年生の道徳
- 4 地獄と極楽のちがい
- 三 マナーが身についていない教師
- 1 マナー
- 2 全くマナーのない教師の例
- 3 馬鹿でかい声を出す教師
- 4 「何しにきたのか」といった教師
- 四 品格のない教師
- 1 服装が悪い教師
- 2 班活動での机の配置
- 3 品(品格)のない教師
- 4 ことばじりを取る教師
- 5 手紙を書かない教師
- 五 掃除は子どもの心を育てる
- 1 掃除は子どもの心を育てるか?
- 2 掃除は子どもの心を育てる!
- 3 校長も掃除をしていた
- 4 ごみを拾う教師に
- 5 子どもと掃除―それは子どもの発見
- 6 掃除のプロをつくる
- 7 修業の始めは「掃除だ」
- 六 整理整頓は子どもの生き方を変える
- 1 整理整頓の必要性
- 2 「遊び」としてやってみる
- 3 引き出しの整理整頓
- 4 「生き方」につながっている
- 5 繰り返さないとダメ!
- 6 テレビから教えられたこと
- 七 表現力の育成に重点を置くと思考力・判断力も育つ
- 1 子どもニュースまで「思考力」とは?
- 2 考えざるを得ない活動→表現
- 3 どこに重点を置くか?
- 八 教育基本法で教育を再生させなければならない
- 1 印象に残った教育基本法
- 2 公共の精神の具現
- 3 伝統と文化の学習
- 主要著書一覧
まえがき
二〇〇九年一〇月、『授業の技を磨く研修の在り方を問う』という著書を明治図書から出していただいた。この時点では精一杯で、これでいいかなと考えていた。しかし、時間がたつに従って、また、何度も読み返すうちに、もっとこう書けばよかった、この事例を取り上げればよかったといった反省が出てきた。
そこで、この著書をもう少し具体化し、わかりやすくしたいと考えた。これが本書である。
「研修」ということに焦点をあてて具体化しようと考えた。「第一部 修業の具体的方途」という部分が、具体的に考えてみたところである。
研修をしても、何を目的にやっているのかわからないことがある。研究授業を沢山すればよいと考えていたり、講師をいろいろ招いて、多様な話を聞けばよいと考えたりして、それがどういう目的なのかわからない研修が結構行われている。これでいいと思っているようである。
しないよりはいいに決まっている。しかし、成果を考えてみると、まとまりがなく上がっていない。
こういう現実から、「具体的にやりたいことをはっきりさせる」「何で勝負するか決めよう」といったことを最初に書き、これに続いて「研究を一本化して専門教科をつくる」「研究の全体像をつかむ工夫」といったことを取り上げた。
子どもをとらえることはむずかしい。今、子どもも変わってきて、ベテランでもとらえきれないでいる。しかし、さけて通れないことである。あえて挑戦してほしいと願っている。「板書が変わると授業も変わる」ことに注目してほしいのでこの角度から取り上げた。このことについての著書も出している。
外部への研究会に参加するにはどうしたらよいかといったことや、「研修にも遊び心が必要」なこと、少しゆとりをもってやることの必要性も書いた。
後半の「第二部 今の教師に考えてほしいこと」は、私が実際に見たり、聞いたり、体験したりしたことから、今の教師に向けて書いた。
東京では、小一プロブレムが深刻であると産経新聞(二〇〇九年一一月一三日)に出ていた。小一プロブレムというのは、小学校一年生が教師の指示に従わない、いわゆる学級崩壊状態で、四校に一校の割合で発生しているというのである。小一プロブレムがおこった担任の年代は、五〇代が二四%、四〇代が二二%で、ベテランといわれる年代の教師のクラスが、およそ半分に及んでいる。研修しないで年だけとった教師の末路である。
これを読んで、今の教師にもっともっと勉強してほしい、研修をしっかりやってほしいと思った。同時に、「マナーが身についていない教師」が意外に多い。言葉遣いや服装が常識をはずれている、いわゆる「品格」のない教師がこれまた多い。掃除など、子どもと一緒にやってほしい。教師の机上は見られないほど乱雑である。
第二部では、こんなことを改めて考えてほしいと取り上げたものである。
いつもの通り、本書も明治図書編集部の江部満編集長のおすすめで一冊にまとめることができた。記してお礼を申し上げたい。ありがとうございました。
二〇一一年二月 /有田 和正
という内容がおおくあり、参考になった。