道徳授業の定石事典 高学年編
―確かな指導観に基づく授業構想―

道徳授業の定石事典 高学年編―確かな指導観に基づく授業構想―

投票受付中

これがあれば困らない! 超定番資料による実践事例集

「手品師」といった定番資料から、文科省・新読み物資料集掲載の「小川笙船」まで網羅した実践事例集。発問・指導案・授業展開がばっちりわかり、研究授業で活用するにもうってつけ。これで、35時間の道徳授業づくりに困ることなし!


復刊時予価: 2,816円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: 未販売

電子化リクエスト受付中

電子書籍化リクエスト

ボタンを押すと電子化リクエストが送信できます。リクエストは弊社での電子化検討及び著者交渉の際に活用させていただきます。

ISBN:
978-4-18-034919-7
ジャンル:
道徳
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
B5判 196頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
理論編
1. 道徳の時間の特質
2. 確かな指導観に基づく道徳授業の創造
3. 児童の発達的特質に配慮した授業づくり
実践編
内容項目1−(1) 資料名 流行おくれ
節度を守り節制に心掛けようとする児童を育てる
内容項目1−(2) 資料名 ヘレンと共に ―アニー・サリバン―
夢や希望をもち,粘り強く努力し続けようとする児童を育てる
内容項目1−(3) 資料名 うばわれた自由
自由を大切にするとともに,それに伴う自律性や責任を大切にする児童を育てる
内容項目1−(4) 資料名 手品師
自分の心に対していつも誠実に行動しようとする児童を育てる
内容項目1−(5) 資料名:天からの手紙
工夫してよりよい生活を築こうとする児童を育てる
内容項目1−(6) 資料名:明の長所
自分のよさを積極的に伸ばそうとする児童を育てる
内容項目2−(1) 資料名:気持ちと言葉
相手を尊重する礼儀を大切にしようとする児童を育てる
内容項目2−(2) 資料名:くずれ落ちた段ボール箱
相手の立場に立って親切にしようとする児童を育てる
内容項目2−(3) 資料名:知らない間の出来事
信頼し合い,友達を大切にしようとする児童を育てる
内容項目2−(4) 資料名:すれちがい
広い心で自分と異なる人の立場を受け入れられる児童を育てる
内容項目2−(5) 資料名:黄熱病とのたたかい
人々の支え合いや助け合いで成り立つ日々の生活に感謝し,それにこたえようとする児童を育てる
内容項目3−(1) 資料名:その思いを受け継いで
いのちのつながりを感じ取り,自他のいのちを大切にして生きる児童を育てる
内容項目3−(2) 資料名:一ふみ十年
自然の偉大さを知り,自然環境をよくしようとする児童を育てる
内容項目3−(3) 資料名:青の洞門
人の心の美しさに感動し,美しい心をもって生活しようとする児童を育てる
内容項目4−(1) 資料名:お客様
自他の権利を大切にし,公徳心をもって法やきまりを守っていこうとする児童を育てる
内容項目4−(2) 資料名:ぼくは後悔しない
だれに対しても公正・公平に接しようとする児童を育てる
内容項目4−(3) 資料名:小川笙船
自分の役割を自覚し,責任を果たそうとする児童を育てる
内容項目4−(4) 資料名:母の仕事
仕事に対して喜びや誇りをもち,働くことの意義を自覚し,進んで社会に役立とうとする心をもった児童を育てる
内容項目4−(5) 資料名:卵焼き
家族のために進んで役に立とうとする児童を育てる
内容項目4−(6) 資料名:いちょう祭り
みんなで協力し合いよりよい校風を作ろうとする児童を育てる
内容項目4−(7) 資料名:人間をつくる道 ―剣道―
我が国の伝統と文化を大切にしようとする児童を育てる
内容項目4−(8) 資料名:ブータンに日本の農業を
日本人として,世界の人々と親善に努めようとする児童を育てる

はじめに

 学校の道徳教育の要としての道徳の時間

 今回の学習指導要領の改訂において,道徳の時間は道徳教育の要として明確に位置付けられた。道徳教育を「要」としたことについては,次のような大きな意義をもつ。

 1. 道徳の時間の道徳教育における中核的な役割や性格を明確にしたこと

 2. 道徳の時間を道徳教育の「要」としたことで,道徳の時間以外の道徳教育の重要性を再確認したこと

 道徳の時間の役割は,昭和33年に道徳の時間が設置されて以来5回の学習指導要領の改訂が行われているが,一貫して変わっていない。それは,道徳の時間の指導が,道徳の時間以外の道徳教育を「補充,深化,統合」するということである。つまり,道徳の時間の指導の充実は,道徳の時間以外の道徳教育をいかに補充,深化,統合するかにかかっているのである。日常の道徳教育の充実なくして道徳の時間の充実はないということである。しかし,これまで,「道徳教育は学校の教育活動全体を通じて行うもの」とされ,各学校においては道徳教育の全体計画を作成してきたが,これが画餅になりかねない状況も少なくなかった。

 今回の学習指導要領の改訂に際しては,学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の重要性を鑑み,これまで道徳教育のかかわる記述は第1章総則と第3章道徳だけであったが,新たに第2章各教科から第6章特別活動まで,すべての指導計画の作成と内容の取扱いに,道徳教育にかかわる記述が示されたところである。これは,正に学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の重視に他ならない。さらに,道徳教育の全体計画の作成に当たっては,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動における指導の内容及び時期を示す必要があることが示されたことも確認しなければならない。

 このように,学校における道徳教育と道徳の時間は,言い古された言葉ではあるが車の両輪であり,ともに充実することで児童の道徳性が確かに養われることを再確認したい。


 道徳の時間の特質を生かす

 道徳の時間は,学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育を補充,深化,統合し,道徳的価値の自覚及び自己の生き方について考えを深めることで,道徳的実践力を育成することがねらいである。つまり,道徳の時間に欠くことができない学習とは,道徳的価値の自覚及び自己の生き方についての考えを深めることである。そして,道徳的価値の自覚を深めるためには,道徳的価値の理解を自分とのかかわりで行い,道徳的価値にかかわる思いや課題を培うような学習展開がなされなければならない。今回の改訂で加えられた「自己の生き方についての考えを深める」ことは,道徳的価値の自覚を深める段階で同時に行われていることでもある。

 道徳の時間の学習については,ともすると,児童に感動を与えるとか,心に響くような学習を展開するなど,漠然とした表現で述べられることがあるが,児童が感動することがどのように道徳的価値の自覚を深めることにつながるのか,心に響く学習とはどのような学習で,道徳の時間の特質とどのような関係があるかを明確にする必要がある。

 各学校においては,学校の教育活動全体を通じた道徳教育の重要性を再認識し,その上で道徳の時間の特質についての理解を十分に深めることを期待したい。


 明確な指導観に基づく授業の創造を

 望ましい道徳の時間の授業は,道徳の時間の特質を生かすことが大前提であるが,他方,学校の実情や児童の実態に即して行われることが大切である。学校で行われる授業は,教育課程の実施であり,学習指導要領に基づいて行われるものであるが,各学校の実情や児童の実態などが異なれば,当然授業の様子もそれに応じて違ってくる。

 このときに,ぶれのない指導を行うために明確にしなければならないものが,「授業者の指導観」である。1時間の授業を行う際には,授業者が明確に指導の意図をもつ必要がある。授業を構想する際になされる様々な工夫は,すべて指導観に基づいた道徳的価値の自覚を深めることにつながるものでなければならない。例えば,資料提示の工夫や話合いの工夫,書く活動の工夫などが,すべて道徳的価値の自覚を深めることにつながるものであることが求められるのである。授業者は,一つ一つの指導の目的を明確にして授業を展開する必要があるのである。このことが,ぶれない指導につながり,確かな授業評価,授業改善につながるものである。

 全国の学校において,道徳の時間のいわゆる「よい授業」を数多く参観する。よい授業とは,道徳的価値の自覚を深める授業である。しかし,授業者が自身の一つ一つの指導について,その意義や教育的な価値を十分に把握できていない場合も少なくない。同じような指導の工夫であっても,仮に,授業者が,明確な指導観を基に行った指導の工夫とそうでない工夫とでは,その効果は大いに異なるであろう。多くの授業で,明確な指導観に基づく意図的な指導が展開されたとしたら,児童は道徳的価値の自覚をより一層深めることができるであろう。

 全国の先生方が,明確な指導観をもち,道徳的価値の自覚及び自己の生き方についての考えを深めるという道徳の時間の特質を生かした授業を展開することで,確かに道徳的実践力を育成することを期待したい。

 本書は,このような期待の下に,道徳の時間の特質を生かした,より質の高い授業実践を基に作成したものである。全国の先生方の日々の授業構想に役立てていただければ幸いである。

 なお,本書を上梓するに当たって,ご執筆いただいた先生方,とりわけ,集約にご尽力いただいた筒井鉄也先生及び茅野 現氏をはじめとする明治図書出版の皆様方に心より御礼申し上げたい。


  文部科学省 初等中等教育局 教育課程課 教科調査官   /赤堀 博行

著者紹介

赤堀 博行(あかぼり ひろゆき)著書を検索»

文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官。

国立教育政策研究所教育課程研究センター 教育課程調査官。

東京都公立小学校教諭,東京都教育委員会指導主事,同主任指導主事等を経て現職。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書

ページトップへ