こんなとき、どうすればいいの? 発達障害への対応―究極の相談Qと助っ人のA48例

こんなとき、どうすればいいの? 発達障害への対応―究極の相談Qと助っ人のA48例

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子育てや授業・学級経営の難問に解決のヒントを提供する!

善い・悪いではなく、好き・嫌いで行動する子どもに悩む学級担任は多い。SOS的質問に対して、長年の体験をとおした著者の回答は、悩み深き担任に指針と自信を与える。また、状況場面をイメージしやすいよう稲葉せりかの漫画入り。


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ISBN:
978-4-18-030615-2
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
4刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 100頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

メッセージ
T こんなとき,親はどうする?
1 集中力・注意力がUP する
■身の周りの整理整頓が苦手です。どのようにすればいいのでしょう?
■忘れ物が多くて困っています。自己管理をさせたいのですが?
■宿題に取り組めなくて困っています。よい方法はないですか?
■なかなか宿題をしようとしません。どうかかわっていけばよいのでしょうか?
■ずっと続けてきたソフトをやめたいといいます。やめさせてもいいものでしょうか?
■注意力散漫で,先生の話が聞けません。どう対処すべきでしょうか?
■落書きをやめさせる方法を教えてください。
2 不安傾向を除去する
■鉛筆を距んだり指を吸ったりするのをやめさせるにはどうすればよいでしょうか?
■ファンタジーに入っているときの対処の仕方について教えてください。
■中学1年生のわが子がおねしょをしました。母親として,今後,どうしていったらよいのでしょうか?
■学校で「1人で遊んだ」というわが子が心配です。このままでいいのでしょうか?
■下級生とばかり遊んでいるようです。このままでいいのでしょうか?
■友だちとうまくいっていないようです。学校へ行くのを嫌がります。どうサポートしてやればよいのでしょうか?
■愛着障害児とのかかわり方について教えてください。
3 行為障害と反抗挑戦性障害をなくす
■暴力的な子どもへの接し方を教えてください。
■石を投げることがやめられません。危なくて困っています。
■反抗的な態度をとるようになってきました。かかわり方を教えてください。
4 食事・うそに対応する
■食事にとても時間がかかります。何かよい方法はないでしょうか?
■子どものうそに振り回されています。よい方法はないでしょうか?
5 ADHD・LD・PDD 症状を改善する
■ADHD だと診断されました。育て方がわからず混乱しています。
■ ADHD 児の兄に手を焼いています。親としてどうかかわっていけばよいのでしょうか?
■学習障害(LD)なのでしょうか? 具体的な対応策を教えてください。
■冗談が通じません。どうしたらよいのでしょうか?
6 教師に理解を促す
■担任が変わったとき,何をどこまで伝えたらよいのでしょうか?
■担任の先生にADHD の知識がない場合,何をどうに伝えればいいのでしょうか?
■担任の先生によって,宿題の量が違います。宿題嫌いのわが子にどう向かい合えばよいでしょうか?
U こんなとき,先生はどうする?
1 授業を工夫する
■漢字スキルの指導に時間がかかります。対応を教えてください。
■書くことが苦手なLD の子の指導法について教えてください。
■読むときに,単語の一部が欠けることがあります。本人に自覚はありません。どのように対応するのがよいのでしょうか?
■音楽の授業を嫌がる児童がいます。どのように対応したらよいでしょうか?
■個別の対応に追われています。改善策を教えてください。
■授業中の問題行為に対して,どのように向き合えばよいでしょうか?
■今,すべきことが後回しになってしまいます。よい方法を教えてください。
■2年生になってから,漢字の書き取りが急に雑になりました。どうしたものでしょうか?
2 学級作りを工夫する
■すぐにキレる子がいます。目が離せません。どうすればよいですか?
■奇声を発する子どもがいます。効果的な指導法はありますか?
■クラスの友だちとの関係で悩んでいます。いい解決法がありますか?
■クラス内で浮いてしまう存在です。困っています。
3 親に理解を促す
■クラス替えの際の留意事項について教えてください。
■保護者に対して,ADHD をどのように説明すればよいのでしょうか?
■保護者からの要望にどう答えればよいのかわかりません。
■母親が宿題をしてしまいます。見逃しておけばよいのでしょうか?
■「家では困らない」お子さんについてどう説明したらよいでしょうか?
■いじめだと思い込んでいる保護者への対応について教えてください。
■個別の指導計画を保護者に見せてもよいのでしょうか?
4 医療との連携・転校に対応する
■医療機関につなげるためのよい方法があれば教えてください。
■検査には定期的に通ってもらったほうがいいのでしょうか?
■転校の際の引継ぎについて何かよい方法はありませんか?

メッセージ

抑制を担当する前頭葉は1970年代に退化した!

 脳は退化をした!というと「やっぱり」と思われる方が多いのではないだろうか? 厳密にいえば,前頭葉という脳が退化をしたのだ!

 「赤いランプがともったらゴム球を握りなさい。黄色いランプがともったらゴム球を握ってはいけません」という課題を子どもたちにやってもらう。GO/NOGO課題というが,この大規模調査は,1969年(昭和44年)に第1回が行われ,第2回は1979年(昭和54年)に行われた。その結果,驚くべきことに,握ってはいけないのに握ってしまう,抑制の効かない子どもたちが増えたことが明らかになったのだ。

 1970年代に,60年代までにはなかったことが起き,あったものがなくなったと考えられる。便利なものが増えすぎ脳を使わなくなった,ビデオデッキなど映像機器の発達でイメージ力が退化した(映像はイメージそのものなので脳をあまり使わない),自然の中で遊ぶチャンスが減り運動体験が減少した,核家族化により家族間のコミュニケーションが減少し考える力が低下した,複雑な人間関係の中で不安が増え希望を失った,ミネラルやビタミンがほとんど含まれないジャンクフーズを食べるようになり脳の栄養素が不足した,さらさらした油をあえて固めて食べるトランス型脂肪酸(マーガリン,フライドポテトなど)を摂取する機会が多くなり細胞膜の機能が落ちた,などの要因が推測されている。


『善い−悪い』ではなく『好き−嫌い』に従って行動

 前頭葉は,行動のコントロールをしている崇高な脳だ。待つこと,我慢することを担当し,自らの動きを止めたり,不要な刺激に反応せず必要な刺激に注意を集中したりする働きを持っている。こうした抑制は,社会生活に求められる『善−悪』の判断にもつながるので,前頭葉が理性的な脳といわれる所以となっている。

 前頭葉がうまく働かないと,落ち着きがない,集中力がない,キレやすい,善−悪に従えない行動が現れる。

 さらに,クルマに例えれば,ブレーキ役である前頭葉が働いていないので,アクセル役である扁桃体という“超わがまま”な脳がむき出しのようになっている。扁桃体は『好き−嫌い』を判断する脳なので,今や,多くの子どもは,『善い−悪い』ではなく『好き−嫌い』に従って行動しているわけである。

 『嫌い』なので人を殺す事件も後を絶たない。子育てや学校教育を見ればわかるように,ほとんどの親や教師は,『善悪』の価値観を押し付けようとする。前頭葉が育っていない子どもたちは,その押し付けに耐えられず,反抗・攻撃,逃避・抑圧の世界に逃げようとする。追い討ちをかけるように,そうした脳を守ろうとしている行動に,再度『善悪』の尺度を当てはめる。人を好きにさせる扁桃体育てからスタートすればいいものを,脳の発達の仕組みを度外視して,前頭葉育てからスタートさせ,脳育てに失敗をしているのだ。


まずは,子どもの満足度を上げよう!

 こういう話をすると,子どもをわがままにする,などという人がいるが,そうではない。脳は“やさしい快感”“楽しい快感”“厳しい快感”の3つのレベルを求めるが,前2者が保障されて,初めて厳しい快感を得ようとするのである。数学の問題を解くこと,マラソンを走ること,人間関係を営むことなど,脳が育っていなければハードに感じることが,脳がうまく育てば快感になるのである。脳育てには順番があるということである。

 私は,神経伝達物質が脳機能に影響を与えるという立場から,脳科学を活用し,家庭での子育て,学校での授業といった人間関係力を育てる“スキル”を開発してきた。先ほどの例でいえば,やさしい快感はセロトニンが,楽しい快感はドーパミンが,厳しい快感はβエンドルフィンがそれぞれ主に関係していると考えている。

 人のために生きる前頭葉が退化をし,自分のために生きる扁桃体が優位になった時代である。ニッポンを明るくするためには,まず,人を好きになる脳を育てることである。そのためには,子どもがやさしい気持ちや楽しい気持ちを持てるように,私たちがうまく「見つめる」「ほほえむ」「話しかける」「ほめる」「触る」などのスキルを持つことが不可欠である。子どもの“満足度”を上げることが,子どもの脳育てに効果的だということである。


「家庭教育ツーウェイ」に連載

 私は,明治図書刊「家庭教育ツーウェイ」誌上に,「こんなときどうする? 平山先生」を連載している。多く寄せられる質問の中から,赤木雅美氏が厳選・発信した質問に,私が回答するというスタイルで3年間が経過した。この中から2年分(2006年4月号〜2008年3月号)を選び,テーマ別に整理し加筆して,本書ができあがった。

 厳選48本とはいえ,発達障害の問題から対人不安や暴力・反抗などの問題まで扱っていて,子育てや授業・学級経営の難問に多くの解決のヒントを提供してくれるはずである。

 最後になったが,漫画家の稲葉せりか氏には,それぞれのQ&Aでイラストをお願いした。視覚的にも理解ができるように工夫してある。


  2008年5月   /平山 諭

著者紹介

平山 諭(ひらやま さとし)著書を検索»

臨床家・絵本作家・脳活性化食研究者。

脳科学を授業や子育てに活用する21のスキルを開発。“言葉”と“表情”と“食”を大切にする独自理論を提案し,各地で『環境対話キャンプ』を展開。健康補助食品の臨床試験も手がけ,大豆から抽出した『リパミンPS』が不注意や多動・衝動に有効であることを解明した。

最終学歴は,昭和59年筑波大学大学院博士課程。平成12年より倉敷市立短期大学専攻科保育臨床専攻教授。平成20年より保育学科長。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • QA方式で書かれており、とてもわかりやすかったです。
      2018/7/1130代・小学校教員
    • クラスで配慮が必要な児童が何人かいるので、参考にするために購入した経緯があった。
      2017/9/1430代・小学校教諭
    • 発達障害への関わり方についてのQA式になっていてとてもわかりやすく書かれています。タイトルの通り
      「こんなとき,どうすればいいのか?」思ったとき開くと必ず答えが見つかります。
      2008/8/6まゆ

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