自立と社会参加を目指す自閉症教育5
個別の教育・指導・移行計画の作成とその実際
一貫的・継続的教育の実現

自立と社会参加を目指す自閉症教育5個別の教育・指導・移行計画の作成とその実際一貫的・継続的教育の実現

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就労を実現するために、学校教育12年間をどう支援していくか

就労することが難しいと言われている多くの自閉症の人が、職場や地域社会で自立した暮らしができるようになるためには、機能する「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」「個別移行支援計画」を作成する必要がある、という観点からその実際についてまとめた1冊。


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ISBN:
978-4-18-030313-7
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
対象:
小・中・高
仕様:
A5判 208頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第
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目次

もくじの詳細表示

まえがき
第1章 機能する「個別の支援計画」の作成
1 特別支援教育の推進
2 機能する「個別の支援計画」とは
3 なぜ「個別の支援計画」が必要か
4 機能する「個別の教育支援計画」とは
5 「個別の教育支援計画」の作成と活用法
(1)「個別の教育支援計画」の作成に当たって
(2)「個別の教育支援計画」の作成の実際
6 機能する「個別の指導計画」とは
7 「個別の指導計画」の作成と活用法
(1)「個別の指導計画」の作成に当たって
(2)「個別の指導計画」の作成の実際
8 機能する「個別移行支援計画」とは
9 「個別移行支援計画」の作成と活用法
(1)「個別移行支援計画」の理解
(2)「個別移行支援計画」の作成
(3)「個別移行支援計画」の活用法
第2章 職業生活を実現するために支援,配慮すべきこと
1 就労実現のために必要なこと
2 基本行動の確立
3 ソーシャルスキルの確立
4 働く活動の定着
5 余暇の利用
6 個々の特性(強さ)を生かす
7 可能性を見出す
8 長所と短所
9 最大限の適応を目指す
10 「できる」よりも「わかる」教育
第3章 就労を実現するための支援の実際
[1] 小学校期の支援の実際T
(1)小学校期の支援のポイント
(2)小学校期の教育支援と移行支援
(3)A君の支援事例
[2] 小学校期の支援の実際U
(1)小学校期の支援のポイント
(2)小学校期の教育支援と移行支援
(3)B君の支援事例
[3] 中学校期の支援の実際T
(1)中学校期の支援のポイント
(2)中学校期の教育支援と移行支援
(3)A君の支援事例
[4] 中学校期の支援の実際U
(1)中学校期の支援のポイント
(2)中学校期の教育支援と移行支援
(3)A君の支援事例
[5] 高等学校期の支援の実際T
(1)高等学校期の支援のポイント
(2)高等学校期の教育支援と移行支援
(3)S君の支援事例
[6] 高等学校期の支援の実際U
(1)高等学校期の支援のポイント
(2)高等学校期の教育支援と移行支援
(3)Sさんの支援事例
[7] 学校卒業後の支援の実際T
(1)学校卒後の支援のポイント
(2)学校卒業後の移行支援
(3)粕谷くんの移行支援事例
[8] 学校卒業後の支援の実際U
(1)学校卒業後の支援のポイント
(2)学校卒業後の移行支援
(3)Aさんの移行支援事例
あとがき

まえがき

 本書は,就労することが難しいと言われている自閉症の人たちに,学校教育12年間を,どのように支援計画を立て,取り組んでいけば就労が実現し,地域社会で生き生きした生活ができるようになるかを,「個別の支援計画」に基づき,具体的な事例を通して明らかにしてみよう,とまとめたものです。

 筆者は,「彼らは決して就労できないのではなく,就労できるような支援や対応が行われていないからできていないだけである」と考えています。毎年,毎年,支援が違い,対応が違い,指導が違い,学習内容が違い,一貫性,継続性のない教育が展開して,どうして彼らが伸びることができるでしょうか。どうして自立できるでしょうか。どうして社会参加できるでしょうか。どうして就労が実現できるでしょうか。できないのも当然と言えば当然と言えるのではないでしょうか。それを自閉症だから難しい,仕方ない,と片づけられたならば,一生懸命生きようとしている彼らも立つ瀬がありません。

 自閉症は言うまでもなく認知障害という基本障害をもっています。せっかく,ある先生が正しい行動を,正しく教え,正しく認知させたとしても,次に引き継いだ先生が,まったく別の支援や対応をしたらどうなるでしょう。子どもはどうしてよいかわからず,混乱し,不適切行動を起こすようになります。これでは就労はおろか,学校や家庭での適応も難しくなります。彼らの,自立,社会参加,就労を実現しようとするならば,彼らの認知障害という特性を十分理解し,生かすことが必要です。効果的な支援,対応を一時的な取り組みとして終わらせることなく,どうすれば継続,発展させることができるかを考えるのが本来の教育活動です。

 12年間の学校教育の中で,一時期,りっぱな先生に出会い,子どもが成長,発達し,将来に期待がもてたとしても,それが継続,発展できる学校環境,学習環境になければ,せっかくの成長が,逆に退行する可能性だってあります。これが自閉症という障害の特徴であることを知っておく必要があります。学校卒業後の自立した姿を目標において,12年間の学校教育をどのように組織し,段階的に支援,指導を積み上げていくことができるかどうかが,彼らの就労を実現するために,今,最も求められていることであり,指導者に問われている課題です。学校と家庭と地域が連携をして,こうした課題に真剣に向き合い,取り組むならば就労できる自閉症の人は間違いなく増えていくと思われます。就労の実現は障害の重い,軽いの問題ではないのです。一人ひとりの自閉症の子どもについて,「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」に基づいて,どのように機能的な教育,指導,支援を積み上げていくことができるかどうかにかかっているのです。

 全国の自閉症の人の就労事例を調べてみると,決して知的に軽度の自閉症の人が就労できているわけではありません。知的に重度の自閉症の人の就労事例もたくさんあります。知的障害特別支援学校の高等部卒業生の就労率は全国平均で20%ほどですが,学校により随分ばらつきがあり,就労率0%のところもあれば,すばらしく成果を上げているところもあります。静岡県のある学校では,卒業生50人のうち50%が企業就労をし,しかもその半数が自閉症の人だと言います。知的に重度の自閉症の人たちが当たり前に就労を実現しているのです。小学部からどういう支援,指導を行っていけば学校卒業後の就労が実現するか,学校ぐるみで真剣に検討が行われています。就労が当たり前という認識が保護者にも浸透し,高等部1年生の75%が企業就労希望だと言います。将来に希望がもてる取り組みが行われれているからこそ保護者の意識も高くなるのです。

 一日一日を大切にし,きちんとした計画を立て,それに沿って適切な支援や指導が,一貫的,継続的に行われるなら,子どもは,1年後にはかなりの成長,発達が見られるはずですし,12年後の学校卒業時には間違いなく地域社会や職場に適応できる力を身につけ,社会人として貢献できるようになっているはずです。教育にこそ,こうした可能性があることを,我々指導者はもっと認識する必要があるのではないでしょうか。

 本書は,多くの自閉症の人が職場や地域社会で自立した暮らしができるようになるためには,機能する「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」「個別移行支援計画」を作成する必要がある,という視点から,その実際についてまとめました。機能する「個別の支援計画」ができ,確実に実践に移すことができれば,彼らの将来への期待も必ずや膨らむ,と信じています。

 本書は3章で構成しています。

 第1章では機能する「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」「個別移行支援計画」を作成するにはどうすればよいか,計画立案のための手順と具体的活用例をあげながら,子どもたちにとって機能する計画を立案するにはどうすればよいかについて解説しました。是非,「個別の支援計画」の重要性を認識していただきたいと思います。

 第2章では職業生活を実現するためには,指導者は彼らにどういう支援を行い,どういうことに配慮すべきなのか,その基本姿勢についてまとめました。日々の実践で重視してほしいと思います。

 第3章は自閉症の人の就労の実現に熱心に取り組み,実際に成果を上げている全国各地の8名の経験豊かな実践者にお願いし,自立,社会参加,就労を実現するためには,小学校期,中学校期,高等学校期,学校卒業期のそれぞれに,どういう課題を設定し,支援を行うべきか,まとめていただきました。具体的実践事例も載せています。是非,将来を見通した計画立案のために参考にしていただきたいと思います。

 本書を通して,「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」「個別移行支援計画」が機能的に作用し,多くの子どもたちの自立,社会参加,就労が実現できるようになることを心から願っています。


  2007年12月   編著者 /上岡 一世

著者紹介

上岡 一世(うえおか かずとし)著書を検索»

1946年高知県生まれ。高知大学教育学部卒。鳴門教育大学大学院修了。

高知大学教育学部附属中学校教諭(特殊学級),愛媛大学教育学部附属養護学校教諭,愛媛大学教育学部助教授を経て,現在愛媛大学教育学部教授,愛媛大学教育学部附属特別支援学校校長。専門は特別支援教育。

主に自閉症の人の自立や社会参加について研究している。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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