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自分の家庭に障害児をひきとり家族ぐるみで障害児教育にとりくんだ著者の記録と,親子で特殊教育に携わることになった二人の往復書簡の記録。
復刊時予価: 3,806円(税込)
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その著作集の4巻。
「なずなの花の子ら−精神薄弱児教育のために−」昭和31年
「道は遠けれど−ともに特殊教育に携わる父と子の記録−」昭和33年
の二つの著作を一冊にまとめたもの。
知的障害児教育の近藤益雄、近藤原理両氏の考えを知ることができる、貴重な資料。
もちろん古さはある。
しかし、今も通じるものもある。
「私たちはやはりできることを、地道に、気ながに、こつこつとやっていくことこそ心がけなくてはならない。」(p112)
「人間のねうちを、人間のすべてできめていくことこそ、一ばん大切なこの教育の骨組となることを、私どもはいつもつよいことばで、いいつづけなくてはならない。
そうすることで、この世の中の人々は、「人間のねうちには、けっして良し悪しのちがい、たかいひくいのちがいはないのだ」と気づくだろう。」(p130)
「小学校のときだけを、特殊学級におったことが、どうして、むだなのだろうか。そのみじかい間ではあれ、すこしでもいい教育をうけるということが、なぜむだなのだろうか。
子どもが、そのあいだ幸福であったことは、やはりそのさきざきの幸福の基いとなるのだとはいえないのだろうか。」(p135)
「ともかくも「ゆっくりあるこう長い道、なまけずあるこう遠い道」ということになりそうだ。」(p139)
「「その道は遠けれど、日本の未来を信じ、この子たちの幸福を求めて、ぼくはあるきつづけたいと思います」」(p143)
「自分にはどうしても適合しない普通学級で、たえず失敗を重ね、それによってできた精神の歪み。これを少しずつ解きほぐし、成功と自信を持たせるしごとを、まずしなければ、この子たちは救われないのです。だから、いつも、子どもの中へ。そして、子どもと共に働き、共によろこび、共におこり、共にがっかりすることを、くりかえしていかなければと考えるわけです。」(p183)
「まず、ぼくが働くことです。まっ先に、ぞうきんどりをやり、まっ先に金槌をふるい、まっ先に畑を耕すことにしています。」(p186)
「まじめに働かない子どもを叱るより、ほんきで働く子どもをほめることに、気をつけました。」(p186)
333ページあるこの本の一部分だけでも、これだけの言葉を掘り起こすことができる。
知的障害児教育の過去を知ること、つまり先人の足跡を知ることも学びである。
知的障害児教育に関わっている方におすすめする。