- はじめに
- T章 「学習チェック」とは?
- §1 PDCAサイクルの確立
- §2 学習チェックの必要性
- §3 学習チェックをどうすすめるか?
- §4 「指導と評価の一体化」とのかかわり
- U章 学習チェックの目の付け所
- §1 分からない子どもを見つける
- §2 つまずきを見つけ原因を探る
- §3 できた子どもの発想を見抜く
- §4 子どもの学習の方向付けを判断する
- V章 学習チェックの「ミニ技法」12のポイント
- 学習チェックを位置付けたモデル指導案
- @ 一斉指導(学級担任)のモデル指導案(単元の指導案)
- A TTのモデル指導案(本時案)
- B 少人数指導のモデル指導案(本時案)
- C 習熟度別指導のモデル指導案(本時案)
- 学習チェック「ミニ技法」@
- 子どもの反応の予想の仕方
- 学習チェック「ミニ技法」A
- 支援の手立ての準備の仕方
- 学習チェック「ミニ技法」B
- 反応の見取り方のコツ―1〈できぐあい〉
- 学習チェック「ミニ技法」C
- 反応の見取り方のコツ―2〈発想や仕方〉
- 学習チェック「ミニ技法」D
- 反応の見取り方のコツ―3〈つまずきの原因〉
- 学習チェック「ミニ技法」E
- 反応に応じた支援の技法―1〈指導・助言〉
- 学習チェック「ミニ技法」F
- 反応に応じた支援の技法―2〈支援〉
- 学習チェック「ミニ技法」G
- 反応に応じた支援の技法―3〈学び合い〉
- 学習チェック「ミニ技法」H
- 反応に応じた支援の技法―4〈発問と質問〉
- 学習チェック「ミニ技法」I
- 反応に応じた支援の技法―5〈学習相談〉
- 学習チェック「ミニ技法」J
- 進歩の確認の仕方―1〈学習のまとめと感想〉
- 学習チェック「ミニ技法」K
- 進歩の確認の仕方―2〈あてはめ,テスト〉
- W章 簡単で学習効果の上がる技法の実例
- §1 第1学年の実例
- 1 なんばんめ
- 2 たし算(おはなしづくり・式の読み方)
- 3 ひき算(求残・求差)
- 4 ひき算(演算決定)
- 5 3口の計算(仕方や考えを表現し説明すること)
- 6 繰り上がりのあるたし算
- 7 繰り下がりのあるひき算
- 8 かたちづくり
- 9 順序数の計算(図を使った問題解決)
- 10 大きな数
- §2 第2学年の実例
- 1 繰り下がりのあるひき算の筆算
- 2 長さの単位(cm,mm)
- 3 三角形と四角形
- 4 かけ算の意味
- 5 かけ算九九の構成(8の段)
- 6 かけ算九九の発展・活用
- 7 たし算とひき算の相互関係
- 8 箱の形
- 9 時刻と時間
- 10 簡単な分数
- §3 第3学年の実例
- 1 たし算とひき算
- 2 時刻と時間
- 3 わり算
- 4 表と棒グラフ
- 5 10000より大きい数
- 6 重さ
- 7 □を使った式と図
- 8 かけ算の筆算
- 9 小数と分数
- 10 二等辺三角形と正三角形
- §4 第4学年の実例
- 1 大きな数の仕組み
- 2 わり算の筆算
- 3 小数のわり算
- 4 異分母分数の比較
- 5 がい数
- 6 計算のきまり
- 7 複合図形の面積
- 8 平行四辺形の作図
- 9 立方体の展開図
- 10 折れ線グラフ
- 11 変わり方調べ
- §5 第5学年の実例
- 1 図形の角
- 2 三角形と四角形の面積
- 3 小数のわり算
- 4 分数のかけ算とわり算
- 5 単位量あたりの大きさ
- 6 直方体や立方体の体積
- 7 小数のかけ算
- 8 分数のたし算とひき算
- 9 合同な図形
- 10 百分率とグラフ
- 11 正多角形と円周の長さ
- 12 角柱と円柱
- §6 第6学年の実例
- 1 分数のかけ算(立式する場面)
- 2 分数のかけ算(計算の仕方を考える場面)
- 3 分数のわり算(立式する場面)
- 4 分数のわり算(計算の仕方を考える場面)
- 5 円の面積の求め方(公式を作る)
- 6 角柱の体積(公式を作る)
- 7 速さ(導入・速さの意味)
- 8 拡大図と縮図(縮図の利用)
- 9 比例(比例の利用)
- 10 反比例(反比例の導入)
- 11 文字を用いた式(活用する場面)
- 12 起こり得る場合(並べ方)
- 13 対称な形(線対称を応用する活動)
- 14 式とグラフ(既習事項〈比例・円の面積等〉のまとめ)
はじめに 子どもを育てる確かな技法
子どもが考え,分かるようになり,できるようになり,そして学習したことを使えるようにすることが重要です。算数科で学習したことが使えるようになることについて,本書では,次の4通りを想定しています。
○ 算数で学習したことを使って,算数の問題を解決できる。
○ 算数で学習したことを使って,新しい算数の内容を学び取ることができる。
○ 算数で学習したことを,他教科・領域の学習に使うことができる。
○ 算数で学習したことを,生活に生かすことができる。
この他にも,算数で学習した見方や考え方を,自分の現在及び将来のものの見方や考え方,生き方に活用することが考えられますが,これは,数学を学び,もっと先に行って醸し出されてくるものではなかろうかと思います。
学習したこと(知識,技能,数学的な考え方など)が身につき,活用できるようになるためには,平素の授業の中で,PDCAサイクルが確立し,特にD(教師が指導し,子どもは学習する)に対する,C(点検・評価:子どもの学習状況や反応を素早く適切に捉える)及びA(子どもの学習状況や反応に応じて,その時その場で,一人一人に適切な支援・指導の手立てを講じる)を充実させることが不可欠です。これが,「指導と評価の一体化」の実像であり,このことを教室の中で,毎時間,実施していくことが,授業の充実ということだと考えます。
しかしながら,改訂された新しい小学校学習指導要領では,指導内容と授業時数が増大し,教科書も厚くなって,「指導と評価の一体化」の必要性は十分に理解しながらも,具体的にどのようにしたらよいか戸惑っているのが,子どもと毎日向き合っている教師の現実の姿です。特に,教職経験10年未満の若手教師は,指導した経験のない指導内容が加わったことで一層当惑している状況があります。
現場の多くの教師には,PDCAサイクルの中で,CAについて「具体的にどのような技法を用いればよいのか?」を求めて,悩み,苦しんでいるのが実態であります。
そこで,授業の中で,こうすれば,
○ 子どもが考えるようになる
○ 進歩し,分かるようになる
○ 実際にできるようになる
○ 学習したことを使って,問題を解決することができるようになる
○ 学習したことを使って,新しいことを学び取ることができるようになる
というような簡単で,効果のある「ミニ技法」の実例を紹介し,前向きに悩んでいる教師の皆様へ,エールを送りたいと考え,本書の刊行を企画いたしました。
幸いに,算数教育に熱心に取組まれている方々の協力が得られ,「簡単で効果の上がる技法の実例」を満載した本書を刊行するに至りました。何かとある中から本書への玉稿を優先してくださった執筆者の皆様に心から感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
本書が一人でも多くの人の目にとまり,活用していただけることを願っています。そして,読者の忌憚のないご批判とご指導を切望する次第です。
また,曖昧模糊とした思いを,このように素敵な姿に組み上げて下さった編集部の安藤征宏氏に対して特に名を記して感謝申し上げます。
平成23年3月3日 編者 /小島 宏
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- 明治図書