- はじめに
- T 子どもの「気になる言動」をとらえる確かな目
- 1 教師修行
- 2 教師の心構え
- 3 効果的な方法
- U 子どもの「気になる言動」学級生活編
- 1 学級になじめない子ども
- 2 私語が多い子ども
- 3 はっきりものが言えない子ども
- 4 嫌いな子をのけ者にする子ども
- 5 朝からぼんやりしている子ども
- 6 落ち着きのない子ども
- 7 情緒不安定な子ども
- 8 掃除に参加しない子ども
- 9 友達と遊べない子ども
- 10 告げ口・中傷する子ども
- 11 約束やルールの守れない子ども
- 12 言葉が極端に荒い子ども
- 13 敬語の使えない子ども・あいさつのできない子ども
- V 子どもの「気になる言動」 授業・学習編
- 1 頑張っている割に成績の上がらない子ども
- 2 作業に極端に時間のかかる子ども
- 3 特定の教科を苦手にしている子ども
- 4 集中力のない子ども
- 5 宿題をしない子ども
- 6 ノートの取り方が極端にひどい子ども
- W 子どもの「気になる言動」 非行編
- 1 いじめっ子
- 2 いじめられっ子
- 3 たかりをする子ども
- 4 夜遊びする子ども
- 5 金遣いの荒い子ども
- 6 学校(学習)をさぼる子ども
- 7 万引きする子ども
- 8 シンナーを吸う子ども
- X 子どもとのふれあいを確かに(まとめ)
- 1 怒鳴ってすむ時代は終わった
- 2 気になる言動の裏を探る
- 3 車間距離を保ち、近づいたり離れたり
- おわりに
はじめに
学級崩壊
この四文字が新聞や雑誌に大きく取り上げられるようになった。
今から、三年前、こんな話を担任していた子どもたちから聞いた。
当時、私は、鳥取大学附属小学校に勤務していた。
「先生、市内のねX小学校ではね、宿題なんか出す子どもの方が珍しいんだよ。だいたい、担任の先生の言うことなんかみんな無視。注意されても、全く聞かなくて、授業なんてみんな勝手なことをしているらしいよ。」
私は、そんなひどい学級があるはずがないと思った。だから、そう言った子どもに「そんなことはないでしょ。それに、そういう人から聞いたことを鵜呑みにして信じてはいけません。」と言った。
すると、近くで聞いていた子どもが私に猛反発してきた。その話は本当だと言うのである。
サークルで情報交換したとき、市内の幾つかの学級が似たような状況にあるということを知った。
咋年度、公立小学校に転勤になった。
十年ぶりの公立小学校は、附属とは全く別世界であった。指名すると泣きだし、全く人前で話ができない子ども、やくざのような言葉で友だちを罵る子ども、自分のいやな行事があると決まって休む子ども、更には、不登校の子ども。
私は、どうしていいのか、どう対応していけばよいのか困った。途方に暮れた。
ただ、授業中、勝手なことをするような子どもがいるわけではなく、楽しい学級であった。子どもたち一人一人の力が確実に伸びたと実感できる一年であった。
さて、この年、幾つかの小学校の幾つかの学級が崩壊した。担任の先生は、病気療養の形を取って学校を休むようになった。
私の知るその先生たちは、前任校では「とてもよい先生」として知れていた。ある程度の経験を経たベテランの先生でもあった。
これまでにもあった新卒教師の学級が崩壊するのとは、明らかにその様相が違ってきている。単に教師の経験や力量が不足して学級が崩れるのとは違うのである。
ここに、大きな問題がある。
私は、今から五年くらい前から教育学部の学生が大きく変わってきたと感じた。それまでに通じた指導が通じないのだ。同じようなことが、今の子どもたちにも言えるのではないかと思う。これまでのような指導の仕方、対応の仕方では通用しなくなってきているのである。
本書には、変わってきた子どもたちの問題行動をどう捉えたかを具体的に述べた。
そして、どう対貯してきたかをまとめた。
勿論、うまくいったことばかりではない。
本書を手にとって下さったみなさんに、少しでも参考になれば幸いである。
いなば教育サークル代表 /長谷 博文
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