- はじめに 〜子どもへの願い,体育授業への期待〜
- 第1章 体育授業づくり10の考え
- 1 体育授業を専門に研究する教師として
- 2 よりよい体育授業へ向けて
- 3 自分の授業を振り返る
- 4 研究授業をする
- 5 教材づくり
- 6 単元の組み方
- 7 評価・評定
- 8 安全への配慮
- 9 準備運動
- 10 子ども同士のトラブル
- 第2章 体育授業を「もっとやさしく」
- 1 子どもに「優しく」,教師に「易しく」
- 2 シンプルな学習内容
- 3 シンプルな授業構成,授業方略
- 4 シンプルな言葉がけ
- 第3章 「もっとかかわる」体育授業
- 1 教師が子どもにもっとかかわる
- 2 子ども同士がもっとかかわる
- 3 かかわり方の指導
- 第4章 体育授業で言語活動を充実させる
- 1 他者観察から運動のポイントを明確にする
- 2 自己観察から運動の感じを言語化する
- 3 オノマトペを使って
- 第5章 体育にも教科書を!
- 1 体育で教科書を使うことの意義
- 2 教科書としての学習資料を使ったダルマ回りの研究実践
- 3 全国の先生方の意識と教師の力量形成
- 第6章 「もっとやさしく,もっとかかわる」体育授業の実際
- 【体つくり運動領域 1〜6年】 折り返しの運動
- 【器械運動領域 2〜4年】 ダルマ回り(かかえ込み回り)
- 【器械運動領域 1〜6年】 かべ逆立ち
- 【ボール運動領域:ゴール型 4〜5年】 ラインゴールハンドボール
- 【ボール運動領域:ネット型 5〜6年】 キャッチアタックバレー
はじめに 〜子どもへの願い,体育授業への期待〜
どの運動にも目を輝かして取り組み,できたり勝ったりしたときは全身を使って喜び,できなかったり負けたりしたときは思い切り悔しがる。多少の難しいことでもめげずに頑張ってやり続ける。友だちに優しく,気遣いながらも楽しく運動する。けんかになっても話し合い,自分たちで折り合いをつける。教師の話や指示は集中して聞き,よく考えながら取り組む。そして,休み時間になればみんなで運動場へ飛び出し,鬼ごっこ,縄跳び,鉄棒,ボール遊びと夢中になってかけ回る……そんな夢のようなクラス集団,1人ひとりの子どもになって欲しいと思う。
私たち小学校教師は,目の前の子どもたちへの願いを実現させようと体育授業に対してさまざまな期待をもっている。そして,体育授業を行うことで子どもたちが育ち伸びゆく姿を感じたいと思っている。そんなさまざまな期待がある中で私は,体育授業で子どもたちがいろいろな運動ができるようになることを最も願っている。そして単にできるだけでなく,友だちとかかわり合いながらできるようになることを期待している。「友だちのお手伝いがあったからできるようになった」「友だちの応援があったから頑張れた」という思いをもたせたい。また,「お手伝いをしていた友だちが1人でできるようになった。自分のことのようにうれしい」「友だちを応援したら,いつも以上に頑張ってくれてうれしい」という思いをもたせたい。かかわり合いながらできるようになることで,信頼関係が生まれ,集団が高まる。体育授業ではそのような学びを意図的に展開できると考えている。
「よい体育授業ができればクラス集団が高まる。体育授業と学級経営とは表裏一体である。体育は人間形成に役立つ」そんな言葉をよく耳にする。体育授業は万能ではないが,そういった一面もあるのかなと思う。力のある教師の体育授業は素晴らしい。そして学級経営も素晴らしく,子どもたちがのびのびしている。では,私の授業は素晴らしいのかと問われれば,そんな自信はない。むしろ逆である。私自身は,小学校教師としての経験がそれほど長いわけでもなく,授業が特別上手であるということもない。子どもたちを可愛く思い,伸びていく姿を見てやり甲斐や喜びを感じ,少しでも子どもたちのためによい授業をしようと専門としている体育の授業を一生懸命に学んでいる。小学校教師としては,どこにでもいるごく普通の教師である。そんなごく普通の教師が,よい体育授業ができるようになることを志し,日常の授業の中でできることを研究的な視点も含めて模索した。日常の実践の中で見えてきたこと,できることをまとめてみた。
本書は,次のような方に是非とも読んで欲しい内容となっている。
・体育授業と学級経営との関連を考え,学級全体を肯定的な雰囲気にしていきたいと考えている先生。
・研究授業などで体育を本格的に取り組もうとしている先生。
・研究的に新しい視点からの体育授業を模索し,ヒントを探している先生。
・体育授業を専門として学んでいる先生。
・理論を学びながらも現場の生の声を知りたいと思っている学生。
率直なご批評をいただければ幸いである。
本書の特徴としては,次の点にある。
・背景となる考え方を第1章〜第5章(理論編)に示し,その具体的な実践を第6章(実践編)に示した。
・第1章では,体育授業を研究していくにあたっての考え方を示した。公開授業の後でよく聞かれる内容にも触れている。
・第2章と第3章では,体育授業における「もっとやさしく」「もっとかかわる」というキーワードについて考えを示した。
・第4章および第5章では,体育授業における言語活動や体育科の教科書について研究的に授業を試み,その成果を示した。
・第6章では,理論編をベースとした具体的な授業実践を示した。
なるべく多くの先生方に読んでいただきたいという思いから,できるだけ平易な文章を心がけた。どうしても文字が多くなってしまうので,大事なところは囲みをして,視覚的にもわかりやすいよう心がけた。授業づくりのヒントとして使ってもらえれば幸いである。
最後に,本書の出版にあたってお世話になった明治図書出版の三橋由美子氏と川村千晶氏に心からお礼を申し上げたい。
2011年2月 著 者
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明治図書
















