- 監修のことば
- 第1章 個別の指導計画を生かした通知表の作り方
- 1 通知表,個別の指導計画,学習指導要領,指導要録との相互の関連
- 2 個別の指導計画を生かした通知表作成の流れ
- (1) 小学校 特別支援学級
- (2) 中学校 特別支援学級
- (3) 特別支援学校
- 第2章 個別の指導計画を生かした通知表の文例集
- 1 小学校 特別支援学級文例集
- (1) 国語
- (2) 算数
- (3) 音楽
- (4) 図工
- (5) 体育
- (6) 外国語活動
- (7) 特別活動
- (8) 日常生活の指導
- (9) 生活単元学習
- 2 中学校 特別支援学級文例集
- (1) 国語
- (2) 数学
- (3) 社会
- (4) 理科
- (5) 音楽
- (6) 美術
- (7) 保健・体育
- (8) 技術・家庭
- (9) 外国語
- (10) 総合的な学習の時間
- (11) 生活単元学習
- (12) 作業学習
- 3 特別支援学校 文例集
- (1) 国語
- (2) 算数・数学
- (3) 音楽
- (4) 図工・美術
- (5) 保健・体育
- (6) 自立活動
- (7) 総合的な学習の時間
- (8) 日常生活の指導
- (9) 遊びの学習
- (10) 生活単元学習
- (11) 作業学習
- 4 総合所見の書き方
- (1) 小学校 特別支援学級
- (2) 中学校 特別支援学級
- (3) 特別支援学校
- COLUMN 保護者連携の架け橋の役割を果たす通知表を
監修のことば
通知表の作成についての法律や規則などの決まりはありません。通知表・通信表・通信簿などと呼び,各学校では,「あゆみ」「かがやき」「のびゆくすがた」などのようなタイトルをつけて発行していることが多いようです。法定表簿である指導要録とは異なり,その作成は学校の任意であることにも一因があるようです。したがって,通知表を発行しない学校も存在したりしますが,通知表を発行しない学校でも,学期末に学級担任と保護者との面談などを行い通知表に代えたりしています。そのため一般的には,大半の小・中学校や特別支援学校では,通知表を作成し,保護者に児童・生徒の学習の評価を含む学校生活の状況(教科の成績や生活の記録など)を伝えることが行われています。
一方,個別の指導計画は,平成20年に改訂された小学校及び中学校学習指導要領において「障害のある児童生徒などについては,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,例えば指導についての計画又は家庭や医療,福祉などの業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどにより,個々の児童生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。特に,特別支援学級又は通級による指導については,教師間の連携に努め,効果的な指導を行うこと。」とされています。また,平成21年に改訂された特別支援学校学習指導要領の総則においては「各教科等の指導に当たっては,個々の児童又は生徒の実態を的確に把握し,個別の指導計画を作成すること。また,個別の指導計画に基づいて行われた学習の状況や結果を適切に評価し,指導の改善に努めること。」とされ,作成と活用が義務付けられています。
本書は,個別の指導計画を生かした通知表記入例や文例を示していますが,通知表の作成に当たっては,「個別の指導計画に基づいた状況や結果を適切に評価」することが前提となると考えます。評価に関係する事項については,平成22年に中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会が「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」に示しています。この報告では,学習指導要領において示された基礎的・基本的な知識・技能,それらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力等及び主体的に学習に取り組む態度の育成が確実に図られるよう,学習評価を通じて,学習指導の在り方を見直すことや個に応じた指導の充実を図ること,学校における教育活動を組織すること等が重要とされています。また,保護者や児童・生徒に対して,学習評価に関する仕組み等について事前に説明したり,評価結果の説明を充実したりするなどして学習評価に関する情報を積極的に提供することも重要としています。
本書で提案している個別の指導計画を生かした通知表の作成は,中央教育審議会の報告の「個に応じた指導の充実」や「評価結果の説明の充実」にもつながると考えます。新しい学習指導要領に対応した学習指導と学習評価が適切に行われるために個別の指導計画を作成することや通知表によって保護者への説明を充実させるために,本書がいささかでも役立てば幸いです。
平成24年2月 監修者 /宮ア 英憲
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