私学の伝統 品格のある子どもを育てる格言集

私学の伝統 品格のある子どもを育てる格言集

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学校生活の中で見つけた、小さいけれど光輝くヒントや気付き

男子のみの私学として有名な暁星小学校。伝統と格式を重んじるなかでの人間形成はどういうミッションのもとで展開されているのか。そこでの教師修行とは?公立校とは違う側面を実践を通して明示。将棋の羽生名人との交流を通し、教育の真髄も汲み取れるところも新鮮!


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ISBN:
978-4-18-016535-3
ジャンル:
教育学一般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 152頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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「序文」
教師道の探求者 /中野 洋二郎
小さな砂の集まりでも /安次嶺 隆幸
T 新米教師の時代
一.あの日、私学の教師としての舞台の幕が……
テストは新鮮な魚、新鮮なうちに処理せよ/学校に行きたくないと言われたら負け/休み時間なし/学校は休まない/子どもにもう一度チャンスを/低学年は子ども×2が相手/一時間一時間が勝負/朝、教室で子ども達を待つ/放課後の机の整理が反省の場/首をまわして指名
二.私学と伝統
一学年一クラスとして/点数は大きく/笑顔で帰せ/成長の足跡を残せ/低学年にあたりまえはない。あたりまえを認めよ/子どもの世界を知る/話は、ゆっくりと/話の途中で確認を/先生、次に何やるのゼロへ/子どもの目が下がったら負け
三.私学研修会での発表と研究サークル
U 二十代教師時代
一.「低学年の担任として大切なことを発表してくれないか?」
指君、鉛筆君、遊ぼうは子どものサイン/誰でも認められたい/導入で授業は決まる/子どもと一緒にテスト/授業中の子ども、遊びの子ども/おはよう、よく来たね。先生、嬉しいよ/人の話を聞く/教室は失敗する所/全員が列車に乗り込むまではドアを閉めない/ゆっくり、あわてず一歩一歩
二.教師修行
遊びを大切に/生活時間を朝型に変える/先輩の技術、長所を盗む/話し方・教師の位置の技術/花、生き物と共に/質問の答えは全員に/答えを早く出すな、一日待て/テストの返し方がポイント/子どもの生の声(作文)を使え/グループ面談とお茶/子どもの成長が家庭への返事/一年間完全投球/「、」・「。」に注意して、ゆっくり読む/おもらしの世話がポイント/具体物が授業のカギ
三.将棋修行
夢を話す/テストは二回、直した評価を/教室の中の環境、なくなり物は教師の責任/採点したテストは一人ひとりに声をかけて/授業案は板書から/文字は机の上の置き場所から/範読は歩きながら/プリント集めの子への一言/ストローの袋は先に集める/参観日には学校を回れ/体操見本は一テンポ早く/プリントの配り方も工夫を、サンドイッチ方式で/歩きながら話を/仕事は朝に/教育場面問題集のすすめ/辞表を胸に…
V 三十代教師時代
一.私学の独自性と自己研修の時間
テストを返すこと…子どもを信じること/グループ作業の時は視線に注意/グループ作業の手、片付け、準備/ポケットに三つ、@ポケットティッシュとA絆創膏とB鼻血止め/教室に、バケツに砂と新聞紙/教師が生き物の世話を/なおしたい時は、近くの子を使え/笑顔で叱れ、笑顔で話せ/授業の中にメッセージを
二.子ども達とともに
しゃがんで話せ/自分の名前の意味を/いつも初日、入学式が勝負/成長の足跡を残す指導を/欠席したらチャンス/授業を見てもらう勇気を/参観者にも一言/参観日にはメッセージ授業を/後ろに回って授業を/音読は背後から/教室にペットボトルじょうろを/朝顔は連休前に/見直しは指先真っ黒/きれいよりも丁寧に/「めんどうくさい」の排除/教育はピンクの毛布=^カルナナンダ選手のように/落とし物箱はつくらない/忘れた子を誉めよ/文字の指導は左(鉛筆を持たない)手がポイント/丸付けの後には確認を/間違えた人……正直に/後ろから、……揃えて/質問をして板書を/板書したら、机間巡視(後ろへ)を/学級(学年)通信には担任、保護者と「保護担」を/保護担の返事は児童を通して/教師の笑顔がクラスを変える/できることだけをやる/子どもの可能性を信じて
三.男の子だけの世界
低学年は、丁寧さを/子どもの要望に、いいよ、と答える勇気を/鼻血はチャンス、ティッシュを貸した子に一言/集会、作業中、トイレはトイレを呼ぶ/絆創膏が手紙の印/板書の右手は目の上/板書の左手で音をたてよ/空書きは、鏡文字で/黒板拭きの三つの効果@声A次B気持ち/教師の笑顔(姿勢)が児童の笑顔(姿勢)/鍛え直すには、教育実習生を/全体指導は、トラメガと地声で/元気と勇気は生き物/拍手は帰ってくる/幸せはポケットに…ゆとり/授業はパズル…順序で変わる/やる気の眼を/大切なことは、チョークを止めて、振り向け/額に手を当てて、眠らせる/語り合える仲間を
W 四十代教師時代・一
一.全国での講演会の出会いから学ぶ
まずは教師と保護者が笑顔と元気を/忘れ物ゼロには…『ポストイット忘れ物ゼロ法』/折り紙を折りながら/階段を使います/先生同士も会釈を/講演会、資料は最後に/機器は時間を生み出すために/制服の意味を/自分が見ています/晴れた空をグランドから寝て見ます/ゆとり、笑顔、楽しむ/握手と拍手/子どもの横顔を/真面目と正直/親の笑顔は子どもの笑顔/挨拶の後が大切/姿勢とやる気は、児童の足下を揃えることから/困ったら相談/朝のコンタクトは、チャペルから/子どもの心にケロちゃん話/朝の祈りから/祈りは、がまん/帽子はサッカーボールではない/教室の後ろから、指導を/手すりは、、滑り台ではない/傘の先は、地面と空を向く/金ボタンを六つ触らせる/ホックをしめることは、気持ちを引き締めること/制帽は、選ばれた印/机の上は、心の鏡
二.将棋の修行と教師修行
机の中も、心の鏡/拍手は、帰ってくる/室内での帽子は右手に/帽子を取ること、お辞儀をすること/間違えたことを正直に言う勇気/学年で同じ方向を向く/共感の授業…いたいね/一年の一学期は六年間の縮図/全てをプラスに/あすに…/講演会では、お土産を/授業中、机の上に水を/長考(悩み)は、いつか花をさかせる/保護者会には親睦ゲームを/自分を動物にたとえると/同じ教材を一人から集団へ/夢、笑顔、ゆとり/隣に座って話す/負けましたが大切/チョークは指揮棒/小さな石ころはいつまでも宝物/人のやり方を取り入れる/将棋の歩のように/お茶とお菓子で学年会/会議はレジメを/ゴミ箱を見つめて/握手に強弱を/来年の三月までには…/辞める覚悟で/先輩は偉大
三.私学は小一をどう教育しているか?
新人を見て反省する/年下の人の講習会へ/自分の流儀を隠す/子どもの言い方から学ぶ/子どもの席に座って/早朝の教室での雑巾がけ/掃除は心をきれいにすること/一人を褒めることはみんなを褒めること/悔し涙の価値を/毎日の積み重ねを/保護者からの感謝がエネルギー/また担任をしてください/三学期、別れのカウントダウンを/選手を選ぶことと拍手の意味を/全力投球した後に/〇〇するために生まれてきた/陰で働いている人に気付くこと/講演料は全て還元する/出会いと仲間に感謝/一歩を続ける人に!
X 四十代教師時代・二
一.現代の子ども達と家庭
入学の準備は、その子との無言の会話/同じ方向に向いていくこと/入学式は握手で/創作童話は子どもと一緒に/子どもの素顔は遊びの中に/ちょっとしたことが…/時間を分類する/机の上を拭きながら/となりの子と/保護者会での拍手
二.小一プロブレム
やりやすいクラス、うるさいクラス/教科書にハンコ/一番前の席と、一番後ろの席/今度またやったら…/忘れ物しました。…よかったね!/今やるべき一つのことを/五月のぶつかり合い/楽しい時間は集中した時間/遊びの中に/ごめんねといいよ/事前準備を大切に/小さなトラブルには/母の日カードは、自分も嬉しい/しなやかにしっとりと/保健室から戻ってきた子に/いい文字に〇を/頭の中のスクリーン/休み時間の子どものことを/駅まで一緒に/子どものように
三.これからの自分にできること
ゴムをひっぱるように/近くの子と遠くの子/朝教室で折り紙を/掲示物が見ている/一日一時間、二十年間/料理と同じ/報告してくる子に…/ごめんねは消しゴム/子どもの眼と親の眼/参観日には一言感想/心の姿勢/誰が見ている?/静かに、ゆったりと/楽しみがあると/小さな一歩の積み重ね/おみくじは赤い糸/これが最後と思って…/感想はエネルギー/何が変わったか?/地道にコツコツと
〜終わりに〜

序文

  教師道の探求者


 私は、教育の根源的な営みは、人と人との意図的或いは無意図的なかかわり合いの中で、価値を伝え合い、学び合うことだと考えています。その価値は必ずしも言葉になるものだけではありません。言葉にならない心のメッセージを伝え合い、感じ合うことも教育の営みの大きな要素です。

 教師の役割の原点は、この価値を「伝え合う」、「学び合う」ことを扶けることだと考えます。つまり、一方的な「知識や技能の伝達」だけではなく、極めて人間的な心の交流をともなったかかわり合いをつくっていくことが学級経営の基礎・基本と言えます。

 安次嶺先生は、教師と子ども、子ども同士の望ましい形でのかかわり合いをつくっておられます。その根底には、子ども達一人一人に対する愛があります。安次嶺先生はやさしいばかりではありません。学級が、どの子にも安心して生活し、学習する場となるためには、守るべきルールがあります。また、友だちに対するかかわり方についての配慮も必要です。安次嶺先生は、学級づくりの初期の段階で、そのことについて徹底して教え、指導されます。そのことを頑固に求められる先生は、時に子ども達にとって怖い存在でもあります。それは恐怖感というものではなく、先生の教えを心底納得した上で、それを一貫して求められる厳しさに対するものです。

 まさに、教師にはやさしさと厳しさ、そして一貫性が必要だと思います。子どもを伸ばすためには、子どもへのかかわりの中に、「鍛える」という側面も必要です。望ましい学級集団は放っておいて自然にできるものではありません。安次嶺先生の実践は、まさに両面の調和のとれたものと言えます。

 安次嶺先生は、常に本物の教育を求めて、日々研修され、工夫されています。だからこそ、私は、安次嶺先生は教師道の探求者だと思うのです。


   暁星小学校 校長・狛江市教育委員長 /中野 洋二郎



  小さな砂の集まりでも……


 様々なことがめまぐるしく起こる学校の生活の中で、ちょっとしたヒント、気付きを集めたものです。格言とはいうものの、その当時、その時に悩んだり、苦しんだり、笑ったり、感心させられたりした、子どもから教えられた小さな砂の集まりです。そんな砂の数々でも、集めてみて、自分なりに磨いてみることにより、その人の宝石(格言)のように輝いてくると思うのです。

 教育の場で、教員同士や保護者の方とも互いに尊重し合い、自分なりに気付いた宝石(格言)を自由に語り合い、共有出来ればと願っています。


 この前書きは、一九九九年の夏に書いたものです。「……教員同士や保護者の方とも互いに尊重し合い……」と願いを込めて書いた思いが、今現実になろうとしています。

 今の教員はとても忙しい。日々の子ども達とのふれ合いだけでなく、保護者への対応、要望に応えていくこと、学校側からの方針、行政側からの研修、そして雑務など自分の時間を持てなくなっています。『ゆとり』・『笑顔』・『夢』という教育の場においてもっとも大切なものが失われています。

 そんな教室、現場からのちょっとした気付きを、出来るだけ短い言葉で綴ってきてもう二十年以上が経ちます。子ども達とのふれ合う時間の中ですぐに思いついたことをメモし、時にはディクタホン(口述録音機)で録音しておいた記録がこの私の格言集となっています。小さな石ころの集まりではあるけれど、教育の本来の姿、子ども達とともに生きることを忘れてはなりません。新任のあの時の純粋な気持ちを持ち続けるための指針がこの中にあります。

 低学年の担任を多くしていると、「小学生六年間の縮図は、この一年生の一学期に凝縮されている」と感じます。今年の四月、新一年生が入学してきました。日々、短い言葉で綴ってきた足取りを二五〇の格言の中から振り返り、一担任の想いと子ども達の変容を感じていただけたら幸いです。

 各地の研修会&セミナーなどで、この格言集をもとに語り合いが増えてきました。様々な話題をお互いが語り合える場≠ェ今とても大切に思えます。

 これからも、そんな日々の自分自身の石ころ(宝石=格言)を謙虚に、子ども達とともに磨いていけたらと思います。


   暁星小学校 /安次嶺 隆幸

   (学校住所)〒102―0071 東京都千代田区富士見1―1―13

   (電話)03―3261―1510

著者紹介

安次嶺 隆幸(あじみね たかゆき)著書を検索»

■東京・暁星小学校教諭

■日本将棋連盟・学校教育アドバイザー

■私学教育研究会(あいすの会)主宰

「子どもたちとともに(私の教育格言集)」のテーマで,「フューチャー・ドリーム〜子どもサポート研究所」等,富山,神戸,名古屋,東京,埼玉,横浜など全国各地で講演,発表,セミナーを行う。

また,将棋では,中学1年の時,第1回中学生名人戦出場。

その後,プロの剣持八段の門下生として弟子入り,中高と奨励会を受験。

現在,日本将棋連盟の学校教育アドバイザーとして,各地で「子ども将棋教室」をボランティアで開催。学校教育への将棋の教育的意義を提唱。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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