中学校 「スピリチュアルな価値観」を育てる道徳授業
〜子どもの「内なる力」を呼び覚ます〜

中学校 「スピリチュアルな価値観」を育てる道徳授業〜子どもの「内なる力」を呼び覚ます〜

インタビュー掲載中

中学生が“生きる意味”をみつける道徳授業の大胆提案

「スピリチュアルな価値観・人生に意味を見出せるようになる価値観」を育てることは、無気力や不登校を防ぐことにもつながると監修者・著者は訴える。エクササイズやワークシートを取り入れた新しい道徳授業で、中学生が“生きる意味”を考えます!


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ISBN:
978-4-18-008039-7
ジャンル:
道徳
刊行:
対象:
中学校
仕様:
B5判 120頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年12月17日
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目次

もくじの詳細表示

監修者のことば
はじめに
T なぜ今,「スピリチュアルな価値観」なのか
1.「スピリチュアルな価値観」とは何か
―世界保健機関(WHO)の定義をもとにして
(1)世界保健機関(WHO)の「スピリチュアリティ」の定義
(2)1998年にWHOで提案された健康定義 ―追加された「スピリチュアルな面での健康」―
(3)WHOの健康定義に「スピリチュアル」という語が追加された理由
2.「スピリチュアルな価値観」を育てる道徳教育には,どのような内容項目があるのか
―WHO「スピリチュアリティの領域を測定するための尺度」を基に
(1)WHOが作成した「QOLの尺度」 ―スピリチュアリティの次元は不可欠な要素の1つ―
(2)WHOのスピリチュアリティの領域を測定するための尺度 ―その8側面―
(3)まとめ ―「スピリチュアルな価値観」を育てる道徳教育の内容項目7つ―
(4)補足的説明:スピリチュアリティ ―WHOとは別の定義と要素―
3.なぜ子どもに「スピリチュアルな価値観」を育てる必要があるか
(1)子どもたちの問題行動を解決していくために
(2)「自殺予防教育」「いのちの教育」を推進していくために
(3)子どもたちの心をより良く育てていくために
4.「宗教教育」と「スピリチュアル教育」の違い
(1)「宗教」と「スピリチュアリティ」,「宗教教育」と「スピリチュアル教育」は異なります
(2)「スピリチュアルな価値観」の育成には,「学校教育の場」が重要な役割を果たします
(3)公教育の場では,「宗教教育」を進めていくことはできませんしかし,公教育の場で「スピリチュアル教育」は進めていった方がいいと思います
U 「『スピリチュアルな価値観』を育てる 道徳教育」の推進の方法
1.なぜ「道徳の時間」で「スピリチュアルな価値観」を育てるのか
(1)心の問題を扱う「道徳の時間」が一番進めやすい
(2)「スピリチュアルな価値観」は道徳教育の根幹です
2.「『スピリチュアルな価値観』を育てる道徳教育」を推進する方法は,どのようなものか
(1)「体験」や「イメージ」を大切にする授業 ―「過去の体験を生かす」「授業中に体験活動を行う」―
(2)「対話(討論)」や「表現する活動」を大切にする授業
V 「スピリチュアルな価値観」を育てる道徳授業
実践1 「大いなるものとのつながり」を育てる
読み物資料→「たとえぼくに明日はなくとも」
エクササイズ→「賢者とつながる」
実践2 「生きる意味の感覚」を育てる
読み物資料→「命を見つめて」
エクササイズ→「呼吸(息)を止めてみる」
実践3 「人間を超えたものへの『畏敬の念』」を育てる
読み物資料→「不思議な光景」
エクササイズ→「私の運命の星」
実践4 「からだ・こころ・たましいのつながり」を育てる
読み物資料→「必要なものを集め,一体化させ,統合すると……」
エクササイズ→「三角形のエクササイズ」
実践5 「内なる心の強さ」を育てる
読み物資料→「イジケ虫で暴走族の14歳が出会った禅の教え」
エクササイズ→「自分を超えたもう1人の自分,『より大きな私』」
実践6 「内なる平和」を育てる
読み物資料→「苦痛の限りを身に受け,なお 〜Jからの手紙〜」
エクササイズ→「木のワーク」
実践7 「希望を抱き続け,前向きに生きる態度」を育てる
読み物資料→「人間万事塞翁が馬」「アラジンと魔法のランプ」
エクササイズ→「疑似喪失体験」「アラジンの魔法のランプ」
Q&A ご質問にお答えします!
◇おわりに
◆引用文献・参考文献

監修者のことば

 本書『中学校 「スピリチュアルな価値観」を育てる道徳授業』は,これまでの道徳授業にどこか物足りなさを感じていたすべての先生方にぜひ,読んでいただきたい本です。

 スピリチュアル,スピリチュアリティとは,「人間のこころの最も深いところ(深い層)のはたらき」です。

 ではなぜ,「スピリチュアリティ」「スピリチュアルな価値観」を育てることが必要なのか。

 私は,次の4つを挙げておきたいと思います。


 1つは,日本の子どもたちに気高い心,崇高な精神性を育ててほしいからです。

 道徳教育の根本は,言うまでもなく,「高い精神性」を育てていくことにあります。

 けれども,現実には,道徳教育のこの根本課題に正面から計画的かつ継続的にかかわっている授業をされている先生はあまりおられません。

 スピリチュアリティ=「高い精神性」という人格形成の根本課題に正面から取り組む教育授業実践,そうした授業の記録を収めたのが,この本です。


 2つめは,人間の道徳性は,その根源において「人間を超えたもの」とのつながり(スピリチュアリティ)において発達し成長していくものだからです。

 私自身,まだ5歳だったころ,自分の道徳性が飛躍的に高まった経験をよく覚えています。北九州市八幡東区の自宅で,ふとんに入って寝ようとしていたときのことでした。恥ずかしいので内容は言えませんが,私は,その日に幼稚園で自分がおこなった「ある友だちへのいじわる(仕返し)」を思い出していました。

 昼間,起きていた時は「ぼくが悪いんじゃない。あの子が先に意地悪をしてきたんだ……」と自分に言い訳をしていた5才の私は,夜,ふとんに入って天井を見つめていると,ふと,天井の板の「目」が,自分に問いかけてきているように感じました。誰にも知られていなくても,誰にも気付かれていなくても,この世界には「自分を超えた,何か,目に見えないもの」があって,自分が常にそれに見られているような感覚を覚えたのです。

 こわくなった私は,翌日,幼稚園の先生と友だちに自分から謝罪をしにいきました。

 それが何であるかはよくわからないけれど,「人間を超えた,見えない何か」(スピリチュアルな存在)が,自分のことを絶えず見つめている。誰にも知られていなくても,その「何か」は自分のことを常に見ている……。

 こうした,人生に対する「畏れ」の感覚,畏怖の念,すなわち,人間の心の最も深い層の働きである「スピリチュアリティ」こそ,日常道徳,社会道徳に先だって,それを超えて(メタレベルで)日常道徳や社会道徳を基礎づけているものだと私は思います。


 3つめは,子どもたちに「スピリチュアルな価値観や感覚」を育てることが,きわめてすぐれた「育てるカウンセリング」,「予防的カウンセリング」になるからです。具体的には,スピリチュアリティの育成が,不登校やいじめ,自殺などから子どもたちを守ることに役立つのです。

 今,多くの子どもが,人生に漠然とした,むなしさやさみしさ,空虚感を感じています。生きていることの手ごたえや実感を味わうことが出来ず,生きることの意味や価値を実感できずにいます。それが「どうせ俺は……」「どうせ私は……」という自己肯定感の低下をもたらしているのです。

 しかし,相良先生もお書きになっているように,「スピリチュアルな価値観や感覚を育てる」ことは,


 ●「自分は1人ではないんだ」

 ●「自分はなにかとつながっているんだ」

 ●「自分が生まれてきたことには意味があるんだ」

 ●「自分にはこの人生で果たすべき大切な使命があるんだ」


 という感覚を育てることにつながっていきます。それはまた,自分自身の存在への無条件の肯定感を育んでいきます。それがひいては,無気力や不登校,いじめ,自傷,自殺などの問題行動の減少にもつながっていきます。


 4点め。スピリチュアリティやスピリチュアルという言葉を学校教育の世界に正当に位置づける上で,この本は大きな意義を持っています。

 日本の道徳教育の発展に多大な貢献を果たし,文部科学省などでも大切な仕事をされてきた伊藤隆二先生は,事あるごとに,スピリチュアリティ,スピリチュアルな価値観や感覚を育てることの重要性を指摘されていました。それは,この概念こそが,人間の心や生き方,人格の柱となる高い精神性を示す重要な意味を持つ概念だからです。しかしこの数年,日本では一部の霊能者の活躍により,スピリチュアルと言えば,霊能のことであるかのような狭い偏った理解をされるようになってしまいました。これは,日本の学校教育や道徳教育にとって,たいへん大きな痛手であり,喪失です。人格形成の柱である中心概念を曲解されてしまったのですから……。

 くり返しになりますが,スピリチュアル・スピリチュアリティとは,「人間の心の最も深い層の働き」であり,「高い精神性」(崇高な精神性)のことです。怪しげなものであるどころか,「これこそ,道徳教育の(人格教育の)柱だ!」と言えるものです。

 「スピリチュアリティやスピリチュアルという人間の生き方,心,人格形成の重要な柱となる中心概念を学校教育の世界に正当に位置付け,しかも道徳の授業実践の核に据えていること」,これがこの本の大きな意義です。


 執筆者の相良先生は,人間の精神やこころについて,きわめて深く,広い学識をお持ちの公立中学校の教師です。もちろん授業の実践力もきわめて高い方です。しかも人間性/トランスパーソナル心理学をはじめとした現代心理学の英知にも通じておられます。

 相良先生が「並みの教員」ではないことは,本書をお読みいただければすぐにわかると思います。

 相良先生のような方が存在しておられることは,日本の道徳教育の宝だと私は思います。

 この本は,相良先生以外の方には,決して書けなかった本です。日本中探しても,このテーマで,このレベルの実践を,このような論理性を保って書くことができる方は相良先生おひとりでしょう。

 しかも先生は,私が小学生,中学生を過ごした福岡県北九州市の教員。たしか私の出身中学である引野中学校にもお勤めになったことがおありです。

 これも何かの,意味ある偶然(シンクロニシティ)でしょう。先生と出会わせていただいた偶然の力に,私は心から感謝しています。


 日本の道徳教育に,「対症療法ではない,ほんものの道徳授業」「日常道徳・社会道徳にとどまらない,より高い精神性を育てる道徳授業」を定着させるために,ぜひ,多くの先生方に本書をお読みいただきたいと思います。


  明治大学文学部教授 /諸富 祥彦

著者紹介

諸富 祥彦(もろとみ よしひこ)著書を検索»

1963年福岡県生まれ。筑波大学,同大学院博士課程修了。千葉大学教育学部教授(11年)を経て,現在,明治大学文学部教授。教育学博士。上級教育カウンセラー。「教師を支える会」代表。人間のこころの最も深い層に働きかける「ほんものの道徳授業」づくりに燃え,“心を育てる技法”を開発している。

相良 賢治(さがら けんじ)著書を検索»

1961年福岡県生まれ。横浜市立大学文理学部卒業。北九州市立浅川中学校教諭。日本学校教育相談学会北九州市支部事務局長。日本トランスパーソナル学会会員。学校カウンセラー。中級教育カウンセラー。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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