- 監修のことば
- はじめに
- 読者の皆様へ 〜この本の読み方〜
- 第1章 子どもの社会参加と自立をめざす「社会生活」の授業
- 1 特別支援教育に期待される「社会参加と自立」
- 2 本校における「社会生活」の設置
- 3 「社会生活」の具体的な進め方
- 4 「社会生活」の授業全般で留意したポイント
- 第2章 好きな物を買おう 〜買い物スキル獲得のために〜
- 1 なぜ買い物を教えるのか
- 2 好きな物を買おうの授業に向けて
- 3 学習指導要領との整合性
- 4 好きな物を買おう ◆実践事例◆
- ステージT
- @コンビニエンスストアでお買い物 ◆好きなお菓子が,ひとりで買えるように
- Aファストフード店で食事をしよう ◆ハンバーガーショップで注文できるよ!
- ステージU
- Bファミリーレストランで注文しよう ◆メニューを見て,デザートを注文するには
- Cスーパーで遠足のお菓子を買おう ◆こうすればひとりでも,支払いができるよ
- ステージV
- D日用品を買いに行こう ◆宿泊学習で使う歯ブラシを買おう
- Eショッピングセンターで服を買おう ◆お気に入りの服を買えることが,買い物学習の総まとめ
- 5 好きな物を買おうの指導を終えて
- 6 買い物の学習をする上での私たちの願い
- ○「シミュレーション(校内での模擬練習)」について考える
- 第3章 公共施設を利用しよう 〜公共施設利用スキル獲得のために〜
- 1 なぜ公共施設の利用を教えるのか
- 2 公共施設を利用しようの授業に向けて
- 3 学習指導要領との整合性
- 4 公共施設を利用しよう ◆実践事例◆
- ステージT
- @フードコートで食事をしよう ◆公共施設利用の第一歩は,なじみやすい場所から
- Aスムーズな健康診断をするために ◆健康診断は医療機関の受診につなげる練習の場
- ステージU
- B年賀状を出そう ◆郵便局の利用ができるように
- C図書館で本を借りよう ◆好きな本が借りられるように
- Dビデオ屋さんへ行こう ◆レンタル店を利用できるようになるために
- E市民プールへ行こう ◆公共のプールを楽しく利用するために
- ステージV
- F公民館で学ぼう ◆地域の人とともに,公民館の講座に参加しよう
- 5 公共施設を利用しようの指導を終えて
- 6 公共施設利用の学習をする上での私たちの願い
- 第4章 乗り物で出かけよう 〜公共交通機関利用スキル獲得のために〜
- 1 なぜ公共交通機関の利用を教えるのか
- 2 乗り物で出かけようの授業に向けて
- 3 学習指導要領との整合性
- 4 乗り物で出かけよう ◆実践事例◆
- ステージT
- @信号を見て横断歩道をわたろう ◆安全に交差点の横断ができるように
- ステージU
- Aひとりで電車に乗ってみよう ◆こうすれば,ひとりで電車に乗れる
- ステージV
- Bバスに乗って出かけよう ◆路線バスをひとりで利用できるように
- C初めてのところへ電車で行こう ◆ちょっと冒険して遠くまで行こう
- 5 乗り物で出かけようの指導を終えて
- 6 公共交通機関の学習をする上での私たちの願い
- 第5章 家事をしてみよう 〜家事スキル獲得のために〜
- 1 なぜ家事を教えるのか
- 2 家事をしてみようの授業に向けて
- 3 学習指導要領との整合性
- 4 家事をしてみよう ◆実践事例◆
- ステージT
- @レンジで“チン”しよう ◆冷凍食品の加熱が,調理の第一歩
- Aホットプレートで調理をしよう ◆誰でもできる一番簡単な調理
- ステージU
- Bカップめんをつくろう ◆調理の基本となるスキルを身につけるために
- C自分で布団を敷こう ◆就寝の準備ができるように
- ステージV
- D洗濯をしよう ◆自分の体操服を洗おう
- E食事をつくってみよう ◆野菜炒めがつくれるようになるために
- 5 家事をしてみようの指導を終えて
- 6 家事の学習をする上での私たちの願い
- ○「主体性を育む」について考える/「般化」について考える
- 第6章 「社会生活」で育まれる社会参加と自立の力
- 1 実践から見える「社会生活スキル」の学習の可能性
- 2 子どもの学びに即した授業パッケージの有効性
- 3 「社会生活スキル」を活かしていくために
- 4 「社会生活」によって培われる力とは?
- 5 未来に向けて
- おわりに
- 編集・執筆者紹介/執筆分担
監修のことば
この教育においては,自立と社会参加の実現は決してはずすことのできない重要な教育目標です。すべての特別支援学校や特別支援学級では,その実現に向け日々実践を積み重ねています。しかしながらその成果がどれだけ出ているかとなるとまだまだ課題は多く,一部の人の実現にとどまっているのが現状です。すべての人の自立と社会参加を実現するためにはどうすればよいか,今,新学習指導要領に基づいて各学校で指導内容や指導方法の検討が進められています。どのような内容を,どのような方法で指導すれば,実社会で通用するのか,職業生活,社会生活で機能する生きる力となり得るのかを明らかにすることが求められています。言い換えれば,今,学校で行っている指導内容や指導方法は本当に,子どもの将来につながり,役に立つものであるのかどうかを,子どもサイドに立って考えることが必要なのです。
本書は,まさに,これからの特別支援教育に求められている,こうした課題を解決しようと実践研究に取り組み,その成果をまとめたものなのです。これからの特別支援教育を推進していく上での貴重な指導参考資料と言ってもよいでしょう。
三重大学教育学部附属特別支援学校では,子どもたちが将来,社会で生きるためにはどんな内容の学習を,どのような方法で行わなければならないかをテーマとして,社会生活を軸に様々な実践研究を続けています。今現在の課題をクリアすることに焦点を当てるのではなく,学校卒業後の人生の質を高めるためにどうすればよいかを真剣に考えた取り組みを行っています。子どもたちの将来を第一に考え,小学部から生活の質,人生の質を高めようとする先生方の取り組みは,今後の特別支援教育の方向性を示す貴重な実践であると筆者は高く評価しています。
本書は,先生方が一貫して積み重ね得られた成果を厳選して編集したもので,特別支援学校のみならず特別支援学級においても,すぐに実践に移せるよう,「学習の計画」「学習の展開」「実践を成功させるためのポイント」をわかりやすくまとめています。そして,それが,他の本では見られない特徴でもあります。
本書を参考にして,多くの方に自立と社会参加を実現する実践を積み重ねていただき,彼らの人生の質を高めてほしいと心から願っています。
監修 /上岡 一世
-
- 明治図書