- まえがき
- 1 数学的モデリングとは何か?
- 1 問題解決
- 2 数学の応用
- 3 数学的モデリング
- 2 数学的モデリングの実践事例
- 1 リーグ戦の勝点(第1学年)
- 2 年金税問題(第1学年)
- 3 線香の燃える速さ(第2学年)
- 4 給水タンクの水量(第2学年)
- 5 動植物の保存(第3学年)
- 6 琵琶湖のブルーギル個体数(第2,3学年)
- 7 原材料の在庫調整(第3学年)
- 8 二大政党制の国の選挙(第2,3学年)
- 9 燃料高騰と漁業家,酪農家の生計(第2,3学年)
- 10 クロマグロ減少問題(第1,2,3学年)
- 11 血中アルコール濃度(第2,3学年)
- あとがき
まえがき
本書は,中学校数学における「数学的モデリング」について,実践研究を踏まえて提案したものである。
日本の生徒は,数学を現実場面に適用して考えることが弱く,数学が現実に役立つと思っていない傾向にある。そこで,現実場面の問題に数学を使う,役立たせるような学習教材をできるだけ多く与え,現実の問題解決に取り組む経験を積ませる必要がある。また,数学や総合的な学習などのカリキュラムに適切に位置付けることが大切である。
筆者は大阪教育大学の松宮哲夫教授のもとで1982年から「現実性をもつ課題の総合学習」(CRM学習)の研究に取り組み,数学教育国際会議ICMEや数学の応用とモデリングに関する国際会議ICTMAに参加して発表を行った。その中で,横浜国立大学の池田敏和教授や,メルボルン大学のMax Stephens教授と知り合い,交流することとなった。そのことが,ここに紹介する数学的モデリングの教材開発につながっている。
本書は,数学的モデリングの教材についての考え方と,11個の教材・実践事例からなっている。1章では,数学的モデリングの授業にかかわって,その理論的な背景を考察し,「問題解決」「数学の応用」「数学的モデリング」に分けて記述した。2章では,数学的モデリングの実践事例を11個示した。ほとんどが実際に中学生を対象に授業実践し,生徒の反応をとらえたものである。
本書をお読みいただき,読者の皆さま方から忌憚のないご意見をいただければ幸いである。なお,本書の出版に当たり,明治図書の編集部の方々,特に矢口郁雄氏にお世話になった。ここに改めて感謝の意を表したい。
2011年3月 /柳本 哲
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- 明治図書