- 序
- まえがき
- 第1章 理論編 論理的思考力&表現力が今、求められている
- T 教師の論理的思考力&表現力の現状と課題
- 一 若手教師の論理的思考力&表現力の弱点二つ
- 1 論理的文章の書き方の原則を知らない
- (1)学習指導案の項目十項目 (2)学習指導案の書き方を改善する (3)会議等の記録の原則 (4)会議記録の書き方を改善する (5)通知表の書き方を改善する (6)所見の書き方を改善する
- 2 公の場での話し方が不十分
- (1)あいさつ (2)電話の対応 (3)主任・管理職等への報告・連絡・相談
- 二 中堅・ベテラン教師の論理的思考力&表現力の弱点三つ
- 1 年間指導計画と実際の指導とにズレがある/2 文学的文章教材への偏愛、論理的文章教材への嫌悪/3 教師の「思い込み授業」が多い
- U 論理的思考力&表現力が今、求められている
- 一 今、なぜ論理的思考力&表現力が求められているのか
- 二 論理的思考とは何か
- 三 論理的思考力は発達する
- 1 初歩的な演繹的思考の発達/2 帰納的推論の発達/3 演繹的推論の発達
- 四 論理的思考の歴史
- 1 ギリシア時代から中世社会にかけての科学の発達の意義/2 科学の発達と社会の発達/3 十七世紀から二十世紀にかけての科学の発達/4 科学の発達と思考の形成
- 五 論理的文章の種類
- 1 文章の条件/2 文章の形式/3 論理的文章の概念規定
- 六 論理的文章は書き方が決まっている
- 1 論理的文章に必要な条件/2 論理的文章の構想/3 論理的文章の内容
- 七 論理的文章の歴史的移り変わり
- 1 演繹論理の思考法とは/2 帰納論理の思考法とは/3 帰納論理の思考法―実験の導入/4 帰納論理の思考法―観察の導入/5 日本最初の帰納論理研究者 寺田寅彦/6 「報告」の文章/7 「記録」の文章/8 「説明」の文章
- V 論理的思考力&表現力を育成する授業とは
- 一 学習指導要領で求める論理的思考力&表現力とは
- 二 中学校国語科の授業時数
- 三 中学校国語科の評価規準を考える
- 1 「国語への関心・意欲・態度」についての評価規準/2 「話す・聞く能力」についての評価規準/3 「書く能力」についての評価規準/4 「読む能力」についての評価規準/5 「言語についての知識・理解・技能」における評価規準
- 四 中学校国語科指導の基礎とは
- 1 音読/2 ノート指導/3 適切な発問・指示・説明
- 五 論理的文章を書く指導を独立させる
- 1 キーワード・段落(木下是雄『理科系の作文技術』)/2 論理的文章の文章構成/3 論理的文章の評価基準(評定の方法)/4 論理的文章を書く意義
- 第2章 実践編 論理的思考力&表現力を鍛える授業アイデア24
- T 「読む」指導例―全体をとらえるための―(教科書教材)
- 一 脳の働きを目で見てみよう(東京書籍1年)
- 1 教材の特徴/2 指導計画(3時間扱い)/3 学習の課題
- 二 ちょっと立ち止まって(光村図書1年)
- 1 教材の特徴/2 指導計画(2時間扱い)/3 学習の課題
- 三 モアイは語る―地球の未来(光村図書2年)
- 1 教材の特徴/2 指導計画(3時間扱い)/3 学習の課題
- 四 言葉の力(光村図書2年)
- 1 教材の特徴/2 指導計画(2時間扱い)/3 学習の課題
- 五 テクノロジーとの付き合い方(東京書籍3年)
- 1 教材の特徴/2 指導計画(2時間扱い)/3 学習の課題
- U 「読む」指導例―論理的文章を書くことを目指して―(1時間完結)
- 一 記録
- 1 運動と力 2 とんぼ 3 秋草の観察
- 二 説明
- 1 日本銀行 2 三角測量 3 世界地図の作り方
- 三 報告
- 1 水の惑星 2 糸車 3 天災による損害
- 四 論説
- 1 地形図 2 ルネサンスの本質 3 名前と物との接触点
- V 「書く」指導例―文章構成を身につけるために―
- 一 日記を書く
- 二 授業記録を書く
- 三 報告「職場体験」を書く
- 1 指導計画(4時間扱い)/2 学習の課題
- 四 論説「中学校の思い出」を書く
- 1 指導計画(4時間扱い)/2 学習の課題
- W 「話す・聞く」指導例―論理的文章を話す・聞く―
- 一 地域巡りを報告しよう
- 1 指導計画(4時間扱い)/2 学習の課題
- 二 説明しよう―プレゼンテーション(○○の仕方)―
- 1 指導計画(4時間扱い)/2 学習の課題
- 三 自己紹介しよう―テーブルスピーチ―
- 1 指導計画(4時間扱い)/2 学習の課題
- 第3章 まとめ
- あとがき
序
平成二十年の新学習指導要領では各教科とも、論理的思考力・表現力の育成が重視されることになった。しかしながら「論理的文章」という基礎概念さえ、現在の教育界では共通認識ができているとは言い難い。これは戦後の言葉の教育が、「文学教育」という遺産に頼りすぎた結果である。
現在、産業・経済・科学研究等の「国際化」が急激に進み、これに対応する論理的思考力・表現力教育を世論は強く求めている。「PISA問題」はその一つである。この時期に本書『系統的指導で論理的思考力&表現力を鍛える授業アイデア24』が刊行された。まことにぴったりのタイミングである。
本書は「論理的思考」の歴史的変遷と授業実践との二部で構成され、中学高校の先生方のスタンダードテキストの性格を備えている。本書前半は、西欧古代から近世、近代にかけて「論理的思考」がどのような経路をたどって発達したかという史的変遷の物語で、とくに新鮮である。「論理的思考」という単語は文部科学省が発明した言葉だとお考えの諸先生は、是非ご一読いただきたい。また「頭括式文章・尾括式文章」を「演繹的思考・帰納的思考」がそれぞれ文章化されたものとお考えの先生方は、その真偽を本書でご確認いただきたい。
本書後半は、論理的文章の体系的な指導について、理論的にも指導技術的にも便利な教材と課題とが整然と並んでいる。教室内で教材として複写して利用するのに、何の支障もない。大いに活用されるべきだろう。
本書によって論理的文章指導の正確な知識・技術を身につけた先生方が、生徒諸君のよろこぶ授業を展開してくださることを心から期待している。
平成二十四年四月 日本言語技術教育学会長・埼玉大学名誉教授 /市毛 勝雄
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- 明治図書
- 実践編が具体的で考えやすい。2018/4/22匿名