- 特集 よい習慣が育つ“しつけの3原則”
- 原理をふまえて、家で三つを選択する
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- あいさつのこだわり―子育てのあいさつ三箇条
- 子どもにあいさつをさせたければ、親がするしかない
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- あいさつの三箇条。第一に自分から 第二に元気よく 第三に笑顔で
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- 我が家のこだわり家訓
- 挨拶・返事・後始末は、我を取り去るための修行なり
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- 節約家族誕生秘話
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- 湯上りは、三回ジャンプ
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- 人として、当たり前のことができること
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- 場面別 私の子育てのこだわり
- 家庭学習
- 「なぞる」「聞く」「言わせる」で親子のふれあい度を増やす
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- 机に向かうことが習慣となることだ
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- 食卓
- 祖母、親から受け継がれてきた感謝する気持ちを伝えてきた
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- 食卓教育〜私の四つのこだわり〜
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- テレビゲーム・テレビ視聴
- 親子の会話で取り上げよう。ルールをハッキリさせよう。
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- 親がまず、消す心構えを持つ
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- 習い事
- 習い事は「一度始めたら三年間はやめられない」と、始める前に良く考えて約束させ、守らせる。
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- 本人のやる気を大事に、少しでも長く続けられるコツを探す
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- お手伝い
- 覚悟して任せる 報告させて「ありがとう」
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- お手伝いは家族の証
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- 読書・読み聞かせ
- 教訓を含んだ、昔話や童話を読む
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- 毎日寝る前に三冊ずつ本を読み聞かせる
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- 就寝・睡眠時間
- 九時三十分頃になると子どもと一緒に寝た。
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- 夜ふかしをさせない
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- 今なら話せる 失敗した子育てのこだわり
- 家族や子どもとともに楽しむことに欠けた
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- 色眼鏡を外して、子どものありのままを受け入れよう
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- ミニ特集 一年間でどんな力がつけばよいか
- ノートの書き方がどれだけ身についたか
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- 学習意欲観点別チェック
- (低学年)続ける・ていねい・チャレンジの観点でほめながら習慣づける
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- (中学年)やる気がグンとアップする一年間でつけたい十の習慣
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- (高学年)子どもにつけたい力は、二回のチェックの間に、子どもを励まし、伸ばす。
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- 学習基礎基本チェック
- (入学前)生活の中で言葉も数も楽しく身につける。
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- (小学1年)「読み・書き・算」で基礎学力をチェックする
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- (小学2・3年)学習のきまりを確認し、学習習慣をつける
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- (小学4・5年)厳選した問題だから、定着度が明確になります
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- (小学6・中学1年)優れた書籍・冊子から厳選しました80題
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- (中学2・3年)基礎基本が身についてこそ、本当の学力がつく
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- 今月の名言・格言・ことわざ (第12回)
- 少年よ大志を抱け
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- 向山編集長が語る「今月の名言・格言・ことわざ」 (第12回)
- 少年よ大志を抱け
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- 〜脳に成功回路がつくられる〜
- 編集前記
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- 子どもTOSSデーのドラマ
- 埼玉/一年生でも読書感想文が書けた
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- 奈良/子どもTOSSデーは、子どもと親に希望を与え、諦めてはいけないことを教えてくれた
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- 全国各地にTOSS式子ども地域教室を!
- 「お母さん!子ども地域教室を開きませんか?」A
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- 幼児のドラマ、小1のドラマ、小2のドラマ
- 幼児/消防署巡りをした子が、消防写生会で入賞
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- 小1/当たり前のこと
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- 小2/ほめることで、A君は変わった
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- 小3/百人一首の継続で覚える楽しさを知ったA君
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- 小6/「先生に内緒」子どもたちのマル秘大作戦
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- シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
- 家で勉強がしたくなる演出―その1:雰囲気A
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- あなたのご家庭にもTOSS教師がやって来る!
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- キャリア教育のポイント
- 旅行的行事の取り組みを変えていく
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- 中学から見た基礎基本
- 勉強の仕方を学ぶ〜繰り返しで実力が飛躍〜
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- 教師・読者座談会 (第25回)
- 五色百人一首とTOSSノートの威力
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- 親子で挑戦ペーパーチャレラン
- ○→△→□チャレラン
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- 親子でたいそう
- 走って、走って遊ぼう!!
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- 親子で漢字文化ワーク (第24回)
- 神谷先生・辻野先生の漢字文化教室
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- 失敗をおそれず、声を出すことで、英語が話せるようになっていく
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よい習慣が育つ“しつけの3原則”
原理をふまえて、家で三つを選択する
向山洋一
本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師
無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰
TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表
新しい教育基本法が制定されました。
旧法には「家庭教育」の内容がなかったのです。
家庭教育は、学校教育、社会教育とともに教育の三本柱ですが、それがぬけていました。
ことさらに「家庭教育」を入れなくても、大丈夫だったのかもしれません。
あるいは、アメリカの思想がなされていたのかもしれません。
これまでの日本には「家庭教育」についての指針がなかったのです。
家庭教育は、もとより重要です。
教育の中で、最も重要です。
「三つ子の魂、百まで」といわれるように、幼児時代の教育は、人格、知性に大きくかかわるのです。
乳児期、子どもは、秩序感を学びます。「自分のすわる場所」「お菓子をとる順番」など、自分の順序や位置があることを学ぶのです。
そして、それは多くの人と仲良くやる方法であり、時には「がまん」しなければならないことを学びます。
つまり、「ルールがある」「わがままをいわずがまんする」ことを学ぶのです。
これは、親との深い学習の絆のもとで身につけていきます。
両親によりそいながら、一つ又一つと学んでいくのです。
ついで、幼児期になると「自立すること」「自分でやること」を学んでいきます。
もともと、子どもは好奇心が強いものです。
何でもやりたがります。
子どものまわりに「豊かな環境」があればいうことはありません。
いろいろなことを体験することで、子どもは成長していきます。
私には、忘れられない教え子がいます。
今から三十五年も昔の教え子です。
ある所に書いた私の文です。
***
実行力抜群のA君のこと
長い間教師をしている私には、忘れられない子が何人かいます。
まあ、教えた子は一人として忘れてはいないのですから、正確にいうと印象深い子ということになります。
今から三十年近く前に教えたA君も、その一人でした。
この子は、「何でもすぐに実行する」というのが特色でした。成績はいい子だったのですが、いわゆる「頭がすごくいい」という感じはしませんでした。
しかし、実行力は抜群でした。
五年生の夏休みの宿題は「あめふらし」の研究でした。
海の磯にいる、ちょっと珍しい生き物です。
「あめふらし」を研究するには、海に行かねばなりません。A君の家から海まで、二、三時間はかかります。
A君は、母親を説得していっしょに行ってもらいました。
夏休みのまるまる三日は、海で過ごすことになりました。
「研究」は、むろん、りっぱなものでした。
A君は、学校の活動も、実行力を発揮しました。
六年生の児童会の会長に立候補して、次々にいろいろな企画を実現したのです。
六年の正月のたこ揚げ大会には、自分で作ったりっぱな立体だこを持ってきました。
このように、次々といろんなことを実行する子だったのです。
そして、ここが大事なのですが、このときA君は国立大の附属中と私立中の両方を受験する準備を進めていたのです。
受験の準備のその最中に、さまざまなことを体験したことになります。
A君は、私立中学は落ちて、国立の附属中学に入りました。
その後、全国最難関といわれる別の国立大附属高校に入り、新入生を代表してあいさつをしました。
その後、現役で東大に入っています。
***
お母さんが立派な方でした。田舎から集団就職で東京に出てきた人です。
中学校までしか学校に行っていません。
明るく元気な方でした。
夏休みでも、冬休みでも、子どもが熱中することにつきあっていたのです。
まさしく、豊かな環境を母親が準備していたのです。
たくましい男の子でした。どんな困難にも次々と挑戦する子でした。
勉強の方も、努力する子だったのです。
このような中から、我が家の三原則を決めていくといいと思うのです。
私が娘のことで決めていたのは、次の三点でした。
一、やり始めたことは最後までやる
二、人に迷惑をかけない
三、本をいっぱい読む
幸い希望する青山学院の中等部に入り、大学を出て、アフリカケニアの音楽を習い各地ライブ等をしています。
「人のためになることをしたい。そのために好きな音楽をケニアで習った。」
ということなのです。
もっとも、しばしばアフリカに出かける娘に、私はいつも心配しています。
学校で「どのようなしつけがされた子」かによって、勉強の出来が違っています。
勉強できる子は、すぐ分かるのです。
●「返事ができる」「あいさつができる」「椅子・靴を揃えられる」
一口に「勉強できる子」といっても、さまざまな子がいます。
元気がいい子もいれば、おとなしい子もいます。自己主張がはっきりした子もいれば、気持ちのやさしい子もいます。
千差万別ではありますが、勉強ができる子は、だいたい分かるものです。
次の特徴があるからです。
@ 返事ができる
A あいさつができる
B 椅子・靴を揃えられる
そんなことがなんで勉強に関係するのだろうかと、意外に思われるかもしれません。「たったそれだけのことで、勉強ができるできないが分かるのか」と、不思議に感じられることでしょう。
しかし、この三つのことができる子というのは、間違いなく優秀な子どもです。
学習意欲があり、集中力があり、責任感も強く、人間的にもたいへん豊かなものを持っているのです。
●教育の世界では五十年も前から指摘されてきた法則
具体的に考えてみると、この三つがどれほど重要かお分かりいただけると思います。これは、法則でもあるのです。
たとえば、「返事ができる」。
自分の名前を呼ばれたときに、「はい」と大きな声で返事ができるということです。一見、簡単なことのように思えますが、大きな声ではっきり返事ができる子は意外に少ないものです。また、教室ではできても、朝礼のときや賞状をいただくときは、なかなかできないものです。
「あいさつができる」。
「おはようございます」「こんにちは」など、声を出して、礼をしてあいさつができるというのは、ものごとのけじめがはっきりついているということです。
「椅子・靴を揃えられる」。
席を立つとき椅子を揃えられる。友人の家や店に行って靴を脱いであがるとき、自分の靴を揃えて置ける人は、人格素晴らしき人と思って間違いはありません。
教育の世界では、もう八十年も前に、この重要性が注目されていました。
京都大学出身の哲学者で教育学者でもあった森信三先生が、明言されています。
――躾とは三つのことを教えることである。
その三つとは、「返事」と「あいさつ」と「靴の始末」である――。
大田区の田園調布中学校は、いまから四十年前に、一つだけ目標を決めました。
「席を立つとき、椅子を戻す」という目標です。
田園調布中学校といえば、そこそこに躾ができた子どもが集まる学校です。「そんな学校で、なぜこんなつまらない目標を」と思われるかもしれません。
しかし、「椅子を戻す」という簡単なことができるようになるまで、田園調布中学校では、いったいどのくらいの時間がかかったのか。
一年ちょっとかかったといいます。
躾がそこそこにできた子が集まる学校で、学校中で取り組んで、しかもたった一つに目標を絞っても、これだけかかるものなのです。
では、椅子を戻すことができるようになった子どもたちは、どう変わったのでしょうか。
この当時の田園調布中学校の学力は、東京都でトップクラスでした。それだけでなく、スポーツにおいても、トップクラスの成績を残しているのです。
「返事ができる、あいさつができる、椅子・靴を揃えられる子」というのは、素晴らしい子どもなのです。
たとえいまは目立った成績でなくとも、着実に伸びていく子どもなのです。
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- 明治図書