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家庭でマネできる“優れた教師”のワザ
まずはミニ定規、シャープペン禁止から漢字の覚え方にもリクツがある
向山洋一
本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師
無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰
TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表
家庭でマネできる「すぐれた教師のワザ」は、いっぱいあります。
例えば、算数の勉強のとき、ミニ定規を使ってノートを書くだけで、テストの点は十点は上がります。
計算などで、線を引くとき、こまめにミニ定規を使うのです。
この方法は、日本の有名小学校では、ほとんどやっている方法です。
それだけではなく、私が見学したロンドンの最優秀クラス、上海の附属小学校でも、一人残らず全員がミニ定規を使っていました。
プロのかくし技です。
すぐれた教師なら「ミニ定規を使う」ことを教えます。
ところが最近、とんでもない母親がいて、こうした教師の指導に文句をつけるのです。
「先生、そんなにこまかいこと、どうでもいいんじゃないですか」
世界中のプロ教師のかくし技を、シロウトの母親が、イチャモンをつけるのです。
多分、自分の子どもが「めんどくさい」と訴えたためでしょう。
かくして、とんでもない母親は「我が子が伸びるチャンス」を、つぶしてしまうのです。
「勉強のときは、シャープペンを使わない。濃い目の鉛筆を使う」のも、教育界の常識です。
三十年昔、日本中のほとんどの教室はそうでした。
手指は、第二の頭脳といいます。
手指と脳は、直結しています。
覚えるときは、手指を使い、耳を使い、目を使って覚えるのです。
ところが、シャープペンでは指先に力が入らないのです。手指は、ねむっているのです。
さらに、シャープペンは力を入れすぎると、ポキンと折れます。
ポキンと折れたとき、脳の働きも中断します。一時停止です。
シャープペンでの勉強は、鉛筆での勉強より「マイナス十点」ぐらい落ちます。
でも最近、実力のない先生が、子どものごきげんをとって、シャープペンを黙認する人がいます。
その後を担任する先生は大変です。
シャープペンのよくない点をくわしく話して、納得させなければならないからです。まあ、ほとんどの子は納得します。
ところが、どのクラスにも、ひねた子がいて、親に訴えます。
ひねた子の親は、まともでない所があって、教師に文句をつけます。
「先生、シャープペン使っても、いいんじゃありません」
それも、強硬にいうのです。
かくして、一人か二人の、ひねた子の親によって、「よりよい学習のしかた」は崩されます。
一方、「宿題を出す先生」は、良くない場合が多いのです。それなのに「宿題を出す」ことで、喜んでいる親がいます。
算数の「教科書の問題」は、すべて、授業中に教えるべきです。十分に教えられます。
私は「教科書」だけでなく「スキル」まで授業中にやって、それでも時間が余っていました。算数の市販テストの平均点は九十五点ぐらいです。クラスの七割の子は、満点です。
ところが、「教科書」を、ほとんど教えないで「プリント」をこねくりまわして、「教科書の問題を宿題」にする教師がいます。けっこう多いのです。
ここから「プリントで勉強する先生は、よくない」「教科書を宿題に出す先生はよくない」ということがいえます。
「漢字」も、学校でまともに教えないで「宿題」にまわす先生もいます。漢字は、当然学校で教えるべきです。国語の授業の時、五、六分やればいいのです。
それだけで、私のクラスの子は、ほとんど満点でした。
そうはいっても、漢字を宿題にする教師が山ほどいるので、秘訣を紹介します。
*
◇「向山式漢字の練習法」
指で書けるようになるまで、鉛筆で書かせない。
漢字を覚えさせるときに、初めから鉛筆を握らせません。
まず、人さし指などで書かせるのです。
机の上で書かせたり、ひざの上で書かせたりします。
「指書き」と言います。
そういえば、大人の人が漢字を覚えるときも、指だけで空中に書いたり、机の上に書いたりします。
あの方法と同じです。
これは、初めから鉛筆で書くより、はるかにすぐれた方法なのです。ほんのちょっとしたことですが、この違いがものをいうのです。
元東京大学教育学部教授の藤岡信勝氏は、『授業研究』(明治図書)という雑誌の中で、次のように解説しました。
向山式の向山式たるゆえんは、なぞり書き、うつし書きの前に、指書きのステップを置いたことである。
鉛筆を持ってノートに書かせる前に、必ず、筆順を指で書かせるのである。
「ナーンダ、ソンナコト」と思うかもしれない。しかし、ここがポイントなのである。「指で書けるようになってからノートに書く」という方法を一つの原理と考えると、この原理を使っている教師は、私のインタビューの範囲では、ほとんどいなかった。
いきなりノートに書くのではなく、指で書けるようになってからノートに書かせるという原理には、どういう意味があるのだろうか。
今、私は、鉛筆でこの原稿を書いているのだが、鉛筆で漢字が書けるということは、漢字の形を筆順に即してなぞることができるとともに、鉛筆の黒鉛の粒子を、かなりの抵抗を排除して紙の上にこすりつけることができるということである。
つまり、紙に鉛筆で漢字を書くという行為を行う時、人は同時に次の二つのことを行っているのである。
A 漢字の形を筆順に即してなぞる記号的行為
B 鉛筆の黒鉛の粒子を紙にこすりつける物理的行為
大人にとって、この二つのことは一つのことにみえる。彼はすでにたくさんの漢字を書いてきたのであり、鉛筆を使うだけの力もある。
ところが、子どもにとってはそうではない。Bの物理的行為を行うことが、Aの行為に習熟することのさまたげになりうるのである。
Bを意識するとAを忘れ、AをやろうとするとBがうまくいかない。Aの行為とBの行為は、相互に干渉し合うのである(低学年児ほどそうなると考えられる)。
さすがに大学の先生で、「指書き」がどうしてすぐれているのか、明快に説明してくれています。
次にやることです。
書き順を正しく教える。
書き順を必ず正しく教えます。形が似ていればよいなどということは決してありません。
書き順は、教科書の巻末に書いてありますし、「漢字スキル」などにも書いてあります。
また、次のことも必ずします。
練習のとき、画数を口で唱えさせる。
黙って練習をさせません。口も活用します。
画数を言わせるのです。
たとえば、川という字なら、「イチ、ニイ、サン」と画数ごとに言わせて書かせます。
つまり「書き順」も「画数」も同時に練習させます。
これは、たいへんなことのようですが、慣れてしまえばなんでもありません。
同じ三画の字でも「川」と「山」は少し違いがあります。
「山」ですと「イチ、ニーイ、サン」となります。折れ曲がるところをのばして言わせるわけです。
川 イチ、ニイ、サン
山 イチ、ニーイ、サン
このように、画数を口に出して言わせ、書き順を正しく書かせます。書けるようになるまで、「指」だけで練習させます。
指で書けるようになったら、「薄く印刷してある字」をなぞらせます。
漢字の練習帳には、一字か二字分、薄く印刷してあります。それをなぞらせるのです。
その後、白いマスに何字か練習させます。人によって三文字くらい、あるいは五文字くらいです。これで、新しい漢字を覚えることができました。
整理すると次のようになります。
〈漢字の練習の方法〉
@指書き…初めて出てきた文字を、「筆順」を見ながら、机の上に指で練習させます。まず指で書かせるのがいいのです。できるようになるまで書かせます。
Aなぞり書き…指書きができるようになったら、「薄い漢字」の上を鉛筆でなぞらせます。ていねいにやることがたいせつです。
B写し書き…なぞり書きしたら、「白いマス」に書かせます。二字程度でいいです。
ここまでで、だいじょうぶなはずです。念を入れるためには、子どもたちに指で空中に書かせる「C空書き」で確認します。
以上を、学校教材として作ったのが、「赤ねこ漢字スキル」です。私が設計しました。
現在日本の教室で最も使われている教材で、「赤ねこ計算スキル」と合わせて累計四千万冊です。
さて「空書き」は、ご家庭ですぐ使えます。食事の前などに「三文字分の空書き」をさせてみるのです。一年間に習う漢字は二〇〇字弱ですから、「毎日食前に三文字の漢字空書き」だけで十分です。
時間は、一分とかからないと思います。
できなかった字は、その場で「空書き」で練習させればいいのです。三文字分ですから、練習といっても、二、三分ですむはずです。
この方法が、最も効果的な家庭での漢字指導法です。
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