- 特集 荒れていく子を止める親の手だて
- 「放任」や「過管理、過干渉」が荒れの原因となる
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- 荒れていく子とどう向き合うか 三人の専門家の意見
- 愛して、認めて、抱きしめて
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- 遊び型非行―万引きに対する対応―
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- 「ほめてしつける」をいかに実践するか
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- 小学校入学前 荒れている子への指導
- 「抱っこ」と「我慢」 保護者の温かい手で我が子に笑顔を
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- 向山氏の「八つのお願い」の実践が、荒れる子を救ってくれます
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- 小学校低学年 荒れている子への指導
- 自分に都合の悪いことは言わないのが子ども
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- 対決に勝ち、認めはげまし続けること
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- 小学校中学年 荒れている子への指導
- マイナスの気持ちとマイナスの言葉を闘わせてもいいことはない
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- 子どもを知的な存在として認め、対応する
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- 納得するまで話し、やらせれば子どもはちゃんとやるものです
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- 小学校高学年 荒れている子への指導
- 聞いてあげる。その後の対応が大切。
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- こんな教師に受け持たれたから荒れるのです
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- 子どもの行動を励まし、感情的にならないこと
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- 中学校に入学して荒れていく子への指導
- 我が子の先生の悪口だけは、子どもの前で口が裂けても言ってはいけない
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- 手を離して目を離さず
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- 子どものイライラを受け止めてあげること
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- 勉強が分からない子は荒れる
- 勉強のやり方が分かれば荒れはなくなる
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- 苦手なものをインターネットランドで補う
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- 九九の表は見てよい
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- 学級崩壊お助け教師はどう手をうったか
- 知的で楽しい授業を何度も行う
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- 学校一やんちゃなタケシは、初めてとった一〇〇点のテストを音楽の時間、机の下で何度もこっそり見ていた
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- 頑張っている子が得をするシステムを作る。その中で、頑張ろうとしている気持ちを取り上げて褒めていく。
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- ミニ特集 日本をぬく上海小学校の教育事情
- 中国の算数の授業は日本より二学年分レベルが高い
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- 実験学校の算数は、日本より3年は進んでいます
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- 「これが2年生?」と驚き連続!
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- 聴く、覚える、使うの繰り返しで英語を操る
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- 今必要なものはなにか。時代を見る目を。
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- 上海日本人学校だからこそ何を学ぶか
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- イラストで見る家庭教育のポイント (第17回)
- 手伝い
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- 家庭教育のポイント (第17回)
- 「手伝い」する子は勉強もできる
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- 編集前記
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- PTA会長奮戦記
- 相互理解なくして教育の発展なし
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- つぶやきに見る子どもの成長
- 二歳児は失敗しながら前進します
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- 園長が語る子育ての極意
- 教育の原点は、家庭の中から生まれていた
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- 校長が語る子育ての極意
- 母親を上機嫌にさせる
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- 塾から見た基礎学力
- 自律学習は生涯の財産
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- 礼法専門家から見た子どもたちの立ち居振る舞い
- 子どもの感性は素晴らしい
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- 医師 普通の家庭教育の大切さ
- 医者の言うことは非科学的?
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- 医師 私の子育て日記
- かわいい子なればこそ
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- 教師・読者座談会 (第5回)
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- 最新最大の子ども調査
- 夏休み、何をしているのでしょうか
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- 小1のドラマ、小2のドラマ、小3のドラマ
- 小1/山道のカーブにて
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- 小2/「逆さになるのが怖い!」と泣いていた子も鉄棒にぶら下がれた!〜鉄棒運動「ぶたの丸焼き」〜
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- 小3/お手伝いのできる子は伸びる子である
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- 古今東西人類の知恵「子育て語録」
- 三つ子の魂百まで
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- 心に残る名作・名詩―父を思う・母を思う―
- 娘に伝えたい祖母の教え
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- とっておきの話・親子でお話ぬりえ
- ブルちゃん、小さなお花の命をみつけた
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- SOS 子ども・親が電話相談をする時
- 夫が家庭のことを何も手伝ってくれない
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- 保健室から1ページ
- スポーツドリンクの飲み方を間違えない!
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- こんなときどうする?平山先生!
- じっとさせるより、むしろ運動させたほうが落ち着きます
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- 親子で挑戦ペーパーチャレラン
- ローマ字チャレラン
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- 衝撃のドラマ・算数が大の苦手の子が満点をとった
- ていねいさ、素直さが伸びる秘訣
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- 本筋の心の教育
- あくまでこちらはこちらの都合で明るく元気よく
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- 親子で漢字文化ワーク (第5回)
- 神谷先生・辻野先生の漢字文化教室
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- 親子でイラスト作文 (第5回)
- シンデレラ
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- 酒井式描画法・感想画
- 手ぶくろを買いに
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- 1000年続く教材・いろは歌
- いろは歌の謎
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- 1000年続くかけ算九九
- 明治時代の九九論争
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- 家庭教育の基本
- 忘れ物と道草
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- 「叱る」だけでは子どもは変わらない「褒めて認める」サイクルを築こう
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- シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
- 我慢の力を育てるには親が根負けしないこと
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- 理科離れ取り戻そう「センス・オブ・ワンダー」
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荒れていく子を止める親の手だて
「放任」や「過管理、過干渉」が荒れの原因となる
向山洋一
本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師
無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰
TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表
小学校、中学校で荒れていく子どもの原因は、六歳までの家庭教育にあります。
「非行の種は三歳までの子育てにある」と、主張する人もいるくらいです。
親が、子どもにしてやる教育は、大きく分けて、三つあります。
一つは、親の愛情を与えること
二つは、自律できるように育てること
三つは、自立できるように育てること
親から与えられる愛情は、人格形成の基本になります。
ぎゅっと抱きしめ「大好きだよ」と言ってあげることです。
夜ねるとき、本を読んでやることです。
親から与えられた愛情で、子どもの精神は安定し、好奇心を発揮し、何でもやってみようということになっていくのです。
世の中には、親から愛情を与えられないで育つ子もいます。
「子捨て」であり「児童虐待」です。
この子達は、心の奥深くに傷を持っているのであり、「少年・少女期」になってからの教育は大変です。
教師がどれほどの愛をそそいでも、親にかわることはできないのです。
本誌読者の方々は一つ目の「親の愛情」は、きちんとされていると思います。そこで、残りの二つについてお話しします。
自律と自立。この二つが、ほどよく教育されているのが望ましいのです。
自律とは、自分で自分のことをコントロールできるということです。ルールを守れる、順番を待てる、少しのことはがまんできる、努力を続けられるというようなことです。
小さいときから「後片づけ」を一緒にする中で育てたり、遊びの中で育てたりするわけです。
「ほしいもの」を、時にはがまんさせることもその一つです。
自立とは、自分のことは自分でやっていくということです。
友達と一緒に遊ぶ、好きなことに熱中する、目的に向かって努力することなどです。
さて、自律と自立ですが、家庭によっていくつかのタイプに分かれます。
第一は、自律も自立も、あまり気にしないで「好き勝手」にやらせる子育てです。放任といいます。
親の気分によって「どなりつける」ことなども特徴です。
このタイプからは、やんちゃ坊主が生まれます。宿題忘れ、ルール破りも多くいます。テレビ・ゲームに四時間、五時間を使います。
いわゆる「非行」は、このタイプから多く出てきます。
第二は、「自律」はしっかりできるけれど「自立」を、親、祖父母がやってしまう子育てです。
過保護、でき愛のタイプです。
何事も、子ども優先です。
「おばあちゃん子」もこのタイプです。
内弁慶が多く、気弱なタイプが多くいます。
大切に育てられていますから、いつしか立派に育っていきます。
第三は、「自律」「自立」が、ほどよく与えられた子育てです。
このタイプが理想です。
第四は、過剰なまでの「自律」「自立」がついたタイプです。過管理、過干渉といいます。
優等生の母親の子育てに多いのです。
かしこい母親は先が見えますから、子どもに失敗させないよう「上手にアドバイス」をします。
子どもも、小学生の頃は優等生です。
しかし、「上手なアドバイス」は、よくないのです。子どもには「失敗」体験も大切だからです。
何も失敗せず小学校を通過、優等生で中学へ入ります。
その頃、失敗に出会います。
「定期試験の失敗」か「入試の失敗」か「失恋」です。
失敗の経験のない子どもは、大きく傷つき「家庭内暴力」に至ることもあります。「家庭内暴力」、それはそれは悲惨です。食卓をひっくり返すのです。
こうならないためには、小学校のときから「失敗していいから、自分で決めてごらんなさい」という親の態度が必要だったのです。
すると、荒れていく子になる可能性は「放任」か「過管理、過干渉」にあったことになります。
子育ての方針として、心しておけばいいと思います。
以上ではない原因もあります。
親の愛情をそそぎ、それなりにしっかり育てているのに「よくケンカをする」「切れる」「パニックになる」などの状況を示す子です。他の子と比べて、度がすぎている場合です。
軽度知的障害の可能性があります。
ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)、アスペルガー症候群(高機能自閉症)等です。
子ども達の七パーセント位いると推定されます。
ADHDは、注意が一つだけに集中する障害です。「教科書を出して、二十五ページの三番をやりなさい」という指示はできません。短期記憶が三つも必要だからです。一つ目だけに集中しちゃうのです。
ですから、一つ一つ分けて言えばいいのです。
LDとは、いくつもの才能のうち、一つだけが(文を書くとか、絵を描くとか)落ちている障害です。知能テストをしないと分析できません。
こうした障害の子に共通することとして、手が不器用ということがあります。「手袋を二枚つけてものを動かす」状態に似ています。だから、一年生の算数セットなど、使うことはできません。
こうした子も、立派に教育できます。
放っておくと「できない」と叫ぶようになり、反抗的になります。
しかし、TOSS教師のようなプロの教師なら、算数でも漢字でも、満点をとらせることができます。
大切なことは、できるだけ早く、小児神経科、心療内科などの医師に診てもらうことです。
小学校三年生までなら、教育の効果は大です。
それをすぎると、教育は著しくむずかしくなっていきます。
エジソンも、坂本龍馬もADHDだったと言われます。母や姉が、上手に教育したのです。
さて、子どもが乱暴になるもう一つの原因があります。
それは学級崩壊したときです。
このときは、多くの子が荒れるのです。先生を支え、学級崩壊からぬけ出すことが解決の方法です。
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