家庭教育ツーウェイ 2005年8月号
荒れていく子を止める親の手だて

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家庭教育ツーウェイ 2005年8月号荒れていく子を止める親の手だて

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ジャンル:
その他教育
刊行:
2005年7月8日
対象:
幼・小
仕様:
B5判 90頁
状態:
絶版
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目次

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特集 荒れていく子を止める親の手だて
「放任」や「過管理、過干渉」が荒れの原因となる
向山 洋一
荒れていく子とどう向き合うか 三人の専門家の意見
愛して、認めて、抱きしめて
波多野 ミキ
遊び型非行―万引きに対する対応―
明石 要一
「ほめてしつける」をいかに実践するか
横山 浩之
小学校入学前 荒れている子への指導
「抱っこ」と「我慢」 保護者の温かい手で我が子に笑顔を
稲吉 礼子
向山氏の「八つのお願い」の実践が、荒れる子を救ってくれます
松崎 力
小学校低学年 荒れている子への指導
自分に都合の悪いことは言わないのが子ども
奥田 真由美
対決に勝ち、認めはげまし続けること
家根内 興一
小学校中学年 荒れている子への指導
マイナスの気持ちとマイナスの言葉を闘わせてもいいことはない
小瀬村 雅子
子どもを知的な存在として認め、対応する
永山 祐
納得するまで話し、やらせれば子どもはちゃんとやるものです
有村 春彦
小学校高学年 荒れている子への指導
聞いてあげる。その後の対応が大切。
八巻 修
こんな教師に受け持たれたから荒れるのです
細羽 正巳
子どもの行動を励まし、感情的にならないこと
石川 裕美
中学校に入学して荒れていく子への指導
我が子の先生の悪口だけは、子どもの前で口が裂けても言ってはいけない
井上 好文
手を離して目を離さず
向井 ひとみ
子どものイライラを受け止めてあげること
進士 かおり
勉強が分からない子は荒れる
勉強のやり方が分かれば荒れはなくなる
松藤 司
苦手なものをインターネットランドで補う
千葉 幹雄
九九の表は見てよい
善能寺 正美
学級崩壊お助け教師はどう手をうったか
知的で楽しい授業を何度も行う
新牧 賢三郎
学校一やんちゃなタケシは、初めてとった一〇〇点のテストを音楽の時間、机の下で何度もこっそり見ていた
木村 重夫
頑張っている子が得をするシステムを作る。その中で、頑張ろうとしている気持ちを取り上げて褒めていく。
小野 隆行
ミニ特集 日本をぬく上海小学校の教育事情
中国の算数の授業は日本より二学年分レベルが高い
向山 洋一
実験学校の算数は、日本より3年は進んでいます
石黒 修
「これが2年生?」と驚き連続!
平田 淳
聴く、覚える、使うの繰り返しで英語を操る
細羽 朋恵
今必要なものはなにか。時代を見る目を。
堤 信之
上海日本人学校だからこそ何を学ぶか
楠本 誠
イラストで見る家庭教育のポイント (第17回)
手伝い
岩野 節男岩野 紀子
家庭教育のポイント (第17回)
「手伝い」する子は勉強もできる
向山 洋一
編集前記
師尾 喜代子
PTA会長奮戦記
相互理解なくして教育の発展なし
仲村 英典
つぶやきに見る子どもの成長
二歳児は失敗しながら前進します
水野 茂一
園長が語る子育ての極意
教育の原点は、家庭の中から生まれていた
山本 克己
校長が語る子育ての極意
母親を上機嫌にさせる
浅尾 三吉
塾から見た基礎学力
自律学習は生涯の財産
大石 美智代
礼法専門家から見た子どもたちの立ち居振る舞い
子どもの感性は素晴らしい
島ア 代志江
医師 普通の家庭教育の大切さ
医者の言うことは非科学的?
澤口 俊之
医師 私の子育て日記
かわいい子なればこそ
香川 宜子
教師・読者座談会 (第5回)
河田 孝文
最新最大の子ども調査
夏休み、何をしているのでしょうか
明石 要一
小1のドラマ、小2のドラマ、小3のドラマ
小1/山道のカーブにて
小倉 郁美
小2/「逆さになるのが怖い!」と泣いていた子も鉄棒にぶら下がれた!〜鉄棒運動「ぶたの丸焼き」〜
桑原 和彦
小3/お手伝いのできる子は伸びる子である
板倉 美江
古今東西人類の知恵「子育て語録」
三つ子の魂百まで
門 貴幸
心に残る名作・名詩―父を思う・母を思う―
娘に伝えたい祖母の教え
岡 惠子
とっておきの話・親子でお話ぬりえ
ブルちゃん、小さなお花の命をみつけた
山本 純
SOS 子ども・親が電話相談をする時
夫が家庭のことを何も手伝ってくれない
波多野 ミキ
保健室から1ページ
スポーツドリンクの飲み方を間違えない!
松島 裕美
こんなときどうする?平山先生!
じっとさせるより、むしろ運動させたほうが落ち着きます
平山 諭赤木 雅美
親子で挑戦ペーパーチャレラン
ローマ字チャレラン
伊藤 亮介
衝撃のドラマ・算数が大の苦手の子が満点をとった
ていねいさ、素直さが伸びる秘訣
□□□□□
本筋の心の教育
あくまでこちらはこちらの都合で明るく元気よく
八代 真一
親子で漢字文化ワーク (第5回)
神谷先生・辻野先生の漢字文化教室
神谷 祐子辻野 裕美
親子でイラスト作文 (第5回)
シンデレラ
師尾 喜代子
酒井式描画法・感想画
手ぶくろを買いに
酒井 臣吾
1000年続く教材・いろは歌
いろは歌の謎
森川 敦子
1000年続くかけ算九九
明治時代の九九論争
板倉 弘幸
家庭教育の基本
忘れ物と道草
椿原 正和
特別支援教育のはなし
「叱る」だけでは子どもは変わらない「褒めて認める」サイクルを築こう
赤木 雅美
シングルエイジ時代(0〜9歳)教育のポイント
我慢の力を育てるには親が根負けしないこと
水野 美保
これからの小学校教育
理科離れ取り戻そう「センス・オブ・ワンダー」
吉永 順一
読者のページ
編集部ニュース
現代っ子アンケート・子どもインタビュー
七夕の短冊に願いごとを書くのには意味がある
井上 嗣祥

荒れていく子を止める親の手だて

「放任」や「過管理、過干渉」が荒れの原因となる

向山洋一

本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師

無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰

TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表


 小学校、中学校で荒れていく子どもの原因は、六歳までの家庭教育にあります。

 「非行の種は三歳までの子育てにある」と、主張する人もいるくらいです。

 親が、子どもにしてやる教育は、大きく分けて、三つあります。


一つは、親の愛情を与えること

二つは、自律できるように育てること

三つは、自立できるように育てること


 親から与えられる愛情は、人格形成の基本になります。

 ぎゅっと抱きしめ「大好きだよ」と言ってあげることです。

 夜ねるとき、本を読んでやることです。

 親から与えられた愛情で、子どもの精神は安定し、好奇心を発揮し、何でもやってみようということになっていくのです。

 世の中には、親から愛情を与えられないで育つ子もいます。

 「子捨て」であり「児童虐待」です。

 この子達は、心の奥深くに傷を持っているのであり、「少年・少女期」になってからの教育は大変です。

 教師がどれほどの愛をそそいでも、親にかわることはできないのです。

 本誌読者の方々は一つ目の「親の愛情」は、きちんとされていると思います。そこで、残りの二つについてお話しします。

 自律と自立。この二つが、ほどよく教育されているのが望ましいのです。

 自律とは、自分で自分のことをコントロールできるということです。ルールを守れる、順番を待てる、少しのことはがまんできる、努力を続けられるというようなことです。

 小さいときから「後片づけ」を一緒にする中で育てたり、遊びの中で育てたりするわけです。

 「ほしいもの」を、時にはがまんさせることもその一つです。

 自立とは、自分のことは自分でやっていくということです。

 友達と一緒に遊ぶ、好きなことに熱中する、目的に向かって努力することなどです。

 さて、自律と自立ですが、家庭によっていくつかのタイプに分かれます。

 第一は、自律も自立も、あまり気にしないで「好き勝手」にやらせる子育てです。放任といいます。

 親の気分によって「どなりつける」ことなども特徴です。

 このタイプからは、やんちゃ坊主が生まれます。宿題忘れ、ルール破りも多くいます。テレビ・ゲームに四時間、五時間を使います。

 いわゆる「非行」は、このタイプから多く出てきます。

 第二は、「自律」はしっかりできるけれど「自立」を、親、祖父母がやってしまう子育てです。

 過保護、でき愛のタイプです。

 何事も、子ども優先です。

 「おばあちゃん子」もこのタイプです。

 内弁慶が多く、気弱なタイプが多くいます。

 大切に育てられていますから、いつしか立派に育っていきます。

 第三は、「自律」「自立」が、ほどよく与えられた子育てです。

 このタイプが理想です。

 第四は、過剰なまでの「自律」「自立」がついたタイプです。過管理、過干渉といいます。

 優等生の母親の子育てに多いのです。

 かしこい母親は先が見えますから、子どもに失敗させないよう「上手にアドバイス」をします。

 子どもも、小学生の頃は優等生です。

 しかし、「上手なアドバイス」は、よくないのです。子どもには「失敗」体験も大切だからです。

 何も失敗せず小学校を通過、優等生で中学へ入ります。

 その頃、失敗に出会います。

 「定期試験の失敗」か「入試の失敗」か「失恋」です。

 失敗の経験のない子どもは、大きく傷つき「家庭内暴力」に至ることもあります。「家庭内暴力」、それはそれは悲惨です。食卓をひっくり返すのです。

 こうならないためには、小学校のときから「失敗していいから、自分で決めてごらんなさい」という親の態度が必要だったのです。

 すると、荒れていく子になる可能性は「放任」か「過管理、過干渉」にあったことになります。

 子育ての方針として、心しておけばいいと思います。

 以上ではない原因もあります。

 親の愛情をそそぎ、それなりにしっかり育てているのに「よくケンカをする」「切れる」「パニックになる」などの状況を示す子です。他の子と比べて、度がすぎている場合です。

 軽度知的障害の可能性があります。

 ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)、アスペルガー症候群(高機能自閉症)等です。

 子ども達の七パーセント位いると推定されます。

 ADHDは、注意が一つだけに集中する障害です。「教科書を出して、二十五ページの三番をやりなさい」という指示はできません。短期記憶が三つも必要だからです。一つ目だけに集中しちゃうのです。

 ですから、一つ一つ分けて言えばいいのです。

 LDとは、いくつもの才能のうち、一つだけが(文を書くとか、絵を描くとか)落ちている障害です。知能テストをしないと分析できません。

 こうした障害の子に共通することとして、手が不器用ということがあります。「手袋を二枚つけてものを動かす」状態に似ています。だから、一年生の算数セットなど、使うことはできません。

 こうした子も、立派に教育できます。

 放っておくと「できない」と叫ぶようになり、反抗的になります。

 しかし、TOSS教師のようなプロの教師なら、算数でも漢字でも、満点をとらせることができます。

 大切なことは、できるだけ早く、小児神経科、心療内科などの医師に診てもらうことです。

 小学校三年生までなら、教育の効果は大です。

 それをすぎると、教育は著しくむずかしくなっていきます。

 エジソンも、坂本龍馬もADHDだったと言われます。母や姉が、上手に教育したのです。

 さて、子どもが乱暴になるもう一つの原因があります。

 それは学級崩壊したときです。

 このときは、多くの子が荒れるのです。先生を支え、学級崩壊からぬけ出すことが解決の方法です。

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