- 特集 学びにくい子への<国語・算数・外国語>つまずきサポート
- 特集について
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- 提言
- 学習基礎スキルと認知スキルの二側面からサポートする
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- 事例<国語>
- 1 小学校/低学年での学習支援のベース―学習意欲の回復を目指した新入生への対応―
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- 2 小学校/ことばの教室でできる読み書きの指導
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- 3 小学校/小1クラスでの「MIM」を使った読みの指導
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- 4 中学校/配置表を使った漢字の書き取り支援
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- 事例<算数・数学>
- 5 小学校/認知特性を活かしたかけ算の筆算指導
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- 6 小学校/論理的な思考・説明が困難な児童への支援
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- 7 小学校/つまずきの背景をとらえ,用具の工夫や授業改善につなげる―角度測定の困難さに応じた指導―
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- 8 小学校/わり算の筆算が苦手な子
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- 9 小学校/あえて盛り上げない算数の授業で達成感―見通しと構造化の有用性―
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- 10 小学校/すべての児童が学びやすい授業をめざして
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- 11 中学校/個人の苦手にグループで取り組む―中学校・特別支援学級―
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- 12 中学校/「計算問題はできるけど文章題が苦手」を克服する
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- 事例<外国語(英語)>
- 13 中学校/誰にでも効果的な英単語つづりの覚え方
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- 14 中学校/英語は語順で理解する―カードを活用した学習指導―
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- 15 中学校/初期の英語指導はスモールステップでていねいに!
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- 16 中学校/「見て・聞いて・触れて」わかる!英単語指導
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- Essay
- 専門的知識に裏打ちされた教育の実践と質の保証を
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- 学べる!楽しい!学びにくい子への学習支援ワーク (第3回)
- 数と計算のワーク
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- 発達障害の子どもに役立つ!ちょこっと支援の教材・教具 (第7回)
- 特性に応じた方法で楽しく学ぶ
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- 親の会・JDDネットニュース (第55回)
- “誰がための国家資格や組織なのか”を念頭に
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- 医療との連携 (第55回)
- 学習障害のある青年への支援
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- Newsな視点 (第11回)
- ニューヨークにおける特別支援教育のティーム・ティーチング・モデル
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- 保護者の悩みに寄り添う教育相談 (第7回)
- 最近表情が曇りがちで,学校にも行きたがりません
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- 実践・ユニバーサルデザインの授業づくり (第3回)
- いつでもどこでもいっしょ―そろえてスムーズに学習開始!―
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- 〜企画:小西 喜朗/実践:伊藤 健太郎〜
- ソーシャルスキルトレーニング実践のツボ (第3回)
- 「子どもの行動が変わる」ということ―一票,そりゃナイッスゲームの実践から―
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- 〜解説:岡田 智/実践:中村 敏秀〜
- 一度は手にしたい本
- 『知的障害・発達障害のある人への合理的配慮』(坂爪 一幸・湯汲 英史編著)/『Fantasium ファンタジウム』(1〜9)(杉本 亜未著)
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- SENS for S.E.N.S (第2回)
- S.E.N.S臨床日誌:適応状態をどう評価するか
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- 〜Vineland-U適応行動尺度の利用〜
- 編集後記
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特集について 学びにくい子への<国語・算数・外国語>つまずきサポート
国立特別支援教育総合研究所上席総括研究員/笹森 洋樹
インクルーシブ教育システムにおいては,基礎的な環境整備のもと一人一人の子どもに対する合理的配慮を円滑に実施することが求められています。平成24年7月にまとめられた文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」では,合理的配慮の教育内容・方法の観点について,学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮,学習内容の変更・調整,情報・コミュニケーション及び教材の配慮,学習機会や体験の確保,心理面・健康面の配慮などが挙げられています。
インクルーシブ教育システム構築のためには,特別支援教育の一人一人を大切にした教育の充実が基盤となります。一人一人を大切にする教育とは,個別的な指導を充実させるだけでなく,集団の中の個人,集団を構成する一人一人のことを大切にした学び合いの教育であり,一人一人が集団生活の中で生きる力を身につけていくことができる教育です。合理的配慮が個への支援とすれば,その基礎となる環境整備は個も含めた集団への支援とも考えられるでしょう。そこには,一人一人の子どもに寄り添う学級経営や生徒指導の充実が大切であり,わかる授業づくり,授業のユニバーサルデザイン化などの工夫も求められてきます。
授業の内容が理解できるかどうかは,安心感のある学校生活を送ることができるかどうかに大きく影響します。授業がわかれば,達成感や成就感が得られ,学習への意欲と学力の向上につながります。学び方の特性は一人一人異なり,指導方法も本来は異なるはずです。子ども一人一人の特性に応じた個別的な配慮や学びやすい学習環境の整備の工夫などの学習支援を行うことで,発達障害のある子どもも積極的な学習参加が促され,学習内容がわかり,習得,定着が図られていくことが望まれます。
そこで本特集では,合理的配慮と基礎的環境整備も視野に入れながら,特に国語,算数・数学,外国語の教科指導における個別的な配慮と工夫に焦点をあて,発達障害のある子どもの各教科の特色に応じた指導・支援の在り方について考えてみたいと思いました。
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- 明治図書