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<巻頭論文>算数授業へのこだわり 算数の問題解決学習から算数の全員習得学習へ―日本教育技術学会の第6回学力調査が語るもの―
向山 洋一
日本教育技術学会は,中学校入学時の学力調査を,毎年4月,5月に実施してきた。
算数の調査は,今回で6回になる。
なぜ,中学校の入学時に学力調査をするのか? それは,完全に公正に,学力調査が実施されるからである。
担任によるヒントや事前テストができないからだ。ある学校みたいに,「できない子を欠席させる」ということもないからだ。
本年度の調査人数は,新入生1277名である。
6年生の教科書から出題した。出身クラス別に平均点を出した(1クラス10名以上)。
最高点は,平均84.7点。最低点は平均67.6点であった。クラスによって,最大17点の差がある。
同一小学校の出身クラス別の差が大きいところは,次のようであった。
滋賀県 A小学校1組 84.7点
A小学校3組 75.0点
愛知県 B小学校1組 70.6点
B小学校2組 79.8点
北海道 C小学校1組 76.7点
C小学校2組 67.6点
同じ小学校でありながら,隣のクラスと平均点で10点の差がある。
出題は,すべて教科書の基本問題である。
クラスのほぼ全員が,学習内容を習得したと思えるときのクラス平均は,何点ぐらいであろうか。
私の経験では,クラス平均95点以上のときは,ほぼ全員が習得しているといえる。クラス平均90点以上なら,どうやら合格というのが実感である。
クラス10人の得点が,次のようだったとする。このときのクラス平均は76.5点である。
100,100,100,90,90,80,80,65,35,25
左のクラスと,ほぼ同じである。
これは「クラスの2割は,完全に落ちこぼれている。1割もあやしい」という状態である。
つまり,クラス平均77点は,3割の子どもを落としている状態だ。
クラス平均67点は,下のようになる。
つまり4割を落としている。
100,100,90,90,80,70,65,35,25,15
小学校の算数では,この点こそ問題にならねばならない。クラス平均を上げるというのは「できない子をできるようにする」ということなのだ。これこそが,教師の最も大切な仕事であり,責任なのである。
「算数の問題解決学習から算数の全員習得学習へ」。これこそが,今,最も求められている算数指導の方針である。
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