- 特集 算数学力を保証する“年間システムづくり”
- ワールド・ワイド・ウェブ型システムが力をつける
- /
- 全体の枠組みを明確にし、選択のコードを用意する
- /
- 向山型算数を校内に広げる
- /
- きれいなノートをとる能力を身につけるには、様々なシステムが必要である
- /
- 向山型算数を行うために、教材採択で評価基準の話を
- /
- 教科書チェックの時間設定が最重要である
- /
- 『グレーゾーン対応の算数ワーク』早期の刊行を熱望する!
- /
- ミニ特集 「TOSS教材の優秀さ」をシェアする感動ストーリー
- 養護学級で生まれた百玉そろばんのドラマ
- /
- 計算スキルの小さな成功体験が自信を生んだ!
- /
- TOSSノートスキルできれいなノートを体感し、TOSSノートで実践する
- /
- 子どもに自信を与える九九計算尺セット
- /
- 百玉そろばんを空書きしたAちゃん
- /
- 研究授業で子どもの事実を見せて証明した
- /
- グラビア
- 中学からの報告「TOSSかけ算九九計算尺セット」はやはりすごかった!
- /
- 若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
- 2つの授業の違い
- /
- 向山型算数キーワード
- 間違いの検討
- /
- 巻頭論文 算数授業へのこだわり
- 答えるときは問題の本質をよく考える
- /
- 学年別3月教材こう授業する
- 1年
- 1ねんの まとめ
- /
- おおいほう すくないほう
- /
- 2年
- たし算とひき算(2)
- /
- 三角形と四角形
- /
- 3年
- おもしろ問題にチャレンジ!
- /
- もうすぐ4年生
- /
- 4年
- ともなって変わる量
- /
- かわり方
- /
- 5年
- 5年のまとめ
- /
- ジャンプ 博物館見学
- /
- 6年
- 算数卒業旅行
- /
- 算数ワンダーランド
- /
- 中学難教材こう授業する
- 1年/円錐の表面積
- /
- 中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第72回)
- 「中学数学スキル」の改訂作業が終了しました
- /
- 向山型算数に挑戦/論文審査 (第76回)
- 超難問こそ教師の知恵を!
- /
- 向山型算数実力急増講座 (第78回)
- 「文章題」をどう指導するか(下)
- /
- 向山型算数WEBサロン (第72回)
- 難関「時速・分速・秒速」の変換問題は、一味加えた線分図で攻略できる
- /
- “若葉印”教師が向山型算数でダッシュするとき (第12回)
- 向山型算数には「できる」ようになるシステムがある
- /
- “問題解決学習”隣の教室の実態ルポ
- 教科書を「てこでも使わない」公開授業
- /
- 教科書を見せない授業
- /
- 〈教室の障害児と向山型算数〉特に気になる『あの子』への向山型アプローチ
- 『TOSS子ども百玉そろばんスキル』を個別指導で活用する
- /
- もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第78回)
- 低学年
- /
- 中学年
- /
- 高学年
- /
- 【学年別】『TOSS算数ワーク』活用事例集 (第12回)
- 1年/くり下がりのあるひき算活用法
- /
- 2年/学力がつく大人気のワーク
- /
- 3年/難しいけど またやりたーい!
- /
- 4年/子どものやる気を引き出す『TOSS算数ワーク』
- /
- 5年/AD/HDの子にも大人気!!
- /
- 6年/やっぱり…小学校の振り返り
- /
- 向山型算数セミナー
- 2006年セミナーは新しい提案授業があります!!
- /
- 腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
- 向山型算数のパーツを使いこなして
- /
- 毎日の授業が楽しくなった!
- /
- シーンと集中!計算スキル
- /
- 2年MLからもらった奇跡
- /
- 本当のやる気を引き出す授業
- /
- 次の授業が待ち遠しい
- /
- 子どもの声が何よりの励み
- /
- 論文ランキング
- 12月号
- /
- 実物ノートと指導のポイント
- TT教員の立場を生かして
- /
- 読者のページ
- 奇声の子・キレル子への対応を学ぶ
- 編集後記
- /・
- TOSS最新情報
- /
- 向山型算数に挑戦/指定教材 (第78回)
- /
巻頭論文
算数授業へのこだわり
答えるときは問題の本質をよく考える
向山洋一
向山一門の研究会などで,質問をされるときがある。
「この点をどうしたらいいのですか」などという,単純質問は受け付けない。というより,私に,こっぴどく叱られる。
「質問する」ということは,問題点が分かっているのだから,「それに対する自分自身の答えを言って」から,質問するべきである。
私は,若いときから(教育実習のときから),質問するときはそのようにしてきた。
それでこそ質問する人は向上するし,答える側もより高いレベルで答えられるのである。
ところで,質問にもレベルがある。
A 跳び箱が跳べない子をどうしたらいいのか
B 算数の授業が時間通り終わらないけど,どうしたらいいのか
Aは,「小さな部分」への質問であるのに対して,Bは「大きな部分」への質問であるからだ。
Aは,「カレーライスの作り方」を聞いているのと似ているし,Bは「フランス料理の作り方」を聞いているのと似ている。
当然,答え方は違ってくる。
私の弟子たちは,どのように答えるのか,聞いてみたいと思っている。
いずれにしても,質問に対しては,「すぐに答える」のではなく,相手の「やっていること」を聞くべきだ。
相手が,どうやっているかをつかまないで,「待っていました」とばかり答えるのは,とんでもない思い上がりだ。
「子どもの事実」があるように,「質問する教師の事実」がある。
それを,まずつかまえるべきだ。
私が「相手の悩み」を理解せよと言うと,アンケートをとって,すます人がいる。
やらないよりやった方がいいが,それでは100点中の5点だ。
相手がどのようにやってダメだったのかを理解すること,相手は,なぜそのような方法でやっていたかを理解すること,つまり,相手の「授業実践上の弱さの原因は何であるか」を理解してから,考えることが大切なのだ。
これは,「アンケートをとる」とは,全く別の次元での話なのである。
Aの人は,「自分の今までの体験」で授業をしていたり,「本を読む」ことや,「インターネットで調べる」こともしない人であると推定される。
だから,「跳び箱の跳ばせ方」を教えるとともに,「困ったときの学習方法」「追求方法」などを教えることが必要となる。
Bは,つまり「授業の力量全体が弱い」のである。
もちろん,授業を終わらせるためのあれこれを教えることも大切だ。
1時間の授業記録を全部起こさせて,見てやれば,かなり分かるだろう(私は新卒1年目から,授業をテープにとり,すべて起こして,先輩に検討してもらった。40年近く昔のことである)。
つまり「1時間の授業が終わらないのです」という質問には,「授業記録を1時間分起こして持って来てください」とか「1時間の授業をビデオにとって持って来てください」というところから始まるべきだろう。
授業の技量をどう上げていくのかが問題なのだ。
私の場合,TTとして教科書中心に教えた。
教科書進度は,「教科書の進度予定の1.5倍」ぐらいであった。それを正味時間38分位で終了していた。
4年間,4学級,のべ2800時間を教えた。2800時間で,授業が3秒たりとも延びたことは1回もない。
むしろ,5分近く前に終了していた。
1年間,担任として私と一緒に授業してきた筧田先生が,TOSSセミナーで何度も話してくれた通りである。
私の教えたクラスには,「学級崩壊」状態のクラスもあったし,「できない子」もいた。
でも,「授業が終わらない」などということは,一度としてなかった。
学年末,子どもたちに「授業についての作文」を書かせた。
1人が2枚も3枚も書いていた。
みんな「算数の授業が大好きになりました」と書いていた。
3年まで,算数が大嫌いだった子も多かったが,好きになったのである。
この作文は校長先生にだけは見てもらってきた。ある意味で担任の授業への批判でもあったからだ。
この作文を,私は大切にとってある。
ずっと,しまっていたが教えた子も大学に入った。先日,セミナーで紹介をした。
すばらしい子どもたちの作文だった。
ということで,「授業が時間通り終わらないのは,授業の力が未熟」ということにつきるのだが,それを納得させ,伸びる方向を示してやるのは結構大変だ。
「フランス料理を習いたい」という人に,名人シェフはどう言うだろう。
「師匠について修業しなさい」とでも言うのだろうか。
「とりあえず,基本は料理学校で学びなさい」と言うのだろうか。
少なくても「その場であれこれ教える」などということは,しないだろう。
サークルに入ってもらって模擬授業をさせ,1つ1つ伸びてもらうのが妥当なのだと思う。
簡単そうに思えることでも,実は解決の方向は奥が深いのである。
1月号の「挑戦問題」もそうである。
割合を出して,グラフに書かせる問題なのであるが,「教科書通り」では,歯がたたない。
超難問を教えるには,次のどちらかが必要だ(あるいは両方必要だ)。
(1) いくつかに分ける
(2) 原理に戻って教える
助走問題,先生問題というのは,実はこの2つを満足させる問題を言うのである。
さて,1月号の「挑戦問題」は難問であった。
子どもたちに習得,習熟させるのが,極めて困難なのだ。
しかし,困難な問題でも分解して,原理を教えればいつか分かる。ただし,「繰り返し」「繰り返し」が必要だ。
第一は原理である。サッカーでも,踊りでも,ピアノでも,剣道でも「分解した」「原理」を,「繰り返し」「繰り返し」学習したはずなのである。
この問題の原理は,「くらべられる量÷もとにする量=割合」ということである。
しかし,この言葉が分からないのだ。
子どもに「ピーン」とこないのである。
私は,次のように教える。
全部で10個のおはじきがある
○○○○○○○○○○
一部分の3つだけ赤い
○○○○○○○●●●
「赤いのは,全体のどれだけか」
@このような問題は,必ず分数にする
部分
全体 となる。
A数字を入れる
部分
全体=3
B分数をわり算にかえる
3=3÷10
C答えを出す 3÷10=0.3
D0.3を割合にする 3割
(野球で10回打って,ヒット3本は何割で
すか)
E0.3を百分率にする
0.3×100=30(%)
F次のことは,すべて同じである
3=3÷10=0.3=3(割)=30(%)
私はこの例を,何度も出して授業をした。
すると,愛媛県は次のようになる。
愛媛県
合 計=21
このように,分数で示す方が子どもにはピッタリとくる。分かりやすいのだ。
そこで,計算となる。第二は計算とおよその数だ。
21=21÷128
この計算問題を,私はていねいに扱う。特に1問目は…。計算練習の仕上げのつもりである。
答えが延々と続く。この延々と続く数字を途中で,区切らせることが必要となる。「およそ」いくつとなるのだ。そして,グラフの表記となる。これが第三のポイントだ。
割合という原理。計算とその処理,グラフの表記の3つが出てきて,しかも1つ1つが難しいのである。
しかし,この問題ができるようになれば,小学校の算数は9割は合格と言っていいのである。
-
- 明治図書