向山型算数教え方教室 2001年1月号
平均90点を達成するのに必要な「もう一歩の詰め」

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向山型算数教え方教室 2001年1月号平均90点を達成するのに必要な「もう一歩の詰め」

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ジャンル:
算数・数学
刊行:
2000年12月
対象:
小学校
仕様:
B5判 92頁
状態:
絶版
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目次

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特集 平均90点を達成するのに必要な「もう一歩の詰め」
テンポを崩さずに何度も繰り返して「詰め」ていく
赤石 賢司
「先生問題」で徹底して治療する。
伴 一孝
基本型を徹底させる「授業の詰め」10か条
大野木 一雄
確認の原則を貫くことで平均90点が見えてくる。
根本 直樹
詰めを必要とする場面は,様々なところにある
小池 哲也
「もう一歩の詰め」は,自分の「不要な言葉を削る」こと!
和嶋 一男
テストこそがテストの仕方を学ぶ機会となる
八和田 清秀
ミニ特集 「我流」と向き合うTT教師の工夫
事実が「我流」を変えていく
星原 一宏
T2なら,すばやく赤鉛筆でヒントを書く
武藤 慶治
T2でも通用する向山型算数!
金子 史
「我流」を救うスキルやワーク
長澤 洋子
年度当初の打ち合わせが勝負だ
細羽 正巳
まず,子どもたちをほめる
北澤 祐史
子どもの声・親の声
「もう一度やり直したいくらい」計算スキルの効果に親も注目!
木村 重夫
向山型算数キーワード
平均点90点
木村 重夫
向山型算数実物ノートと指導のポイント (第16回)
長さを指定すれば図形はかける
高橋 慶子
巻頭論文 算数授業へのこだわり
向山実践のさまざまな反響へのコメント
向山 洋一
学年別1月教材こう授業する
小1教材こう授業する
塩苅 有紀
小1教材こう授業する
楢原 八恵美
小2教材こう授業する
竹川 浩治
小2教材こう授業する
大坪 敏夫
小3教材こう授業する
毛見 隆
小3教材こう授業する
渡邉 憲昭
小4教材こう授業する
喜屋武 仁
小4教材こう授業する
遠藤 真理子
小5教材こう授業する
徳永 一哉
小5教材こう授業する
根津 盛吾
小6教材こう授業する
山西 浩文
小6教材こう授業する
浅野 光
向山型算数に挑戦/論文審査 (第14回)
基本型は線分図
向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第16回)
子どもが集中する授業には「リズム」と「テンポ」がある
木村 重夫
向山型算数の原理原則と応用 (第16回)
「とけいの読み方」短針,長針それぞれの針ごとに局面を限定した指導
井上 朋子
向山型算数と出会ってTT授業が変わる (第10回)
河田 孝文長谷山 秀保
向山型算数WEBサロン (第10回)
不登校の子どもがインターネットを通じて学べる子どもサイトを作りましょう
赤石 賢司
子どもがシーンとする奥深い算数エピソード (第16回)
少数の表し方と循環小数
板倉 弘幸
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第10回)
「助走問題」は,計算手順の逆で配列せよ
井上 好文
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第16回)
低学年
後藤 あゆみ
中学年
阿部 力
高学年
野崎 史雄
親子で挑戦!ダブル・キムラ先生の算数 ザ・宿題 (第16回)
木村 孝康
“向山型算数”授業のバーチャル体験 (第16回)
向山洋一は“商の見当のつけ方”をこう授業した!B
向山 洋一木村 重夫
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
向山型算数によって生まれた5年ぶりの100点
田口 忠博
向山先生のセリフ「えっ!?」ベスト3
佐藤 文香
向山型算数は,子供にとって救世主だ
松永 文子
苦手な子も得意な子も大満足!
永田 光一
見栄と我流の授業から脱却する。
大町 勝一
教員2年目で平均点90点が実現!
岡本 真理子
自由投稿フリーページ
木村 重夫畑屋 好之
読者のページ
編集後記
木村 重夫赤石 賢司
法則化最新情報
向山型算数に挑戦/指定教材 (第16回)

巻頭論文

算数授業へのこだわり

向山実践のさまざまな反響へのコメント

向山 洋一


 向山型算数のMLには,さまざまな情報が流れる。紹介しつつ,コメントをつけ加える。

 なお,MLでの発言なので,すべて仮名である。


 群馬の板谷です。

 初めて発信します。

 放課後の教室で,子ども達と話していたとき,H子が, 「私,去年算数できなかったんだ。今はできるけど…」と話しかけてきました。

 H子は,かけ算のテストで初めて100点を取りました。

 前担任からの引継で,H子は忘れ物が多く,常におどおどしており,特に算数が心配といわれていたことを思い出しました。


 向山型算数と出会ってから,教室には,赤鉛筆や定規,ノートやスキルをコピーした紙などを用意しており忘れ物の多いH子に,優しく対応することができました。

 いつしかH子のおどおどした様子がなくなり,赤鉛筆で薄くノートに書く回数も減り,初めての100 点に,自信さえ感じられるようになりました。


 H子と握手をした後で, 「先生,お祭りの準備で忙しいけど,かけ算がんばるからね。明日も算数やろうね。」と言って明るく帰っていく後ろ姿が,とてもいとおしく思えました。


 なんだかとてもうれしくなって発信してしまいました。

 これからもがんばります。



 算数ができなった子が,100 点をとる。子どもが,急速に変化していく。

 そんな事実を,一つまた一つと作り出していくのが,教師の仕事である。

 小さな事実こそ大切だ。

 大きな理念からは,何も生まれないのだ。

 小さなことだけど,大変なことなのだ。

 これまでの「問題解決学習」からは,このような事実は生まれないからである。


 森田です。


 私の学校は私学で,中学受験を売りにしている学校なので,4年生にもなると,塾に通っている子どもが,クラスの3分の2から4分の3ぐらいになります。

 ですから,実は,自分の授業がいいのではなく,塾などの力なのかなぁ? と疑心暗鬼になったときもありました。

 でも,私の学校の特色である「定期テスト」では塾などに頼っていない子どもの成績の伸びに,向山型の力を感じました。


 また,隣の学年主任のクラスと平均点を比べても,1年前は5点ぐらい下だったのが,今では大逆転しています(わたしのクラスはクラス替え直後,学力が少し落ちるかもしれない,と前の主任に言われたことがあります)。

 その学年主任は,今では,平均点のことは口に出しません。「勝った」「負けた」の話をしていたのが懐かしいぐらいです。

 塾の力だけでは,こうはいきません。

 私の授業なんて,他の先生のまねごとにもなっていないレベルなのに(CDもないし,ライブにも行ったことないし),それなのに,こうやって効果が現れてきています。

 わたしのクラスもこうなるまでに,1年半かかりました。ですから,すぐによくならなくても気を落とさずにがんばっていきましょう。


 向山型算数は「できない子」にだけ効果があるのではない。

 受験を売りにしている私立の学校でも目ざましい効果があった。

 福岡で,中学受験の塾をしている地蔵原先生は,定期テストで,教え子が軒なみ90 点台をとったと報告している。

 お母さんが,「あまりの急上昇にびっくりしている」とも報告している。

 しかし,うまくいかない時もある。


 北海道の土田です。


 皆さん,素晴らしい点数です。そんな中,私は懺悔報告です。


 6年生立体の表面積(教育出版,正進社)のテストをしました。

 見事なまでに悲惨でした。表の平均点68 点です。裏は21 点です。

 ショックを通り越して,どん底状態です。

 採点をしながら腹が立ち(勿論,自分にです),「俺は一体,何を授業していたんだ!」と子どもたちに申し訳なくて…。前回の立体のテストが90 点を超え,今回の単元も,授業ではそれなりに出来たと思っていました。

 木村重夫先生のHPを参考に底面積,側面積,表面積を言葉の式で書き,その下に数字の式を上下揃えて書かせました。チェックもしました。底面積を求める公式も毎時間入れたりもしていました。教科書の展開図で色を付けたり,赤鉛筆でなぞらせたりもしていました。しかし,ここに落とし穴があったようです。

 つまり,私自身が「チェックしたつもり」「やったつもり」でいて,実は本当に詰めてチェックしていなかったのです。

 例えば,基本的な三角形の面積を求める公式,円の面積を求める公式,円周を求める公式を,しっかり身につけていない子への対応が不十分でした。先生問題や,念のため問題も,今思えば不足していたと思います。上手く進んでいるという思い込みもありました。

 本当に反省です。学年の先生とも話し,復習する事にしました。


 テストは,全部の問題について,子どもの間違いを洗い出しました。単位のつけ忘れ,単位ミス,ちょっとした計算ミス,思い込み(見間違い)によるミス,求め方は分かっていたが途中計算を間違った,求め方そのものが分かっていない,基本的な公式の定着不足…。これらは全て私の力量不足によるものです。ただただ反省です。


 これでいいんだ。

 平均点68 点に,頭をかかえるほど深く反省している姿が正常なんだ。

 「問題解決学習」をしていた人には覚えがあるだろうが,クラス平均点68 点で頭をかかえたことはなかったと思う。

 人によっては,「難関テストでの68 点ならまあいいか」と思ったはずだ。

 向山型を知ったからこそ,頭をかかえる。

 そして,反省をする。

 反省をせざるをえないところが大切なのだ。

 反省の矛先は,「自分自身」に向けられる。「教科書が悪い」「子どもが悪い」などと口が裂けてもいわない。

 自分自身のどこが悪かったかも思いあたる。自分がよく知っている。

 詰めが甘かったのだ。

 私から言わせれば,「子どもが緊張して学習していなかった」ということだ。

 それは,教師の指導法に「慣れ」が生まれ,「ゴー慢さ」が生じ,一人一人の子どもを見ていなかったことから生まれた。

 でも,こんなことは,誰だってある。

 大切なのは,自分に向けた批判を一つ一つのりこえていくことだ。

 そうやって,はじめてプロの域に達していくのである。

 いうなれば,プロになるために誰でも通る道なのだ。この道を通らなければ,プロにはなれないのだ。

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