『教室ツーウェイ 2008年5月号 奇跡のようなドラマが生まれたこの指導法』の詳細情報

▼「きれいな言葉」「見かけだけの取りつくろい」からは、決して生れない。

　「教育は愛だ、教育は心だ」と声高に言う教師の教室からは生れない。

▼もとより「教育に愛や心」は大切だ。「医師に愛や心が必要」なのと同じだ。

　しかし、医師には「患者を治す医と術が必要」だ。盲腸の手術ができない外科医を誰も認めない。

▼教師にも「できない子をできるようにする学と術が必要」だ。

　「跳び箱がとべない子を跳ばせる」「算数テストが五点十点の子に百点をとらせる」ような「学」と「術」が必要だ。

▼「教師に愛や心が必要だ」と主張する教師のほとんどは「学もなく」「術もない」。

　身銭を切ってセミナーに出かけたこともなく、毎月五冊の専門誌も読まず、月に一、二回の自主的研究会にも参加せず、これまでに五十回の研究授業もしたことがない―つまり不勉強の教師なのだ。

▼学も術もない、不勉強な教師の教室から「奇跡のようなドラマ」は生れない。

　保護者、子どもから胸がつまるような「感謝の手紙」が届くこともない。

▼学や術を求める教師かどうか、分りやすい指標がある。

　行動範囲が広いのだ。明治維新の先生も行動範囲が広かった。

　すばらしい教師を自分の住む地域以外に、全国二十都道府県以上知っているかということだ。

▼名前はもちろん、メールの日常的なやりとり、時に酒を汲みかわす友人が全国にいるかどうかということだ。ＴＯＳＳでは、大学生でさえ、この指標はクリアしている。

▼すぐれた指導術を学び、全国に友人を持つような教師人生を願う。

（向山）