- はじめに
- 登場人物紹介
- 第1章 高学年 担任教師の心得
- 学級開き直後のルールづくりでは
- 叱る時は
- 何度注意しても廊下を走っている時は
- けんかでの反抗的な言葉遣いには
- 学力差が大きい授業場面では
- 宿題を出す時は
- 時間を守るといった当たり前の指導は
- 第2章 高学年 クラスの仲間づくり
- 体育の授業で男女を協力させたい時は
- クラスレクの時は
- ペアや全体での交流の場面では
- 宿泊学習のグループ作りの時は
- 席替えの場面では
- けんかの場面では
- クラスにいじめがありそうな時は
- 第3章 高学年 生活場面の指導
- 朝の会では
- 朝の歌では
- 掃除の指導場面では
- 忘れ物指導では
- 礼儀指導では
- 先生が間違ってしまった時は
- 休み時間、教師は
- 「今回だけ許して」と言われた時は
- 第4章 高学年 お年頃女子への指導
- 高学年女子への接し方は
- 女子のグループ化は
- 女子グループ内で起きた問題への指導は
- 女子の言い訳への対応は
- 言いつけや愚痴、噂話への対応は
- 服装等が気になる時は
- 不要な物を持ってきた時は
- 第5章 高学年 授業場面の指導
- 授業中の発言への指導は
- 「知ってます」「簡単すぎ」と言われたら
- 「それはテストに出ますか」と聞かれたら
- 「もっと難しい問題を出して」と言われたら
- 道徳の時間には
- 「もう終わった」&「全然わからない」には
- 「暗記ばかりでつまらない」と言われたら
- 「跳び箱が跳べない」と言われたら
- おわりに
はじめに
「OK指導」
より
「NG対応」を先に知る
高学年で、「OK指導」をしてうまくいっている教室。
それができている教師像を思い浮かべてください。
どういった教師像をイメージしますか。
人気者で、休み時間に子どもが群がってくる先生。
穏やかで、話をよく聞いてくれる先生。
面白いことをたくさん言って、笑わせてくれる先生。
実はこのベースには「NG対応」をしていないということがあります。
つまり、マイナスの状態にしていないということです。
しかし、この姿は、うまくいっている教室からは具体像が見えません。
この本の中では、ここに関連する二人の対照的な教師が登場します。
「ハジメテ先生」は、熱意だけはあるものの、教育技術や知識は未熟な教師像です。
極端に指導が下手な例として示しましたが、初任から数年の自分自身の姿でもあります。
また、私が実際に現場で見てきた、あるいは全国の悩める先生方から聞いてきた、痛恨のミスの事例記録でもあります。
一方の「ベテラン先生」は、教職の苦労を経てあるレベルまで達した教師像です。
有名な先人や知人、尊敬する諸先生方をモデルにしています。
何より、私自身が実際に行い、効果のあった事例を紹介しているので、実践記録としては、どれも本物になります。(プライバシーに配慮し、設定には多少の脚色があります。)
うまくいく方法だけ知れればいいので、ベテラン先生の方だけでいいと思う方もいるかもしれませんが、それは違います。
実は、うまくいく方法に辿り着く最短の方法は、逆の方法を知ることなのです。
「駄目な方法を知って、それを決してやらないこと」なのです。
危険を知って事前に対策を打っておくからこそ、安全・安心ベースで挑戦できるのです。
「こうするとやけどする」とわかっているからこそ、理科の実験で火を扱えます。
「こうやると大ケガをする」とわかっているからこそ、体育の指導ができます。
だから、ハジメテ先生の駄目な事例を知って「大やけど」を防ぐことが、高学年の心をとらえて離さない指導をする上で、大変有益なのです。
本書のタイトルには「こんな時とっさ!のうまい対応」とありますが、実は「うまい対応」を身に付けるよりも「NG対応」を避ける方が優先です。「ハジメテ先生」から「NG対応」をまず学び、その上で「ベテラン先生」から「OK指導」を学んでください。
なお、うまくいかない指導法は汎用性(同じ効果が期待できる)が高いのに対し、うまくいく指導法の方は、相手に応じた工夫が必要なことが多いものです。うまくいく事例の一つとして捉える方がより現実的です。
では、次ページより早速その具体例を見ていきましょう。
まずは「NG対応」を知り、やらない。
次に「OK指導」を知って、実行する。
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