生活指導 2012年1月号
子どもの変化と集団づくり―発達障がいの子ども理解がもたらしたもの―

L698

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生活指導 2012年1月号子どもの変化と集団づくり―発達障がいの子ども理解がもたらしたもの―

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2011年12月6日
対象:
小・中
仕様:
A5判 123頁
状態:
絶版
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目次

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特集 子どもの変化と集団づくり―発達障がいの子ども理解がもたらしたもの―
特集のことば
子どもの変化と集団づくり―発達障がいの子ども理解がもたらしたもの―
今関 和子
実践
<小学校> ユウジとマコ
山口 たかし
<小学校> タカシと学級の子どもたちをつなぐ
細田 俊史
<中学校> みんなで支え合える学級・学年をめざして
大木 光
分析
困難な課題を抱えた子どもの側からの学級づくり・学校づくりの再検討の視点
福田 敦志
論文
ケアの視点と集団づくりの実践の構図―ケアし合う関係から集団の自治の地平へ―
船越 勝
第2特集 学級・学年のまとめをどう構想するか
<小学校>ユニット班と学習班の多層構造でひろげる
関口 武
<小学校>卒業までのカウントダウン!〜三か月を子どもたちの力でどう過ごすか〜
佐藤 晋也
<中学校>「学校文化」を大切にしたい
河瀬 直
<中学校>地震・災害・科学技術をどう教えるか―大震災をきっかけとして―
松本 和美
<中学校>卒業期の生徒とともに
木村 哲郎
解説論文
学級・学年の軌跡をたどる物語づくりのために〜五人の方の実践から思うこと〜
北嶋 節子
今月のメッセージ
全生研で学んでいたから乗り切れた―苦闘の一ヶ月―
松原 憲治
私の授業づくり (第34回)
小学校〈道徳〉/「津波てんでんこ」―あなたはどうする?
澤田 好江
中学校〈道徳〉/仲間の見方を豊かにする
川辺 一弘
実践の広場
子どもの生活・文化・居場所
家庭と共に育つ
相良 泉
子どもをつなぐ活動・行事
迫力満点!児童会種目「棒取り合戦」
桶田 隆義
いきいき部活・クラブ
だんだんくらぶ・子どもボランティア
地多 展英
手をつなぐ―教師・親・地域の人々
関係のもつれを抱えた保護者と
中山 光俊
私と集団づくりとの出会い
集団嫌いを乗り越えるために
吉田 知史
案内板 集会・学習会のお知らせ
教育情報
大阪の、日本の、教育の未来はどうなるのか
平田 知美
〜シンポジウム『大阪の教育「不安」の声』の報告〜
使ってみよう!実践グッズ (第9回)
「達成お祝いの会」が生みだす世界
神坂 大河
若者の広場 (第9回)
私の実践紹介します
笠石 哲
〜「時々、自分で自分が止められなくなるんよ」〜
地域生活指導へのアプローチ (第12回)
学び塾「猫の足あと」を家族で設立
岸田 久恵
〜子どもの貧困にとりくむ中で始めた無料の学習支援〜
読書案内
『いのちの選択―今、考えたい脳死・臓器移植』
柏木 修
追悼・鈴木和夫さん
もう少し生きていっしょに仕事をしたかった
竹内 常一
読者の声
11月号を読んで
シリーズ/各地の実践
京都
鴨川 章吾
〜きみは一人ぼっちじゃない!〜良太を学級の仲間として迎えるために〜〜
編集後記
高橋 英児

今月のメッセージ 全生研で学んでいたから乗り切れた―苦闘の一ヶ月―

京都・中学校 松原 憲治


九月半ばに十二年ぶりに急遽、担任となった。父の葬儀があけて翌日出勤すると、三年の担任が年休をとっていた。そのまま三ヶ月の長期休暇に入られた。葬儀関連で休んだ三日間、男子がいっきにコントロールしがたい状況を呈し、かなり混乱した場面が続いたようだった。担当している三年生は、小学校時代から有名な学年だった。六年時の後半はすべてのクラスが学級崩壊。中学入学後は何とか平穏を保っていたが、二年スキー修学旅行を苦労の末に終えた直後、教員二名の不祥事が報道され、学年の中心的役割をつとめていた彼らが学校から去っていった。生徒達の教師不信はいっきに高まった。

担任が二度も替わるという事態を経験した生徒も多数にのぼった。保護者の不信や不満もさらに高まるだろう。この状況を乗り切るために、教務主任の私が「最も課題のある生徒の担任になります」と手を挙げた。職員打ち合わせの席で、こう訴えた。「二年間、学年の行事の企画・運営や総合学習・行事もほとんど担当してきました。文化祭の学年劇でやんちゃグループを引き受けて劇指導を進めています。練習は本当に大変で、忍の一字でやってます。来週から体育祭と合唱コンの練習も始まります。曲も指揮者が誰かも知りません。前期末の全校生徒の成績処理と通知票の作成、週ごとの時間割も作成しなければなりません。新人戦の団体戦と個人戦もこれから始まります。その合間に父の法要が入ってきます(この二週間後に妻の母も亡くなった!)。みなさん、これをやり切れますか? 私はできません! このままではきっとつぶれます。……でも、やらなければ生徒も保護者も納得しません。今、自分に『目標は五十点』と言い聞かせています。普通の合格点は七十点です。でも、五十点しかできません。私を助けてください。陰口や批判はいりません。ありがとう、ご苦労さん、よく頑張ったね。そんな言葉が飛び交う職場にしましょう」。数日間は心がザワザワと落ち着かなかった。イライラはピークに達し、早朝覚醒が続いたので、心療内科で睡眠剤をもらい、飲むようにした。朝まで眠れるようになり、少し落ち着いた。

担任宣言の日がきた。「担任の先生は体調不良でしばらく休まれます。今日から私が担任をつとめます」。宣言するや否や、課題のKは「なんでやねん、本人がここに来て説明せえや。こんなんやってられるか!」と、教室を飛び出した。追いかけて話し込む。「あいつら、なんで担任が替わって、普通に授業が受けていられるねん!」。再び怒りが湧いてきたのか、教室に戻り、「おまえらなんでこんな状況で普通に授業受けていられるんや!」と声を荒げ、教卓を蹴る。校外へ飛び出したKの背中に、「『担任、何で急に休んだんやろ? このクラスどうなるんやろ?』そんな不安と不満は、みんなもお前も同じなんやで」と声をかけた。「それなら、話をさせて。みんなと話がしたい」とK。「わかった。次の時間もらって、とことん話し合おう」。

Kの思いを紹介し、みんなの気持ちを出し合おうとよびかけた。はじめは質問からポツリポツリと。一時間かけてようやく三分の一程度が発言でき、さらにもう一時間かけてみんなが発言できた。女子の大半は涙を流し、不安な気持ちや担任を心配する気持ちを訴えた。Kはみんなの発言を聞く中で納得できたのか、最後は半泣きで「勝手な思い込みや行動でみんなに迷惑をかけた。これから文化祭や体育祭ではリーダーになってがんばるし、一緒にやっていきたい」と発言した。残り時間、話し合いを終えての感想を自由に書かせた。その夜、二時間かけて全員の感想文をまとめ、翌日の朝、読書の時間に読みあった。

KやKをとりまく男子たちは、相変わらずトラブルを起こし続けた。が、そのたびにとことん彼らと話し合った。劇練習は『この活動で彼らとの人間関係を結び直す』と決意してつき合い続けた。原作の『戦争を知らない子どもたち』をやんちゃ軍団の個性にあうように書きかえ、京都弁にして演じやすくした。本番、見事に演じきったあと、ステージ上でKたちが感極まって次々と泣き出した。

この先、卒業までたくさんの課題にぶつかるだろう。だが、私はこう決意している。「全生研で学んだことのすべてを残り数ヶ月でやり切り、教師=人間への強い信頼感を生徒に獲得させるのだ」と。

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