生活指導 2012年2月号
いま拓かれつつある教師と子どもたちの関係

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生活指導 2012年2月号いま拓かれつつある教師と子どもたちの関係

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2012年1月6日
対象:
小・中
仕様:
A5判 123頁
状態:
絶版
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目次

もくじの詳細表示

特集 いま拓かれつつある教師と子どもたちの関係
特集のことば
いま拓かれつつある教師と子どもたちの関係
高橋 英児
実践
<小学校>寅から学んだこと〜「協力ラグビー学級」を目指して〜
春野 華鈴
<小学校>俺は変わりたい!
佐々木 大介
<中学校>浩と
大島 冴子
分析
「共に生きる」教師と子どもの関係
絹村 俊明
論文
学級集団づくりのなかの教師と子どもの関係
竹内 常一
第2特集 中学校に「文化活動」はあるのか
問題提起/中学校における学校の文化を問う
いま、文化活動はどうなっているのか
今関 和子
現場からの報告
[1]三年生を送る会・合唱祭の取り組みを通して
淺川 いつか
[2]学校の主人公は、君だ!
栗城 順一
[3]文化は混乱の中から生まれる
五十嵐 晋
[4]合唱を学校文化として再生させるため
志木 布由子
論文
学校の文化活動を捉え直す
藤井 啓之
今月のメッセージ
教師のメンタルヘルスと学校
栗城 利光
私の授業づくり (第35回)
小学校〈算数科〉/出会いは「小数」の学習の中で
山上 順子
中学校〈技術・家庭科〉/福島原発事故をエネルギー変換の立場から検証する
谷田 宗人
実践の広場
子どもの生活・文化・居場所
荒れの中のメッセージ
船越 裕和
子どもをつなぐ活動・行事
子どもたちを、ていねいにむすびつけよう
川口 さとみ
いきいき部活・クラブ
源とお笑いクラブ
佐藤 珠貴
〜低学年の学級内クラブ〜
手をつなぐ―教師・親・地域の人々
原発事故で避難した方を地域で守る
古関 勝則
私と集団づくりとの出会い
私の先生
谷内 唯子
案内板 集会・学習会のお知らせ
教育情報
震災後8ヶ月
瀬成田 実
〜宮城県の学校現場の状況〜
使ってみよう!実践グッズ (第10回)
まだまだできる 学級通信で学級づくり
佐藤 くみ子
若者の広場 (第10回)
私の実践紹介します
春山 寛明
〜四年生からの再出発―仲間とのつながりをさがして―〜
北から南から
サークルだより
阪上 貴木
〜〈京都〉私がサークルに参加する理由〜
読書案内
『子どもの心的世界のゆらぎと発達』
子安 潤
読者の声
12月号を読んで
シリーズ/各地の実践
千葉
中嶋 淑也
〜先生は、お前たちのことをわかりたい〜「荒れざるを得ない」背景をもつ子どもたちと〜〜
『生活指導』誌の発行・発売元の変更にともなう、購読手続きの変更について
全生研常任委員会
編集後記
高橋 英児

今月のメッセージ 教師のメンタルヘルスと学校

常任委員/栗城 利光


今、教師の生きづらさがクローズアップされています。第五十三回全生研千葉大会の基調提案に、全国の多くの先生方が貴重な、絞り出すような思いを寄せています。

昨年十月下旬に発行された全生研会員通信一八九号で、矢崎さんはこう書いています。

「なぜ教師でいることがこれほど苦しいのか」「職員会議はほぼ廃止」「朝7時には職員の半数以上がそろい、帰宅するのは深夜に及ぶ」「学校で一番大事にされるのは『子ども』ではなく『研究授業』」「求められるのは『即効性のある』指導」「上手に指導できない私に対する、周りの目がこわかった」「強まる孤立感」「学年主任からの強い叱責」「学年の中の孤独感」「職員室に入れない」「気づくと私は、子どもより、保護者より『職場の目』が怖くなっていった」……。また、花城さんはこう述べています。「私を追い詰めたのは……荒れた私のクラスについて一切話題にしたり、触れたりせずにいる職員や、無機質な空気の流れる職員室でした。」

今、学校はどうなっているのでしょうか。どうなってしまったのでしょうか。子どもを真ん中にして、「子どもの最善の利益」のために、教師が、教師たちが、管理職も含めて、知恵を出し合い、協働して、互いの弱さを認め合い、支え合い、フォローしながら、トータルとしての教育力を発揮していくのが学校だ、と私はずっと思っていましたし、今も思っています。そのために何ができるか、何をすべきかを考えて学校づくり・職場づくりを進めてきました。しかし、教師を支えるべき教師集団が、職員室が、教師を追い詰め、苦しめている元凶になっているのです。

そして、多くの良心的な先生が、子どもに寄り添い、子どもたちの苦悩の背景を探ろうとする教師たちが、心を病んでいきます。うつ病などの教師の精神疾患の増大は、一九九〇年代半ば以降大きくマスコミでも取り上げられてきました。しかしそのころの心の病は「過労」や「燃えつき」といった労働の量に起因するものが多かったように思います。しかし、今は、「過労」はもちろんパワハラや価値観の強制、同僚間の競争といった関係性や労働の質(の悪化)が加わってきているように思います。それは基調提案の言葉を借りれば、「成果主義と競争が渦巻き、教師たちを管理し、教師たちの生きづらさを増幅させている」ということですし、「いまや教育実践の共同主体であるはずの教職員相互の協働は著しく後退し、学校は教員個々人の『成果』を競いあうような職場へと変貌しつつある」ということです。

しかし、すでに展望は提示されています。先ほどの矢崎さんは言います。「『貧困』なのは子どもだけなのだろうか。若手教師を支えきれない、ベテラン教師がつながれない、今の学校現場こそ、『貧困』」「みんながつながれないからこそ、競争し、闘い、疲れる……。闘う時代は終わった。」「どうしたら、私は休まなくてもよかったのか。もしかしたら、休むことは、これから教師を続けるために必要な時間なのではないだろうか」「追い詰められたときに、倒れないようになるために、逆に、先生や子どもを追い詰める側に回らないために、そして『私』は『私』であるために、私は休む」と。

世界が市場原理主義に基づく過酷な生存競争を新しい形で進めている現代社会の中で、子どもはもちろん保護者も教師も、教師が集う職員室も、その荒波に飲み込まれようとしています。しかし、その中で苦しむ教師たちが新しい再生の芽を育てています。真の意味で同僚が集い、「ほっとできる居場所」「補給基地」となる職員室をみんなでつくっていこう。

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