生活指導 2011年7月号
子ども同士の関係をどうつくりかえるか

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生活指導 2011年7月号子ども同士の関係をどうつくりかえるか

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2011年6月6日
対象:
小・中
仕様:
A5判 123頁
状態:
絶版
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目次

もくじの詳細表示

特集 子ども同士の関係をどうつくりかえるか
特集のことば
子ども同士の関係をどうつくりかえるか
高橋 英児
子ども同士の関係をどうつくりかえるか
<小学校>「居場所がほしい」―わがままなのか、受け入れられないのか―
宇田 佳彦
<小学校>群れるのはいやなんよ。だけど…。
吉田 康彦
<中学校>「女子トイレに書かれた落書き」事件
星高 丈
<中学校>ボス退治の行方は…?
中川 拓也
分析論文
子どもの願いを軸に子ども同士の関係を編み直す
藤井 啓之
第2特集 3・11東日本大震災と教師たち―全生研MLの交信記録/3・13〜4・6
あの日、あの時、東北では
今、どこにいる?
子どもたちは、その時
中越地震、阪神淡路大震災を体験して
今、子どもたちのために“怒る”こと
現実を問い直す
そして、今とこれから
特集に寄せて
知らなければ、超えられない
井本 傳枝
今月のメッセージ
大震災に直面した今、生活指導に求められること
住野 好久
私の授業づくり (第28回)
小学校〈道徳〉/全校朝礼での平和学習
吉田 智子
〜高松空襲と憲法九条の話〜
中学校〈道徳〉/いじめ問題をみんなで考える
小室 貴
実践の広場
子どもの生活・文化・居場所
オレたちの放課後は…
木村 哲郎
〜地域教育コーディネーターが創った居場所〜
子どもをつなぐ活動・行事
みんなでつくり、みんながつながった“ゴムダンス”
伊藤 均
いきいき部活・クラブ
のんびり楽しくモノづくり
野口 剛
〜顧問も楽しむ郷土研究部〜
手をつなぐ―教師・親・地域の人々
親とともにつくる学級・学年の活動がおもしろい
藤原 伸一郎
私と集団づくりとの出会い
「デモシカ先生」からの出発
黒坂 晴美
案内板 集会・学習会のお知らせ
教育情報
特別なニーズ教育の現状と課題
山本 理絵
〜幼児期から小学校への移行期を中心に〜
使ってみよう!実践グッズ (第4回)
教師は子どもに嫌われたらどうしようもない
志賀 廣夫
〜「嫌われる原因」をチャートで掴み、創造的な指導を〜
若者の広場 (第3回)
発信しよう!若い教師の声
全生研若手教師たち
〜今、私はこうして働く!〜
読書案内
『子どもと自然大事典』
折出 健二
読者の声
5月号を読んで
シリーズ/各地の実践
愛知
桜木 葉子
〜すべては大和のヘルプから始まった〜
全生研第53回全国大会案内
編集室だより
全生研編集部
編集後記
高橋 英児

今月のメッセージ

大震災に直面した今、生活指導に求められること

岡山大学(指名全国委員) 住野 好久


今、深い悲しみの中にある。この原稿を依頼されてまもなく起こった巨大な地震と津波、そして原発事故。多くの命が失われ、多くの方の生活が奪われた。また、多くの教師と子どもたちの命も失われた。全生研の教師も。ぎりぎりまで子どもたちを守りながら。

この原稿が公にされる六月、復興は進んでいるだろうか。原発はどうなっているだろうか。想像もつかない。ただただお見舞いの気持ちと復興に向けて支援したい気持ちでいっぱいである。


この未曾有の大震災に直面し、全生研に求められることは何か。改めて大切にしたい生活指導の原則を確認したい。というのも、こうした状況だからこそ、これまで全生研が大切にしてきた生活指導・集団づくりが必要になると考えるからである。

一 子どもたちの権利を守る地域生活指導―福祉との結合

被災した子どもたちは健康で文化的な生活を営む権利、教育を受けて学ぶ権利が侵害されている。被災して間もなく、インタビューに答えた子は「今ほしいものは……おうち。今したいことは……学校に行きたい。」と答えた。こうした子どもたちの権利を守るには、福祉と手をつないだ「地域生活指導」の取り組みを広げることが求められる。「子どもの最善の利益を守る」ために、教師、保健師、医師、ソーシャルワーカー、NPO、ボランティア等々がつながって、子どもたちの権利を守るネットワークを構築していくこと、地域社会において集団づくりを推進していくことである。その際、近年全生研が展開してきている「反貧困」の視点も欠かせない。

二 子どもたちのケアしあう関係を築く集団づくり

肉親を失った子、目の前で友だちが津波にのみ込まれていくのを見た子、多くの子どもたちがひどく心を痛め、傷ついている。また、頻発する余震の度に津波の恐怖をフラッシュバックさせられている。不安とストレスを抱える子どもたちに対して求められるのは、相互にケアしあうことで相互にケアされる関係である。それはケアしようとする側が一方的に働きかけ、ケアしている気になっているような関係ではない。ともにケアしあい、共感しあい、癒しあい、励ましあう関係である。子ども集団づくりがつくり出す子どもたちの関係は、強者が弱者を助けてあげるような関係ではなく、活動や生活を共にしながら、仲間の存在に癒され、励まされ、自己効力感を高めていける関係なのである。

三 参画と学びを通じて子どもたちを生活主体に育てる

傷ついた子どもたちを、次第に生活再建の営みに参画できる主体に、将来にわたる地域の復興の担い手に育てていくことも求められる。生活指導は、子どもたちが仲間に支えられながら生活主体へと発達していく過程を支援し、エンパワーする機能を果たすことが求められる。そのための生活指導は、学級生活に閉じたものとなってはならない。それは社会現実への参画と豊かな学びを通じて、今自分たちは何をすることが求められているのか、それはどのようにすれば実現可能なのかをみんなで解き明かし、共有し、実践していく生活指導である。


こうした生活指導の原則を、被災した子どもたちに対してだけではなく、すべての子どもたちに対する生活指導に貫くこと―震災に直面した今だからこそ訴えたい。

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