- 特集 若い教師と学級・学校づくり〜つながりの世界をつくる〜
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今月のメッセージ
聴く・語る・指導する
全生研常任 栗城 順一
私たち教師は日々、子どもたちに抽象的な訓示やリアリティーのない言葉を投げかけてはいないだろうか。
「仲良くしなさい」「いじめはいけません。思いやりを持ちなさい」「とにかく頑張れ」「精一杯努力しろ」と。
子どもたちの耳はこうした言葉の洪水に慣らされ、多くの子どもはそうした言葉に疑問を持たないように育てられてはいないだろうか。その言葉が無意味で無内容なものであろうと、聞き流しつつ、それなりに応答しながら、学校生活を送ってはいないだろうか。
学校のしくみは、教師の形式と抽象的な言葉(指導言)に疑問を持たず、それを形式だけでも守っていれば、集団の中でうまくいくようになっている。学校で「生きていく」には学校秩序の順応主義者になることだと教えているかのようである。しかし、それが生きるに値するものなのかは、子どもたちの様々な「荒れ」や「問題行動」を見れば、一目瞭然である。
学校は「言葉」を教える大事な学びの場にもかかわらず、こうした学校のしくみが言葉への希薄な態度を日々培っているといってもいい。それが子どもたちの感情や思いを表現する言葉を奪っていることにつながっている。
「死ね」「殺す」「うざい」などの表現は、自分の感情を上手に表現できない(言葉を奪われた)結果ではないのか。この現実を直視して子どもと向き合わないと、指導のリアリティーは創れない。
今子どもたちに取り戻したいのは、生活現実に根ざした言葉の一つひとつである。そのために、子どもたちが自分固有の実感・体験・信条・価値観にもとづいて何事かを語ることを保障し、その思いにふさわしい言葉を回復してあげることである。そういう言葉のやりとりができる教師と子どもの関係を創りだしていくことがない限り、指導のリアリティーは生まれず、生活指導たりえないのである。
生活指導における「聴く」「語る」「指導する」というのは、子どもと教師がその置かれている現実を媒介にして相互に自己を主張し合い、目の前の現実を意識化(言葉で表現)することである。また、その現実をより生活しやすくしていくために何が必要かを確認していく作業のことである。
その際、生きるにふさわしい現実を創りだしていくために、対話を簡単に合意に結びつけないようにすべきである。
大事なのは、子ども自身が現実をどう感じ、どうしていきたいのかを子ども自身の言葉で語ることであり、それを教師が意味づけ、教師の考える進むべき方向(よりよい現実)を指し示しながらも、その判断は子どもにまかせることである。それが教師の考えと違っていてもかまわないのである。
対話そのもの、つまり、自己と向き合い、どう生きていくのかを考える場を与える対話こそ、彼らの自立につながるのである。
人というのはなかなか分かりあえない多元性を持った存在である。「話せばわかる」ことにとらわれず、話し合っても合意できないこともあることを認識しつつ、対話を続けることである。
自分の生活現実を背負って対話し続けることこそ大事なのである。その中から少しずつ、真の現実(よりよい世界)を発見していくのである。
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- 明治図書