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今月のメッセージ
東京での「主任教諭」導入と同僚性
常任委員 岸田 幸雄
人事考課の導入に端を発し、ここのところ、全国大会に行くたびに「東京は大変ですね。」ということが多くなっています。さらに、大変な事が決まってしまいました。正式には年明けの都議会で決まるということですから、この「二月号」が皆さんの手元にある頃には正式決定されているでしょう。十一月の都教組との交渉の結果、都教委に押し切られた形での導入です。本来ならストをしても抵抗するべき内容だと思いますが、現在の力関係では抵抗も限界だったようです。
都教委の説明によると、約四万五千人(うち、受験資格のある三十歳以上が約三万人)の東京都の教員のうち、約半分の約二万二千人の教員が「主任教諭」となるとのことです。つまり、同時に導入される新しい給料表では、「教諭」のままでは四十七歳あたりから昇級停止になるのですが、その年代の教員が「主任教諭」になるとすると、ほとんどその影響を受けないことになります。また、「主任教諭」になるかどうかは本人の希望によるが、最初の二年は経過措置として、試験をするわけではなく、職務レポート(一定の有用な職務経験・実績があると認められる者については免除)と勤務実績で選考することになっています。
しかし、私を含めて「主任教諭」になることを潔しとしない人も多いと思いますので、混乱は避けられないでしょう。職場の同僚性はどうなってしまうのでしょう。同じ五十代の職員のほとんどが「主任教諭」であるとすると、少数の「教諭」と気持ちよく仕事が出来るのでしょうか。現在「主幹」になっている者は、導入当時に、この職場に残りたいならば、と説得されてなった者も多く、人数も少ないので、少なくとも私の職場などでは「給料も多くもらっているのだから主幹に多く仕事をしてもらいましょう。」というような雰囲気はありません。今度は五十代では「主任教諭」のほうが多くなり、ヒラの「教諭」が少数となることが予想されるわけで、少数の「教諭」はどのような気持ちで「主任教諭」と仕事をすることになるのであろうということを考えると、「主任教諭」になることに対しての抵抗感を禁じえません。今後、職場の同僚性をどうやって築いていくかについての各職場での討議が欠かせないでしょう。
このことに限らず、東京都は新教育基本法の下、「教育改革」の先進的役割を担っています。先日十一月九日の朝日新聞の一面では、荒川区の「学力向上マニフェスト」と称される数値目標が紹介されていました。ある小学校では二年生の九九の習得を百%達成することを「マニフェスト」として掲げています。九九をどの生徒にも身につけさせたいという願いは教師、保護者のみならず、当の子ども達も願いとして持っているでしょう。しかし、一旦それが数値目標となると、子ども達への圧力となってしまうでしょう。そういったことがどうしてわからないのでしょう。いったい東京都の教育はどうなってしまうのでしょうか。
しかし、暗い話題しかないような東京でも明るい兆しも見えています。〇八年十二月号でも紹介されましたが、五十回大会の総会での東京支部からの発言にあったように、東生研、全生研の学習会に参加する若い人たちが増えてきています。また、今回の闘争に関わって組合に入る若い人たちも増えたそうです。団塊の世代が教員になったころは二十代の教員が職場を支えていたということですから、これからは、四十代、五十代の「主任教諭」ではなく、これから採用が増える若い「教諭」が職場を支え、同僚性を築いていくのかもしれません。
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