生活指導 2007年3月号
子どもはなぜ荒れるのか―思春期の子どもたち

L639

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生活指導 2007年3月号子どもはなぜ荒れるのか―思春期の子どもたち

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ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
2007年2月6日
対象:
小・中
仕様:
A5判 124頁
状態:
絶版
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目次

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特集 子どもはなぜ荒れるのか―思春期の子どもたち
子どもはなぜ荒れるのか―思春期の子どもたち
大和久 勝
実践報告・小学校
一緒になって悩めるのか
橋元 義文
コメント・小学校
弱い者同士が手を結び合うことから、教育は再生する!
今関 和子
ともに迷い、悩むなかに、共同の関係が広がる
浅見 慎一
実践報告・中学校
きつい状況の中で…
河瀬 直
コメント・中学校
応答関係をどう紡ぎだすのか
本田 広行
きつい状況から何が見えるか
高橋 英児
論文
思春期の貧困、貧困のなかの思春期―「生のホーム‐レス化」という事態―
照本 祥敬
第2特集 「いじめ」問題を考える
論文
現代のいじめと実践課題を考える
能重 真作
今日のいじめ問題をどう捉えるのか?
楠 凡之
小学校事例
ネットに書き込み―さあどうする!
布袋 透
中学校事例
「序列」と「孤独」の中で
関場 公一
今月のメッセージ
職場におけるリーダーシップとフォロアーシップ
花山 尚人
若い教師のための子ども集団づくり12か月 (第12回)
小学校3月/学級の歩みと成長を確かめ合う
竹内 朋子
中学校3月/一年間のまとめをつくり出そう
榎本 恒夫
実践の広場
私の教室
地域や身近な自然が学級の連帯感を
久田 公平
学びの素材
「14ひきのおつきみ」
戸奥 紗英
すぐ使える遊び・ゲーム
小さな時間を見つけて気軽に
相模 津
部活動・クラブ活動の工夫
人形劇クラブで子どもたち同士の関わりをつくる
柳田 良雄
子どもの文化事情
現代子どもおばけ事情
稲葉 弘志
手をつなぐ―親と教師
学校アンケートの実施とみんなの懇話会の開催
冨永 謙一
心に残る子どもとの対話
希望をもったサチ
大場 佳八郎
掲示板Y・O・U
竹内 悠理山口 結実
案内板 集会・学習会のお知らせ
教育情報
自己ブランド化を要請する社会
佐喜真 祥子
読書案内
『バトルの学舎』
鈴木 和夫
ホッと一息・コーヒータイム
私のオフタイム
本 秀一
マンガ道場
猪俣 修
風の声―この人に聞く
みなさん、こんにちは、ほんとうに久しぶり
林 友三郎
シリーズ/各地の実践
石川
安原 昭二
〜低学年実践への試み〜
埼玉
高橋 欽一
〜よびかけ、応答する学びと情動的交流をとおして結ぶのびやかな関係性〜
読者の声
1月号を読んで
2006年度既刊目次
編集後記
大和久 勝

今月のメッセージ

職場におけるリーダーシップとフォローアーシップ

全生研常任委員 花山 尚人


 前の職場で共に実践したある養護教諭の先生の話である。

 不登校の男子生徒へのアプローチのひとつとして、保健室登校を試みることになった。

 若い男性学級担任教師は、とてもていねいに生徒へかかわっていたが、授業コマも多くひとりではむろん対応しきれない。職場の中には、「どの先生も授業が多く、始めたとしてもいずれやりきれなくなるので無理をしてやることはないのではないか」との意見もあった。

 そこで、養護の先生は、自らがコーディネイト役となり、保健室での活動にとりくみ始めた。当時、教務主任をしていた自分には、学習担当が依頼された。授業のないときは、できるだけ保健室に通い、数学の学習を少しずつ積み重ねた。その成果を綴る特製ファイルが彼女によって作製され、男子生徒は嬉しそうに、学習を進めることができた。スクールカウンセラーが来校する日には、教育相談が設置された。お手伝い的な作業を学年の先生と行うことも出てきた。学年の各先生がたは、少しずつの協力をみんなでしてくれた。

 やがて、彼は、教室には戻れないものの、同じクラスにいたある男子生徒の誘いもあって、所属する文化部の放課後の活動に参加できるようになる。校長先生たちが主催した休日の親子木工教室にも部活の友達と参加する。

 これら実践のコアには、養護教諭の先生がいた。

「先生との学習を楽しみにしているようですよ。ありがとうございました」

 わたしへ向けてあったのと同様のアプローチを、彼を囲んでくれる多くの大人や子どもに対して続けておられた。

「ありがとうございました」と言われると、

「とんでもない。たいしたこともしていないのに。先生こそ、本当にありがとう」と思う。

 そして、続く会話は、彼についての前向きな話へと進んでいく。

 いまでは、彼女に続いて、他にも若い教師たちが、同じようなアプローチをいろいろな場面でしあっていると聞いている。

 こんにち、全国どこの学校、職場も多忙化がすすみ、子どもを真ん中にした話が出にくい状況がある。出たにしても、否定的な話になることが多い。

 本来、教育という営みは、医療や福祉がそうであるように、共同的な営みである。しかし、施策側は、教育の場を市場ととらえているから、教師はバラバラになりがちであるが、一方で、多くの教師たちは、「何か、おかしい」と感じ始めている。おかしなことが伝達・指導されようが、真理は動かないものなのだ。

「星を望みて、地を歩む」

 わたしたちが、日常、何気なくしている行為は、共同づくりへと連なっていることに自信をもっていきたいと思う。

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