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今月のメッセージ
たちいかなくなったら、ヘルプを求めよう
埼玉県・小学校 佐伯 隆
六月初旬、私の一言に「てめえ、このやろう!また、俺のせいかよ!いっつも、てめえは、俺のことを馬鹿にしやがって!」と私を罵倒し、机を蹴った翔太。そして、六月中旬の修学旅行で、鶴が城での集合写真のトイレ休憩の後、駆け足で遅れて戻ってきた史也と勇貴の手に買ったばかりの木刀が握られていた(二〇〇六年十一月号「生きづらさを背負った子ども達〜救いを求める泣き叫び〜」佐伯隆)。彼らとの出会い直しは、十一月も、半ばを過ぎても出来ていない。
あれから、夏休みに入り、翔太は野球リーグの練習に、毎日汗を流し、史也もサッカーの練習に明け暮れた。勇貴は、家でゴロゴロしていたと言う。しかし、二学期当初から始まった運動会で、六年で初めてリレー選手に選ばれなかった史也は、どの練習にも熱が入らず、勇貴と一緒に、相変わらず私語が多いことに、注意を受けていた。騎馬戦では、史也と勇貴は、四人グループで、誰が上に乗るかで、いつももめていて、力を発揮出来ずに、簡単に相手の騎馬に帽子をとられ、「おまえのせいだ」「おめえだよ」と、ふてくされていた。しかし、組み体操では、日を追う毎に、ピラミッドやタワーへの成功の手応えを感じたのか、楽しそうに練習に取り組んでいるように見えた。
そして、すぐの町内陸上大会の放課後の毎日の練習。史也は昨年の800M走の当日、集合がかかった後に、「やらねえ」と言い出し、棄権したこともあり、今年は100Mに回るが、これまた練習に熱が入らない。勇貴は、ボール投げに立候補したが遊んでいる。翔太は、「運動が俺の命」と言っているだけあって、1000Mに熱が入る。しかし、三人とも、本番では、力を発揮出来ずに、不満足のままで終わる。続いて、町内音楽会への出場練習。これもまた彼らは燃えない。「おもしろくねえ」「やりたくねえ」と言う。音楽の先生に叱られながら、何とか参加する。このような中で、彼らの授業中の私語や立ち歩きが、さらに目立ってきた。私は、翔太の目が据わって「てめえ」と叫んだ言葉が、脳裏を離れず、それ以来「相手にけがを負わせそうな時や、命に関係する以外は、大声を出さない」と、彼らに宣言した。しかし、私が大声を出さないと知るや、彼らに同調する子ども達が、何人か現れてきた。他の子ども達は、複数で彼らに注意をし、さらに休み時間に、外遊びに誘ったりもした。
そして、十月下旬から、十一月上旬にかけて、事件が立て続けに起こった。史也が休み時間、ベランダでプランターの底のプラスチックの網を蹴り上げて、そばにいた子の右目上に、怪我を負わせた。勇貴が「学年総合の時間」に、先の陸上大会での相手の言葉が気にいらないと、流しで押し倒し、やはりこめかみに打撲を負わせた。翔太と史也が、授業中「キレ」て、罵倒しはじめ、つかみあいになり、隣の学年の先生の援助を仰いだ。わたしは、もはやこのままでは、「彼らと周辺の子ども達の安全と安心、そして学習権が保障できない」と判断して、多くの教師と管理職に訴え、緊急生徒部会の開催を要求し、以下の項目を提起した。@管理職による子どもの実態把握とその原因の分析。Aクラスの生活・授業実態を町教委に見てもらい、必要に応じて、しかるべき対応の検討を早急に。B教務に理科2時間を。代わりに、私が他のクラスへ2時間。C低・中の加配担当の教師を高学年の算数のTTに。D給食・掃除・係や委員会活動を全教職員あげて丁寧に指導。E保護者との信頼関係にたつ相談体制の確立。F彼らを学年・学級の子ども達の中に位置づける指導内容の追究(「居場所」づくりと自己肯定感を育てること)。同時に保護者にもヘルプを求めた。「どの子も親も孤立せずに、支えあうために」と。有志で連絡をとりあい、動き始めていただいた。「私と子ども達が、これ以上傷つきあわないために」「誰でもがたちいかなくなった時、ヘルプを求め、システムの再構築を要請出来ること」を、訴えて実現したかった。
Feb. 2007
今月の
メッセージ
Feb. 2007
今月の
メッセージ
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