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今月のメッセージ
今年の出発点に立ちかえって
指名全国委員 中 野 譲
私たちの地域では、三月に人事のたたかいを集団交渉で行なっている。今回の交渉の中心は障がいのある子が入学する学校において、それに見合う教師の配置がないこと。さらには、昨年までついていた教師がはぎとられている状況を改善させることにおかれた。
いつもだれかがついていなければ多動で何をするのかわからない状態の子。おなかを押してあげなければ自分で排便ができない子等々。
できれば自分の地域の学校に通わせたい。健常児と交流させたい。多少のリスクを負ってもそうさせたいという親の願いは痛切なものがある。そして、そういう親が増えている。
行政側もこうした親の痛切な願いを無視することができず、入学を許可する。
しかし、現場の教師が苦情を出さなければ、それに見合う条件が整備されていないというのが現状である。
子どもたちにかかわる教師を加配という形でしか配置できない現実。
すでについていた教師をも、手がかわればはぎとっていく無情な人事。
学校が子どもの命と安全を最優先しなければならないのに、つけ足しのような措置は行政側がいかに子どもたちの命を軽視しているか、障がいをもった子をいかに軽くあつかっているかの現れでもある。
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状況に見合った条件整備のできないつけは、いつも現場がとらされる。現場はそれこそ必死に体制を整え無理をする。行政側への交渉という手段よりも、そちらにベクトルは向きがちだ。正直な話、今回当初は、さまざまな問題があるにもかかわらず苦情は〇だった。
・たたかうエネルギーがわかない。・どうせだめだという無気力感。・公務員だからお上のいうことにはたてつけない。・ぐちは言うが、そこまでしなくともよい。自分の手はよごさない。
こういった雰囲気はどこにでもあった。
校長のリーダーシップ、不適格教師制、徹底した官制研修。自由な職場討論・討議が保障されず、反対意見を言うと校長室によばれ灸をすえられるという話も聞く。学校は会社組織といっしょだから、上司のいうことには忠実にという校長もあらわれた。こうした力の論理・行使が、教師を憶病にしているとも言える。
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結果として、私たちの地域では苦情を出してたたかった。苦情〇の段階で集団で討議し、〇にすることが私たちの地域の学校や子ども・保護者にとってどうなのかを問うた。そして討論の中で、状況を的確に分析し、方向性を示すリーダーの存在があった。彼の卓越した政治性からの発言は、ともすると流されそうになる私たちの心につき刺さり、集団は一致した目標を獲得した。
三日間の交渉の末、加配をかちとることになった。しかし、それ以上にこのたたかいを通しながら、参加した一人ひとりの教師がこの地域の教育を支えるぞという自覚を高めた。と同時に、一年間の実践の熱をつくり出すことにもなった。
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この熱は七月の今でも私の底流に流れている。クラスを分析し実践の展開を考える場合も、クラスの今の「常識」は何で、それはどういう質や方向性をもっているのかという視点に敏感になっている。
人はさまざまな変革の活動に参加する中で、人と出会い自分と出会っていく。少々たたかれても、それを栄養剤にするしたたかさを持ちたいものだ。その中で確実に「常識」を破り、創造する実践も形づくられるだろう。
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- 明治図書