- 特集 教師の“言語技術”が子どもの運動技能を変える
- 特集の解説
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- 実践事例
- 「話す」言語技術の活用
- 〈低学年 表現リズム遊び〉スモールステップ指導、友だちと関わりながら表現する
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- 〈中学年 走・跳の運動〉コーンの置き方で勝負する「ジグザグリレー」
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- 〈中学年 器械運動〉上達ポイント発問と協力が生まれる課題を
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- 〈高学年 体つくり運動〉端的なフォーマットで質の高い運動を実現する
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- 〈高学年 ボール運動〉ルールの工夫と励まし合い
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- 「聞く」言語技術の活用
- 〈低学年 器械・器具を使っての運動遊び〉聞く活動を受け身ではなく能動的に
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- 〈低学年 走・跳の運動〉ドン・ジャンケンで言語技術を身に付けさせる
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- 〈中学年 表現運動〉子どもたちが簡単にイメージできる言葉で、ソーランの動きを変える
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- 〈高学年 陸上運動〉「ピンポイントアドバイス」でバトンパス技能が高まる
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- 「書く」言語技術の活用
- 〈低学年 器械・器具を使っての運動遊び〉楽しいマット遊びを、型を示して記録させる
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- 〈中学年 走・跳の運動〉楽しい活動が、豊かで高度な感想を生む
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- 〈中学年 ゲーム〉書くことで技術を意識化・活用させる
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- 〈高学年 器械運動〉テクニカルポイントを意識させる「学習日記」
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- 〈高学年 ボール運動〉記録カードでチームワークを引き出す
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- 「読む」言語技術の活用
- 〈低学年 表現リズム遊び〉動物の絵を「読む」ことで、表現しよう
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- 〈低学年 ゲーム〉スケッチブックを活用しよう
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- 〈中学年 器械運動〉「写真の分析トレーニング」三つの視点
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- 〈高学年 陸上運動〉動きを読み取り、動きが変わるハードル走
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- ミニ特集 1月の体育はこう指導する(バスケットボール)
- 低学年
- (ボール投げ遊び)ボールに多くふれることから
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- 中学年
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- (バスケットボール型)4年生は体育館でバスケット
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- 高学年
- (バスケットボール)四つのパーツで指導する
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- (バスケットボール)パスを習熟し、スピード感のある試合になるための工夫をしよう
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- ライブで体感!TOSS体育講座
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- 〜二重跳び part2〜
特集の解説
TOSS体育授業研究会代表 根本正雄
教師の“言語技術”が子どもの運動技能を変える
新学習指導要領では、言語活動についての指導が強調されている。自分自身の能力を高めることが自信となり、生きる力につながっていくからである。
自分自身に対する自信を育成するために、言語活動が必要なのである。
体育でも、跳び箱を跳び越えたことが、言葉で説明できるようになることが自信につながっていく。体育の言語化である。
体育の授業でも言語活動を通して、習得、活用、探究の学習活動がなされていくことが求められている。
体験を言語化する事によって、論理的な思考、コミュニケーション能力、感性を豊かにすることできる。
田島幸三著『「言語技術」が日本のサッカーを変える』(光文社新書)の内容も同じである。そこで強調されているのは、言語技術を育てていくことである。
「論理的に考えて、話をする」ことや「全員が書く」ことを通して、言語化の作業「耳→頭→手→文章」の回路をつくり、コミュニケーション能力を高めていくことが主張されている。
これはサッカーの「JFAアカディミー福島」だけの課題ではない。体育の授業の中でも「言語技術」の指導が必要なのである。
習得、活用、探究の学習活動が効率的に行われるには、体験を言語化する作業が必要である。
本特集では体育学習の中で、どのように「言語技術」を指導していくのかが紹介されている。
中村俊輔著『察知力』(幻灯舎新書)は、新学習指導要領で強調している豊かな感性を育むことの大切さを述べている。
中村氏はサッカーがうまいだけでは、人生で成功しないと主張している。
「大事なのは常に未来を察知して、自分には何が足りなくて、何が必要なのか、危機を察知して準備すること。周囲の空気を読む、察知する力の重要性ということだ」と述べている。
察知力は体育学習でも必要な能力である。集団で学習する活動が多く、他との関わりが必要な教科だからである。
体育学習では、新学習指導要領が強調している言語活動、体験活動を通して論理的な思考、コミュニケーション能力、豊かな感性を育てることができるのである。
今後の作業としては、各学年の教材に即した具体的な指導内容、方法の検討である。
本特集では、多くの実践の中から、言語技術に視点を当てて、次の項目でまとめてある。
1 教材名
2 活用する言語技術
3 具体的な活用事例
4 効果
5 留意点
跳び箱運動がある。開脚跳びで初めて跳び越せた子どもがいたときに「書く」という言語技術を活用する。
跳び越せたときの様子を書くことにより、なぜ跳べたのか、跳べるコツは何か、どのようにすれば効率よく跳べるのかを論理的に思考することができる。
書くという作業を通して論理的な思考力を育てることができる。書かれた文章は他の子どもにも役立つ。
分かりやすい文章を書くことによって、他との関わりが生まれるのである。コミュニケーション能力が育つのである。跳べるコツを文章で伝えることができるからである。
跳び箱運動で思考・判断したことを文章に書くことによって、豊かな表現力が生まれる。豊かな表現力を身に付けることにより、他との関わりが生まれ、自信を持って体育の学習に参加していけるようになる。言語技術としては、聞く、話す、読む、書くなどがある。
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- 明治図書