教育ニュース
文科省の報道発表から研究会参加ルポまで、知っておきたい色々なジャンルの教育情報&ニュースが読めます。
ICT、活用するために&活用させるために
教育zine編集部
2011/11/25 掲載

 文部科学省は、去る11月4日、「ICTを活用した先導的な教育の実証研究に関する協議会」の開催を公表しました。

 これは、総務省の「フューチャースクール推進事業」と文部科学省の「学びのイノベーション事業」を連携して実施するにあたり、調整と円滑な実施を目的として、両事業の構成員により合同で開催されるものです。二つの事業の連携・調整はもとより、学校教育の情報化の推進について検討することが主な内容とされています。

 「フューチャースクール推進事業」と「学びのイノベーション事業」については、8月30日付けの文部科学省報道発表(総務省「フューチャースクール推進事業」及び文部科学省「学びのイノベーション事業」に係る提案公募の結果)にわかりやすくまとめられています。

総務省「フューチャースクール推進事業」
ICTを利活用した教育を実践するために構築したICT環境において、学校現場におけるICTの利活用を推進していく上での主として情報通信技術面等を中心とした課題を抽出・分析をするための実証を行う。

文部科学省「学びのイノベーション事業」
21世紀を生きる子どもたちに求められる力を育む教育を実現するために、様々な学校種、子どもたちの発達段階、教科等に応じた効果・影響の検証、モデルコンテンツの開発、デジタル教科書・教材、情報端末等を利用した指導方法等に関する総合的な実証研究を実施する。

 両事業の実証研究を行う中学校と特別支援学校は、公募によってすでに決定済みで、委託先候補一覧は以下の通りです。

 教育現場におけるデジタル化はめざましく、研究会・学会等のワークショップや分科会では必ずといっていいほどICTを用いた授業提案がなされています。一方で、ICTの利用に少なからず苦手意識を持たれる先生がまだまだいらっしゃるということも耳にします。 「平成22年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」(概要)では、「授業中にICTを活用して指導する能力」を有する教師の割合は、「教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用する能力」に比べると、10ポイント以上の開きがあります。今回の実証研究では、教育現場にICTが根付いていくために、設備の充実といったハード面だけでなく、心理的なハードルを和らげるといったソフト面もサポートするような様々な創意工夫が提案されることも期待されています。

 また、こうした取り組みも影響してか、10月31日の読売新聞の記事によると、文部科学省は小中学生がパソコンなどのICTを使いこなす力を測る「デジタル学力テスト」を2013年から実施することを決め、すでに来年度の予算として1億3700万円を計上しているとのことです。テストは抽出調査によって行われ、少なくとも6000人規模になるそうです。
 PISA2009の「デジタル読解力調査」においては、日本は19か国中4位と比較的上位ではありました。しかし一方で、ツイッターやブログなどでの不適切な発言から、発信者の実名や住所等が特定されるケースは後を絶ちません。学校で教えるべきICTリテラシーは、技能的なものに限らず、モラルを含めたものであるべきという社会の期待はいやおうなしに高まっています。
 先生自身のICT活用技能を高めるだけでなく、上記両事業では子どもたちがどのようにICTと関わっていくかということをより主体的に考えさせるための手立てを提示することも求められているのかもしれません。

コメントの受付は終了しました。