きょういくじん会議
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みんなでオムニキン! 気になる新スポーツ“キンボール”
kyoikujin
2009/1/24 掲載
500万人のキンボール―ニュースポーツの核心に触れる 公式ガイドブック

 皆さんは「キンボール」という競技を聞いたことがあるでしょうか? すでに授業で取り入れている学校もあるでしょうから、読者の皆さんの方が詳しいかもしれませんね。今回は、広まりつつある新スポーツ「キンボール」の魅力を紹介します!

 キンボールのルールや試合風景などは「日本キンボール連盟」のサイトで詳しく紹介されています。直径1m20cm、重量1kgの巨大なボールを扱う競技で、1チーム4人が協力してボールを打ったり受けたりするところに特徴があります。3チームがコートに入り、ボールをヒットするチームはレシーブするチームを指定した後、1人がボールを叩き上げます。指定されたチームはボールが地面につく前に全員で受け取りにいかなければなりません。レシーブ成功ならば攻撃権が移動、レシーブ失敗なら他の2チームに1点ずつ入ります。
 レシーブさせるチームを指定する際は、大きな声で「オムニキン!」と言った後、指定するチームのカラーを続けて言います(例「オムニキン、ブラック!」)。

※オムニキンは、「すべて」の意を表すのオムニと、キネスシス(運動感性)のキンを合わせた造語。すべての人が楽しめるスポーツという意味。

キンボールの歴史とコンセプト

 キンボールは、1986年にカナダの体育教師、マリオ・ドゥマースさんによって考案された新しい競技です。彼は若年層の無気力感や他人に無関心である様子に危機感をいだき、「生きる喜びなど感動の共有や協調性を高める」ためには専用のオリジナルスポーツが必要だと考え、この競技を考案したそうです。
 キンボールの「キン」が運動感覚を表す英語の「キネスシス」から来ているように、この競技は運動感覚を楽しむスポーツとして考えられました。そのため、運動神経を磨いたり競ったりする従来のスポーツとは違い、「励まし、助け合い、感動の創出」を目指すコンセプトスポーツとなっています。その後、世界中に広がり、現在では3000万人の競技人口を有する立派なワールドスポーツとなりました。日本には1997年に紹介され、学校などを中心に少しずつ広まりを見せています。

学校教育とキンボール

 もともと体育教師が考案しただけあって、キンボールは体育の授業に取り入れやすい工夫がいくつも施されています。
 1チームは交代要員を含め12人までで、試合中は自由に交代できます。3チームを作るので、クラス全員の参加が可能です。試合時間も20〜30分(1ピリオドは7〜10分)と手ごろ。巨大なボールをみんなで扱い、ヒット時レシーブ時には全員が触らなければならないというルールからは協調性が生まれますし、ヒットする選手は2回続けては打てない、打つときは大きな声を出すなど、主体的な参加を求めるルールもあります。また、リードアップゲームという段階的プログラムが豊富に用意されているので、低学年向けにアレンジした指導も容易にできます。
 「日本キンボール連盟」のサイトでは、中学校の「体つくり運動」「体ほぐし運動」として実践された研究発表も紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。

 気軽に楽しめ、仲間とのコミュニケーションが深まるキンボール。子どもから大人まで楽しめるスポーツとして、今後は一層注目を集めるかもしれませんね。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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