- 著者インタビュー
- 学級経営
思春期は、つらく、そしてせつないもの。すべての生徒が何らかの悩みをもち、誰にも相談することもなく、一人で抱え込んでいる。面白くもないのに「大声で笑い」「ギャグをとばす」ことでコミュニケーションをはかり、一人になると“寂しい”顔をしている。みんなで何かを取組み、感動を“共有”し、“共通”の悩みを語り合い、お互い“共感”することから、この困難な時期を乗り越えていく。そのために、子どもたちに、自立のためのちょっとした援助をする!これが、私がみなさんに伝えたいメッセージです。
障がいのある生徒、不登校の生徒、荒れた生徒など、本書では課題のある生徒がいっぱい登場します。すべて、何らかのささえや支援が必要な生徒です。一方で、勉強もでき、家庭的にも恵まれた生徒もいます。しかし、こんな生徒もいろんな課題をもっています。いろんな課題をもつ生徒が、かかわりながら、お互いが学んでいくことが、学校教育の醍醐味です。
教師が、率先して、その課題の克服するために関わっていくことで、まわりの生徒の価値観も変化していきます。学校は、一人一人が“学ぶ”教材(?)です。これが、私の、課題のある生徒にかかわる“信念”です。
人は誰もが自分のことを知ってもらいたいし、他人と共感したいと思っています。「一人のほうがいい、楽だから!」などと言う生徒がいます。それは集団の中にいると“ツライ”からです。だから、私は、教師が意図的に、“自分のことを語り”“他者を知る”機会をつくることが大切だと考えています。そのためのワークショップでありゲームなのです。
単に、楽しいだけではなく、自己開示ができ他者とつながりあえる、そんな人間関係、コミュニケ―ションを高めることができる活動を紹介しました。
「勉強できなくても、いい子だからいいじゃない」という、なんとなくわかるけど…。でも…。という言葉があります。学力は、いろんな人生の困難や、課題を乗り越えていくのに必要なものです。また、学力は自尊感情を高めます。一日、学校で、“わからない”授業をずっと受けていたら、自分が“イヤ”になり、他人を“イジメ”たくもなります。そんな生徒にしたくない!すべての生徒が活躍でき、すべての生徒が生き生きできる場をつくる。これが私の授業づくりと学級づくりの原点です。
退職してから、多くの卒業生と飲み会やランチタイムを楽しんでいます。生徒と教師じゃなく、大人と大人です。そうなると、教師は“教える人”ではなく、お互いが“学ぶ”関係になっています。必ず、当時の思い出話しがでてきます。あの“言葉”、あの“行事”、あのときの“怒り”が、この人に影響を与えたと、“教師冥利”を感じる瞬間です。
毎日、事件がおこり生徒指導でへとへとになるときもあります。学校行事も疲れます。でも、その一つ一つが生徒を育て、深い関係でつながっていく関係性を培います。“たかが教師”ですが、う〜ん!やっぱり“されど教師”です。