著者インタビュー
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プラスワン教材で説明文教材をもっと効果的に読もう!
東京女子体育大学教授田中 洋一
2014/3/31 掲載

田中 洋一たなか よういち

東京女子体育大学教授・常任理事。
昭和29年,東京・新宿に生まれる。横浜国立大学大学院修了。専門は国語教育。
東京都内公立中学校教諭を経た後,教育委員会で指導主事・指導室長を務め,平成16年より東京女子体育大学に勤務。現在は理事職も兼務する。この間,中央教育審議会国語専門委員,全国教育課程実施状況調査結果分析委員会副主査,評価規準・評価方法の改善に関する調査研究協力者会議主査などを歴任する。平成20年告示学習指導要領中学校国語作成協力者,光村図書小・中学校教科書編集委員,21世紀国語教育研究会会長。

―ズバリ、プラスワン教材ってなんでしょうか?

 文章を読む授業をする際、比較読みや合わせ読みのために使う、もう一つの教材(文章)のことです。説明文教材で思考力や活用力を育成するためには、筆者の言っていることを理解するだけでなく、文章の内容を吟味したり評価したりすることが大切です。しかし、日本の子供たちは、「教科書はどこかの偉い人が書いているから正しいことが書いてある」と思い込んでいるので、教科書教材に書いてあることを鵜呑みにする傾向があります。プラスワン教材は、教科書の教材と同じテーマで視点が異なる文章や、同じ内容で構成の違う文章です。二つの教材を読むことで児童に考えさせる授業を実現するのです。

 

―授業でプラスワン教材を用いるうえで、気を付けることがあれば教えてください。

 プラスワン教材は主教材を読み深めるために使うのであり、説明文を読む授業を単純に二回繰り返すわけではありません。児童の負担を増やさないために、プラスワン教材は平易で短い文章がよいでしょう。また、内容も主教材と対立させたい事柄を明確にすることが大切です。このような条件の文章を市販されているものから探すのは大変なので、先生が自作することをお薦めします。なお、プラスワン教材を使った授業は中学年以上がふさわしいと思います。

―プラスワン教材を用いた場合の評価は、どのようにすればよいですか。

 プラスワン教材を使った授業の長所は、児童に考えさせることができることです。
 主教材に何が書いてあるかを読み取る力は「知識・理解」の観点で見ればよく、二つの教材を読み比べて自分の考えをもつ力は、「思考・判断・表現」の観点で見ることになります。この場合は、「自分なりの考えがもてたか」「与えられた条件を適切に活用して考えることができたか」「考えたことを表現できるほど整理できているか」などが観点になります。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 国語科は、すべての教科領域の学習の基礎になる教科です。それなのに国語の授業で育てる力について十分吟味されてきたとはいえません。従来の説明文の読みの授業は、文章に書かれた内容を理解することが中心であり、子供たちの考える力を育てるには課題がありました。
 プラスワン教材を使った授業で展開される比較読み、合わせ読みは思考力等を高めるとともに、児童の主体的な学習態度を育てることに有効です。ぜひ読者の先生方も教材を工夫して活気のある授業を創造してください。

(構成:林)

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