- はじめに
- 第1章 知っておきたい!保護者対応の心構え
- 1 特殊教育から特別支援教育に変わって
- 2 保護者対応は教師の大切な仕事の1つ
- 3 「困った保護者」ではなく,「困っている保護者」
- 4 親は初めから親になっていたわけではない
- 5 家庭の背景を考えて,相談を進めることも
- 6 母親との相談が難しい時には,父親と相談を
- 7 外国籍等の場合,文化や考え方の違いに留意する
- 8 「私だってほめられたい」と保護者は思う時がある
- 9 専門家等の関係諸機関との連携をもとう
- 10 子どもの成長を保護者と共に喜ぼう
- 第2章 ここが重要!保護者対応への鉄則10
- 鉄則1 連絡帳より電話,電話より会って伝えよう
- 鉄則2 同じ言うなら,まずよいことから伝えて本題に入ろう
- 鉄則3 難しいケースはチームで対応しよう
- 鉄則4 面談や相談で,他の家庭や子どものことを話題にしない
- 鉄則5 管理職への報告チャンスを逃さない
- 鉄則6 何より保護者の立場になって考えよう
- 鉄則7 あきらめず,こつこつと続けよう
- 鉄則8 面談のコツを知ろう
- 鉄則9 子どもを原点にすえよう
- 鉄則10 今とりあえずの解決よりも将来を見すえたアドバイスをしよう
- 第3章 ケースで学ぶ!困っている子の親との連携ポイント
- 子どもを育むために連携をすすめる 支援の必要性を伝える
- ケース1 教育相談や通級による指導をすすめてもなかなか気がすすまない親
- ケース2 習い事はよくでき,学校での離席や教室飛び出しが信じられない親
- ケース3 できないのは学校のせい!ととりあってくれない親
- ケース4 「先生の教え方と子どもの努力が足りない!」と考える親
- ケース5 課題があるものの,子どもの困りを感じていない親
- 子どもを育むために連携をすすめる 子どもの成長を願って支援方法を提案する
- ケース6 「できません」「無理です」と支援アドバイスを断る親
- ケース7 「もっと頑張れ!」と子どもに負担をかけてしまっている親
- ケース8 子どものマイナス面ばかりに目がいっている親
- ケース9 朝食の用意ができない…ネグレクトの疑いのある親
- ケース10 通級を始めたことで安心し,学校任せの親
- ケース11 少しうまくいかないと,障害のせい,とあきらめる親
- ケース12 「できないのは障害特性のため」と支援や対応に協力的でない親
- 子どもを育むために連携をすすめる 保護者からの支援要望に応える
- ケース13 友だちの配慮から学習支援,忘れ物対策まで!個別配慮を求める親
- ケース14 学校で失敗しないよう先回りの手立てを多く求める親
- 保護者の心配・悩み・不安を受け止める 学校生活への不安に寄り添う
- ケース15 やりにくさのある子…さまざまに心配を募らせる親
- ケース16 発達障害の診断のある子…さまざまに心配を募らせる親
- ケース17 連絡帳に一喜一憂してすぐに電話をかけてくる親
- ケース18 学校での様子を聞きたくて長い電話をかけてくる親
- 保護者の心配・悩み・不安を受け止める 子どもについての悩みに寄り添う
- ケース19 弟と比較して「障害では?」と心配をつのらせる親
- ケース20 子どもの遅れを理解するも,育て方に悩む親
- ケース21 障害特性に配慮しすぎて,家庭内のしつけに悩む親
- ケース22 「家庭で子どもに何をさせたらよいか?」と悩む教育熱心な親
- ケース23 特別支援学校?特別支援学級? 学ぶ環境を悩む親
- ケース24 進学・就労と子どもの将来について悩む親
- 保護者の心配・悩み・不安を受け止める 家庭での悩みに寄り添う
- ケース25 体調不良から登校しぶりへ…登校をどう促してよいか悩む親
- ケース26 家庭での荒れ−生活習慣が身につかないと心配する親
- ケース27 家庭での荒れ―生活リズムの乱れやかんしゃくに悩む親
- ケース28 ゲームに熱中して生活リズムが崩れ,情緒不安になった子に悩む親
- ケース29 家庭内暴力に困り果てる親
- ちょっと一言!保護者へのワンポイントアドバイス
- 1 兄弟姉妹は寂しがっていませんか
- 2 お兄さん,お姉さんとして育てていますか
- 3 子どもに自分で決めさせていますか
- 4 豊かであたたかい食卓になっていますか
- ※本書内で紹介しているケース・事例は個人が特定されないよう,事実をゆがめない形で一部内容を変更してあります。
はじめに
長年の教師生活の中で,様々な保護者の方と接する機会がありました。わが子にこうしてほしい,ああしてほしいと強く要望する保護者や,わが子のいいなりになってしまい困っている保護者,あるいはわが子にとても厳しい対応をしてしまう保護者……と家庭によってそのあり方は様々でした。
それぞれの対応を求められる学校は,その都度どう応えればよいかと頭を悩ませることになります。すべての要望に応えていくわけにはいきません。学校が強く助言をすると,保護者との関係は悪くなります。そして,教師は保護者への対応は難しいと考えてしまいます。
しかし,すぐに大変と思わず,少し考え方を変えてみましょう。わが子によくなってもらいたいという思いはどの保護者の方も同じようにあります。ただ,その望む子ども像が違うのかもしれません。
学校も,子どもたちによりよく成長してほしいと願う点では,同じ思いであるはずです。
同じ思いの家庭と学校が連携して子育てと教育を進めていくことができれば,子どもたちの成長はもっと大きなものになるでしょう。
学校側が,保護者の方々の悩みやつらさを受け止め,寄り添った支援をすることができれば,一番よい影響を受けるのは子どもたちではないでしょうか。
本書では,「ちょっと気になる子」をもつ保護者,困っている保護者の応援団として何ができるかを,先生方にケース(事例)を通してアドバイスしていきます。
困った保護者やクレーマーの保護者ではなく,「困っているのは保護者」という考えから始めると,様々な解決策が生まれてきます。
/吉本 裕子
保護者には様々な考えがあり、より良い対応を簡潔にまとめているように思いました。