- 特集 特別支援の子が激変!共感的な体育指導
- 特集の解説
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- 実践事例
- 低学年
- 〈体ほぐし・風船〉友だちと達成感を味わう風船遊び
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- 〈走・跳の運動遊び〉トンネル作戦大成功(その子にあったテーマを選ぼう)
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- 〈鬼遊び〉変化のある繰り返しで島渡り鬼ごっこ
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- 〈表現リズム遊び〉自分自身の体験と結びつけて行う表現遊び
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- 〈ボールけり遊び〉日々のTOSSの実践が、特別支援児の指導を容易にする
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- 〈ボール投げ遊び〉投げる・捕る運動を確実にマスターさせる変化のある繰り返し
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- 〈開脚跳び〉遊びが主で運動が少しでよい
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- 中学年
- 〈前回り・後回り〉発達障害の子どもとの授業、失敗しないための三つの大事なこと
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- 〈逆上がり〉逆上がり指導はフォーム作りから!
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- 〈フープとびなわ〉3週間でなわとびが跳べたM君
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- 〈ドッジボール〉ボールが苦手な子も安心!かんたんドッジビー
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- 〈ポートボール〉人やボールとぶつかる痛みや恐怖をやわらげ、不器用さからくる体育への不安をドリブルという一つのことをできるようにさせ、皆とゲームを楽しませる
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- 高学年
- 〈短距離・リレー〉毎時間の安定した流れと成功体験が大切
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- 〈走り幅跳び〉向山実践を応用する
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- 〈なわ跳び〉みんな笑顔!「シンクロなわ跳び」
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- 〈サッカー〉「情報を整理」した展開が意欲と動きを生み出す
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- 〈バスケットボール〉ルールによって特別支援の子を活躍させる
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- 〈ティーボール〉みんなで楽しく、ティーボール
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- ミニ特集 11月 新指導要領で体育授業はこう変わる(幅跳び・走り幅跳び)
- 1年生/「片足踏み切り→両足着地」はグリコジャンケンで
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- 2年生/とびっこワンダーランドで遊ぼう!
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- 3年生/短い助走は、細かいステップを踏んで楽しく身に付ける
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- 4年生/幅跳びはこう授業する
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- 5年生/踏み切り指導を中心とした単元を組む
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- 6年生/個人差を吸収する「教材」と「授業システム」を設ける
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- ライブで体感!TOSS体育講座
- TOSS体育の学ぶ黄金の2日間 向山型体育を体感する
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- 〜第21回向山型体育入門講座 東京会場〜
- レベルアップ これだけは押さえたい体育授業の基礎・基本
- 特別支援の子に必要な体育授業のポイント
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- マンガで見る楽しい体育指導 (第116回)
- 根本体育直伝マンガ(台上前転の場づくりの巻)
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- ルール簡単おすすめゲーム・鬼ごっこ
- バトン鬼ごっこがリレーを盛り上げる
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- 年間を通して鍛えたい基礎感覚・基礎技能
- 変化のあるくり返しで鬼ごっこを行い、楽しみながら基礎感覚を鍛える
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- 拍手喝采これでYOSAKOIソーランが成功
- 日本の身体文化を向山型で世界に発信する
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- 運動量を保障する体育授業のシステム
- 「一連の流れ」と「煽り」
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- あの授業映像から「指導技術」を学ぶ
- できない子をできるようにする体育の指導G楽しい授業は、最初の巻き込み感を工夫している
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- 最新情報を盛り込んだ食の授業 (第29回)
- 骨と運動
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- ここが聞きたい!体育授業のQ&A
- 1年生の指導 運動のできない子は、どのように指導すればいいでしょうか?
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- TOSS体育最前線
- TOSS体育全国セミナー―「表現」の習得術に学ぶ
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- 効果抜群!ファックスできる体育学習カード
- 幅跳び遊び
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- 〜走り幅跳びの基礎感覚づくりを行う〜
- 走り幅跳び
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- 〜練習ポイントが分かる学習カードで!〜
- 特別支援の子どもも活躍!楽しい体育授業
- 「集団走」で自己中心を改善
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- ライフスキルと健康教育 (第92回)
- 共感する脳細胞ミラーニューロン
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- 授業の腕を高める論文審査 (第211回)
- 指導時間を半分に削れ
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- 体育科における学力保障 (第80回)
- コミュニケーション能力を育てるサッカーの指導@ 1年・池上正氏の授業
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- 1/30秒単位で見せる子どものよい動きはこれだ! (第32回)
- 鉄棒シリーズ@
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- 〜逆上がり〜
特集の解説
特別支援の子が激変!
共感的な体育指導
TOSS体育授業研究会代表
根本正雄
特別支援指導を必要とするK君と出会ったことがあります。東京大学の森俊夫氏の指導を学び、実践しました。
森氏はADHDの25%はてんかん症、行動障害、感覚過敏・不器用であると述べられました。
対人的相互反応における質的な障害に対応する指導として、次のポイントを主張されました。
@ 非言語的コミュニケーションを発達させる。
A 人と一緒にいて何かをすることを「楽しい」と感じられるようになること。
B 周囲の人たちの様子を観察・察知するようになること。
C 周囲の人々の様子を参照して、それに合わせられるようになること。
D 変化を楽しめるようにすること。
K君の最大の課題は運動が苦手で、友だちと一緒に体育授業ができないことでした。友だちとのコミュニケーションが図れれば、体育学習も楽しくできていくと思われました。
特別支援指導教員が、K君と休み時間、生活科室で遊ぶようになりました。
そのきっかけは、6月の初め、1時間目に多動・衝動が過ぎたので落ち着かせるために、生活科室でお手玉やなわとび遊びをさせたことです。
その後も、1、2度生活科室で落ち着かせてから教室に戻ることがありました。K君はそのときのなわとびが楽しかったようで、「休み時間に生活科室で遊ぼう」と言うようになりました。
生活科室で遊んでいると、3人の友だちも仲間に入ってきました。K君は快く迎えて、一緒になわとびをしたり、お手玉をしたり、遊びのやり方をみんなに教えてあげたりしたそうです。
日に日に人数が増えて、狭い生活科室は子どもたちでいっぱいになり、今までK君がかかわれなかった子どもとも遊べるようになりました。
そして、新しい遊びを見つけることもできるようになったのです。遊びは、次のような内容です。
・なわとび・タクシーごっこ・かるた取り・お手玉拾い・お手玉投げ・羽子板・陣取りジャンケン
またK君は、これらの遊びの中で今までできなかった運動を克服していきました。
・なわとびを1人で8回跳べたこと。
・掛け声に合わせてジャンケンができるようになったこと。
・ジャンケンで負けたら諦めて譲ること。
・遊びの中では他の子と手や体がふれても気にならなくなったこと。
・みんなで遊びのルールを決めて、それに従うこと。
・「〜ちゃん(君)、…してよ!」と呼びかけてから、自分の思いを言葉で伝えること。
ルールの守れなかったK君が、遊びを通してルールを守り、運動能力を高めていったのです。
森俊夫氏の体験的共感的共有指導を行うことによって、K君は大きな変容をすることができたのです。特に非言語的コミュニケーション活動によって、大きな変容をすることができました。
本書では以上のような特別支援児童の体育指導の実践例を、次の項目で具体的に紹介して下さるようにお願いいたします。
@ 教材名
A 効果のあった体育指導方法
B 授業の組み立て
C 指導の実際
D 指導の結果
E 効果のあった体育指導のポイント
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- 明治図書