- まえがき
- 1章 3年の学級担任・説明責任を果たす仕事への心構えと重点
- 1 説明責任が問われる背景
- 2 どう説明責任を果たすか
- 3 仕事への心構えと重点
- 2章 3年の学級担任の仕事・取組みのマニュアル365日
- 一 信頼関係を築く一学期の取組みマニュアル
- 1 学級経営・信頼と安心を与える経営方針の説明
- 2 学級組織・意欲と安心を与える組織づくりの説明
- 3 教育課程・学習の見通しを立てられる説明
- 4 家庭訪問・信頼の絆を結ぶ実施方法
- 5 学級通信・生徒や保護者との絆を強める工夫
- 6 修学旅行・生徒や保護者の期待感を高める説明
- 7 保護者会・満足感を与える内容と方法
- 8 通知表・納得と向上意欲を与える作成の工夫
- 二 信頼関係を深めるニ学期の取組みマニュアル
- 1 不登校問題・深い理解に基づいた対応の工夫
- 2 非行、問題行動・保護者の協力を得られる指導方法
- 3 進路指導・分かりやすい進路決定システムや手順の説明
- 4 学級通信・学校生活を生き生きと表現する工夫
- 5 授業参観・保護者が理解できる授業の工夫
- 6 進路指導・生徒や保護者との信頼感を深める進路相談
- 7 保護者会・成果と課題を正確に把握させる方法
- 8 調査書・生徒や保護者が納得できる作成の工夫
- 三 信頼関係を確立する三学期の取組みマニュアル
- 1 進路指導・進路事務の不手際や不備を防ぐ説明
- 2 進路指導・受験期の不安を取り除く指導と説明
- 3 卒業指導・心に残る別れを演出する工夫
- 4 定期テスト・生徒の期待と不安を考慮した実施と振り返りの工夫
まえがき
学校を取り巻く社会環境が大きく変わった。これまでは保護者も地域の人々も子どもの教育に関しては、学校の先生にお任せする、金は出すが口は出さない、協力を惜しまないといった関係が成立していた。そこには相互の信頼関係が存在し、教師もまたそれに応えるべく努力していた構図があった。
しかし、最近は人間関係の希薄化が進行し、相互信頼が構築できにくい状況が出現している。学級担任と子ども、あるいは保護者との関係も従前通りにはいかなくなってきている。
意思の疎通を図るにも「阿吽(あうん)の呼吸」では上手くいかず、具体的な事実を示したり、言葉で相手によく説明して理解を求めたりすることなどが必要になってきている。
よく言われる説明責任(accountability)が求められているのである。
本書は、このような現実を踏まえ、小学校と異なり子どもとの接触時間の少ない中学校学級担任が、どのようにしたら生徒や保護者との間の信頼関係を築いていけるかの問題意識の下に、その具体的方策を示したものである。正に仕事ガイドブック的発想で作成したものと言える。
教科担任制、英語科の出現、別の小学校出身者との出会いなどからスタートする中学校ならではの特色を生かしながら、どのようにしたら自らの学級経営方針を具体化でき、保護者の信頼に応えうるかの観点から構成した。
学級の経営方針の効果的説明、学級通信の活用方法、信頼の絆を結ぶ家庭訪問の在り方、満足感をあたえる保護者会の持ち方、三年の進路指導における調査書作成のポイントなど、正に毎日直面する課題への具体的、実践的かつ効果的な対応の仕方が示されている。
ベテラン教師にも張り切っている若い教師にも、本書の具体的な指導事例は、日々のご自身の学級経営の実践に生かしやすいものばかりになったものと確信している。
本書を参考にされた先生方の教育実践は、今日学校に求められている説明責任を十分に果たし、さらには結果責任にも応えられるだけの成果をあげていただくことにつながるものと信じている。
本書が中学校の学級担任教師と生徒や保護者との信頼関係を確たるものにするための一助ともなれば望外の幸せである。
平成一六年三月一日
日本特別活動学会会長・東京農業大学教授 編者 /渡部 邦雄
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- 明治図書