理数脳をつくる授業 理科&算数1
“紙コップ”であなたの教室も熱中度UP

理数脳をつくる授業 理科&算数1“紙コップ”であなたの教室も熱中度UP

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紙コップで手軽にできる、愉しい授業を全国各地から紹介

「理数」と一括りにされがちな理科と算数。類似点と相違点を意識することで新たな授業づくりの発想を得ようという注目の新企画です。創刊号の特集は紙コップを使った授業。理科と算数各々アイデアを駆使した実践を紹介し、紙コップの教材としての可能性をさぐります。


復刊時予価: 1,870円(税込)

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ISBN:
978-4-18-984136-4
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 64頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

グラビア
面白問題に挑戦!
この本の読み方
提起文 紙コップは,簡単に手に入る汎用性大の素材 /夏坂 哲志
理科
第1特集 “紙コップ”であなたの教室も熱中度UP
紙コップで「量る」 ―理科実践@―
すぐれもの教材「紙コップ」―3年「物と重さ」―
福島大学附属小学校 /鳴川 哲也
紙コップで「いろいろ実験」 ―理科実践A―
「軽い! 加工しやすい! 安い!」―紙コップの特徴を生かした実験10種―
群馬県・荒牧小学校 /増田 和明
―3年「物と重さ」「光の性質」「磁石の性質」/ 4年「水と温度」/ 5年「物の溶け方」「動物の誕生」/ 6年「燃焼の仕組み」「てこの規則性」「大地のつくりと変化」―
紙コップを使った小ネタ
@紙コップに「入れる」
プラスチックコップで気楽に実験・観察!
福島県・久之浜第二小学校 /込山 宏
A紙コップで「走らせる」
紙コップは,発想を広げる小道具
福島県・中央台北小学校 /新家 久永
B紙コップで「エネルギー体験」
紙コップで体感! 実感! 風のエネルギー ゴムのエネルギー
上越教育大学学校教育実践研究センター /渡辺 径子
C紙コップで「育てる」
プラスチックコップ簡単活用例―メダカの卵や稚魚飼育用フロート容器―
群馬県・休泊小学校 /栗原 淳一
第2特集 理数というけれど…理科と算数 何が同じなの?
理科と算数 ここが同じ,ここが違う―@
関数的な考え方を導入した6年「てこの規則性」の実践事例
埼玉県新座市教育委員会指導課副課長 /塚田 昭一
算数的理科授業の勧め@
算数でも,理科でも,能動的な学習を〜算数で習った4マスの関係図を理科で「進化」させる〜
青森県・天間西小学校 /熊谷 純
算数的理科授業の勧めA
算数&理科で追究する子どもたち〜驚きがあるから,追究が生まれる〜
神戸大学附属住吉小学校 /木下 幸夫
理科好きを育てる教材紹介
生活科「秋になると」
ドングリでやじろべえ
筑波大学附属小学校 /鷲見 辰美
3年 「磁石の性質」
離れて動く磁石の力を実感する
筑波大学附属小学校 /白岩 等
4年 「人の体のつくりと運動」
簡単な手作り教材で筋肉の動きを実感しよう
石川県・中条小学校 /奥村 豊美
5年 「メダカの成長」
メダカの発生観察を通して生命を実感する
千葉県・いには野小学校 /岩崎 正彦
6年 「月と太陽」
本物の見え方に近い「月の形の見え方モデル」―すっきりわかって理科好きに―
福島県・月輪小学校 /浅野 孝平
理数大好きセミナー報告
ようこそ理数大好きセミナーへ
筑波大学附属小学校 /佐々木 昭弘
リレー連載T 授業で育つ科学する言葉―理科―
「説明活動」で科学用語を翻訳する /森田 和良
編集長連載 理数コラボ研究へのアプローチ
―理数コラボ研究で何が見えるか?― /佐々木 昭弘
提言 「実験」と「理論」の両輪がなければ,理数の車は走らない /竹内 薫
算数
第1特集 “紙コップ”であなたの教室も熱中度UP
紙コップで「隠す」 ―算数実践@―
紙コップで「隠す」ことにより,子どもの「?」を引き出す―6年「場合の数」―
福島大学附属小学校 /小松 信哉
紙コップに「のれる?」 ―算数実践A―
先生を乗せられる紙コップの個数は…―思考のジャンプを促す算数的活動(実験)―
福岡県・市場小学校 /千々岩 芳朗
紙コップを使った小ネタ
@紙コップを「つくる」 紙コップの展開図?
福島県・信夫第一小学校 /加藤 彰子
A紙コップで「比べる」 どのコップがお得かな? ―6年「割合」―
成蹊小学校 /尾崎 伸宏
B紙コップ手品に「驚く」 紙コップを思考の「フレーム」として利用する―手品のススメ―
熊本県・春竹小学校 /藤本 邦昭
C紙コップを「重ねる」「切る」 「重ねて」,「切って」ちょっとした工夫で算数的活動!
静岡県・函南小学校 /大桑 政記
第2特集 理数というけれど…理科と算数 何が同じなの?
理科と算数 ここが同じ,ここが違う―A
理科も算数も実験で盛り上がる! でも,その前後に違いが…。
新潟県・浜浦小学校 /尾ア 正彦
理科的算数授業の勧め@ 私たちはどのくらいのスピードで動いているの?
福島県・尾野本小学校 /冠木 誠
理科的算数授業の勧めA 「物質の密度」を扱った授業
広島大学附属小学校 /中田 晋介
算数好きを育てる教材紹介
1年 「ひきざん」
答えが同じになったら“あたり”!―データを整理整頓し,一般化を図る―
福島大学附属小学校 /羽染 聡
2年 「長方形」
七色に回る紙風車をつくろう―子どもたちの生活経験を引き出す実験算数―
福岡県・市場小学校 /高瀬 大輔
3年 「小数」
手作り教材「液量キット」の操作で楽しく小数理解
青森県・上市川小学校 /平葭 智子
4年 「変わり方」
紙コップで作って実験しよう! 紙コップブーメランのひみつー数量関係(変わり方)―
秋田県・追分小学校 /椎名 美穂子
5年 「体積」
子どもたちが考えた比べ方を大切にした体積の導入
愛知県・宝南小学校 /三田 美乃里
6年 「表の活用」
表に表して考える 子ども自らが見通しを持って,試行を繰り返しながら
高知大学教育学部附属小学校 /藤田 究
リレー連載T 授業で育つ科学する言葉―算数―
次なる実験データを期待と仮説を持って集めていく子どもの思考を追う /田中 博史
編集長連載 算数授業における「実験」の効果的活用
―必要な数値を,子ども自らが求める場をつくる― /夏坂 哲志
提言 種を蒔く前に土壌を耕せ /秋山 仁
編集委員一言コメント
「理数脳をつくる授業」にかける思い /編集委員
編集後記 /佐々木 昭弘・夏坂 哲志
紙コップ探検隊 /冠木 誠

提起文紙コップは,簡単に手に入る汎用性大の素材

   /夏坂 哲志


◆ホットコーヒーを飲みながら

 新幹線に乗った。車内販売で,ホットコーヒーを求めた。紙コップを受け取ると,表面がポコポコしていた。一瞬,「どうしてこんな加工がしてあるのだろう?」と思ったが,すぐに,手に持ったときの熱さを和らげるためのものだと気づいた。

(写真省略)


 もう何年も前のことだが,優れた工夫に感心したことが印象に残っている。

 さらによく見ると,このポコポコは,紙コップの上に凹凸のある紙を巻きつけて貼ってあるものだと気づいた。

 そこで,コーヒーを飲み干すと,その場でこのポコポコの紙をはがしてみることにした。

 「これは,算数の教材になるかもしれない」という期待を持ちながら。

 紙コップの形は,円錐台。円錐を底面に平行な面で切った形をしている。円錐の学習の発展問題として,その側面部分の形を子ども達に考えさせる授業が頭に浮かんだ。


(写真省略)

 開いてみると,上のようになった。このような形になることは知っているのだが,実際に確かめられると,なんだか嬉しくなった。

 そして,早速,次の日,学校に持って行き,子ども達に見せたのであった。

 実は,この形は,紙コップを転がした跡の形の一部である。

 紙コップは,転がすと円を描いて戻ってくるわけだが,「転がしたときにできる円の直径はどれぐらいだろう?」といった問題にも使えそうだ。


◆牛乳を飲みながら

 この紙コップは,口の部分がやや大きめだ。一体,どのぐらいの容量だろうかと思って調べてみると,250mВの水が入った。牛乳瓶1本分(200mВ)より少し大きい。でも,見た目には牛乳瓶の方が大きく見える。

 そこで,低学年の教室にこの紙コップと牛乳瓶を持って行き,「どちらがたくさん水が入るかなあ」とたずねてみた。

(写真省略)


 意見は分かれたが,「牛乳瓶」という子が多い。「同じ」という子もいる。

 そこで,調べてみることに…。

 牛乳瓶いっぱいに入れた水を,紙コップに移してみると,水面から上の縁までまだ1cm程ある。それをまた牛乳瓶に移すと,上の線までいっぱいになる。

 大人でも,騙されたような,不思議な気持ちになる。


◆紙コップで熱中度UP!

 紙コップは,割と簡単に手に入る素材である。コンビニなど,身近な店に置いてあり,値段もそう高くはないし,数も揃いやすい。ちょっと大きな店に行くと,種類も様々なものがある。

 さらに,水にも強く,加工がしやすい。プラスチックのコップであれば,透明(半透明)なものもあるので中も見える。

 その使い方もいろいろで,これまでも,紙コップは授業の中で利用されてきた。

(写真省略)


 例えば,算数では,先に示した例の他にも,


 ○ 「重さ」の学習で,天秤の両側に吊るす入れ物として

 ○ 「大きな数」の学習で,数えさせるための種やキューブなどの入れ物として

 ○ 「かたち」の学習で,ロボットの頭にしたり,なぞって円をかいたりするものとして


というようなことがすぐに思い浮かぶ。

 理科や生活科では,どうだろう。


 ○ 糸電話の材料として

 ○ 生き物を入れて観察する(水を入れて小魚を。穴を開けて昆虫を)

 ○ 実験に使う粉末などの入れ物として


というように,算数とは違った使いみちがありそうだ。

 小さな固体から液体まで様々な物を入れるというだけではなく,伏せて物を隠す,重ねる,転がす,切る,穴を開ける,糊で貼る,つぶす,などなど,使う人のアイディアで,その活用方法は無限に広がっていきそうだ。

 そして,これを使うことによって,新たな発想による理科や算数の授業づくりが期待できる。

 本号では,紙コップで手軽に準備ができて,しかも,先生も子どももワクワクドキドキ熱中する,そんな愉しい理科の授業,算数の授業を,全国各地の先生方から紹介していただくことにした。

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      明治図書
    • 教科のエキスパートたちが教科の枠を超えて基幹となる学力を考えていく。そんな基幹学力研究会に期待を寄せています。これまでの国語と算数とは別の組み合わせである理科と算数のコラボ研究。国語と算数よりは教科としては似ているので、新しい展開が期待されます。記事としておもしろく読めたのは、提言の秋山仁さん、編集長の連載、紙コップの上の部分を切って円周を見せる、長方形で風車、紙コップに何個お米や豆が入るかなどです。理数好きな先生はもちろん、理数はちょっと苦手という先生にも読んでもらいたい雑誌です。
      2009/12/20基幹学力研究会に期待

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