食育−学校でつくる食生活の基礎・基本4
食材づくりと食育の話材

食育−学校でつくる食生活の基礎・基本4食材づくりと食育の話材

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環境教育に繋がる食材づくりを通した食育の進め方を解説。

本書では、学校において実践されている野菜づくりを「食材」づくりと名付けて、学校での食材づくりについての考え方や進め方を整理、実践的に検討するとともに、食生活の指導、食の安全・安心と環境教育との関連、エコライフについても実際を解説した。


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ISBN:
978-4-18-962418-9
ジャンル:
総合的な学習
刊行:
2刷
対象:
小・中
仕様:
B5判 152頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
T 学校でする食材づくりのアイデア
1 学校で行われている野菜づくり
2 食材づくりがなぜ食育になるのか
3 食材づくりから活動を広げるポイント
U 食育と環境教育
1 学校園でする環境教育のアイデア
(1) 環境教育に果たす学校園の役割
(2) 環境教育の場として学校園を活用するポイント
(3) 学校園の活用アイデア
2 食生活の指導と環境教育はどうかかわるか
(1) 飽食の時代と食への意識
(2) 外食を教材に環境への気付きを深める
(3) 学校園をグレードアップ
3 食の安全・安心と環境教育の進め方
(1) 鳥インフルエンザから給食を守ろう
(2) 命の大切さを知ろう
(3) 生き物の生活を知ろう
4 エコライフの考え方と実践
(1) エコライフの考え方
(2) エコライフに結び付く「食育」を
(3) ライフサイクル・アセスメントをふまえたエコライフ
(4) エコライフと学校園ガーデニング
(5) 環境教育としての「食育」を
5 食育と環境問題―「食育とごみ袋」の実践を通して―
(1) 倉敷市立玉島中学校の食育の現状
(2) 環境サイクル図で考える循環型社会
(3) コーン袋と環境サイクル図の授業
(4) コーン袋から考える食育
(5) コーン袋実験の例1
(6) コーン袋実験の例2
V 食材づくりと食育の実践
1 「米づくり」体験と食育
2 「米」のバケツ栽培と食育
3 「サツマイモ」の栽培と食育
4 「オクラ」の栽培と食育
5 「もやし」の栽培と食育
6 「だいこん」の栽培と食育
7 「マス」の飼育と食育
8 「納豆づくり」と食育
9 「みそづくり」体験と食育
W 食育の話材
1 「子どもの健康」と食育
2 「子どもの成長」と食育
3 「栄養」と食育
4 「生活習慣病」と食育
5 「肥満」と食育
6 「排泄」と食育
7 「脳の働き」と食育
8 「朝食」と食育
9 「カルシウム不足」と食育
10 「牛乳の話」と食育
11 「砂糖の話」と食育
12 「おやつ」と食育
13 「ストレス」と食育
14 「噛むこと」と食育
15 「学校給食」と食育
16 「給食の今・昔」と食育
17 「食の安全性」と食育
18 「食のマナー」と食育
19 「あいさつ」と食育
20 「食文化」と食育
21 「食習慣」と食育
22 「地産地消」と食育
23 「郷土料理」と食育
24 「伝統的料理」と食育
25 「情報」と食育
26 「福祉・環境」と食育
27 「地域理解」と食育
28 「和文化」と食育
29 「防災」と食育
30 「いのちの教育」と食育
X 資料:ガーデニング・環境教育に関するホームページ案内
1 関連するウェブサイト
2 入門編
3 「コンポスト」
4 「ビオトープ」
5 「建物」
6 「都会」
7 「行政」
8 「NPO」
9 「データベース」

まえがき

 食べるという営みは,人間にかぎらず,いかなる生き物にとっても不可欠な行為である。生きていくための最低限の要件であり,このことが正常でないと,人としての健全な成長や発達は保証されない。また食べることは,もっとも安全で安心できるものでなければならない。このことはだれもがいだいている共通の願いである。人間の基本的な生活には,学ぶ,遊ぶ,楽しむ,仕事をする,寝るなどさまざまな行動があるが,「食べる」ことはいずれにおいても基盤となっている。食べることは体づくり,健康づくりの基本である。すなわち,食べる力は,生きる力を構成する重要な基本的な要素である。「食べることは生きること」である。

 すべての人間にとって共通である食べる行為は,人によって,家庭によって,地域によって,国によって,さらには民族によって,それぞれに違いがある。食材や食べる物,食べる方法,調理の仕方一つをとっても,けっして一様ではない。地域性と深くかかわっている。所変われば品変わるである。これらの違いがいま「よさ」として見なおされようとしている。また,食べるという行為には歴史性がある。時の変化とともに,変わってきた部分と頑固に守ってきた部分がある。とりわけ伝統という重みがある。それは食が一つの文化として確立されてきたからである。すなわち「食べることは文化」である。

 ところが,いま「食」にかかわって,人間の生活や健康をはじめ,文化や歴史,産業などさまざまな分野においてゆがみやひずみが生じてきている。食に対する安全や安心の問題が社会問題になったり,子どもにまで生活習慣病が話題になったりするきわめて深刻な時代を迎えている。そのため,これまでは取り立てて課題にならなかった「食に対する指導(食育)」が学校教育の新たな課題としてクローズアップされてきた。食育は子どもを含め,現代社会を生きるすべての人間に課せられている重要課題である。

 今後,各学校・地域においては,平成17年に食育基本法が施行され,その後食育推進基本計画が策定されたことにより,各分野での食育の実践が一層加速されるものと思われる。平成18年度は「食育元年」と命名される重要な年になる。


 本シリーズ『食育―学校でつくる食生活の基礎・基本』は,こうした社会状況を踏まえて,特に学校教育における食育の考え方や実践の方法等について提案することをねらいに企画されたものである。本シリーズは,次の4巻から構成されている。

 第1巻 『学校でつくる食育のカリキュラム』

 第2巻 『今必要な食育プログラムと教材開発』

 第3巻 『学校給食を活性化する食育実践』

 第4巻 『食材づくりと食育の話材』


 本書『食材づくりと食育の話材』(第4巻)では,学校において実践されている野菜づくりを「食材づくり」と名付けて,学校での食材づくりのついての考え方や進め方を整理し,環境教育の視点からとらえた食育の問題について実践的に検討を加えた。ここでは,食育は環境教育とも深くかかわっていることから,食生活の指導や食の安全・安心と環境教育との関連,エコライフの考え方や実際についてわかりやすく解説している。次に,実際に行われているさまざまな食材づくりの実際を紹介した。ここでは,単なる体験活動としてではなく,食育と結び付けているところに特色がある。

 また,子どもに話したい「食育の話材」を紹介している。ここでは,生活習慣病,脳の働きと食,カルシウム不足,おやつ,マナーや挨拶など,子どもにとってかかわりがあり,かつ身近な課題を30テーマあげ,「話材」としてコンパクトに紹介している。

 巻末には,「ガーデニング・環境教育に関するホームページ」を紹介した。


 いま子どもを健康に育てるということは,将来の社会づくり,国づくりを担う人間をつくることにつながる。食育の充実は,一人一人の国民としての人格を形成し,国家・社会の形成者を育成することに直結する重要な営みである。本書が各学校・地域で有効に活用され,食育の実践がさらに充実することを心から願うものである。

 本書の刊行に当たっては,全国各地の大勢の先生方のご協力をいただいた。たいへんお忙しいなかをご執筆いただいた先生方,貴重な資料のご提供をいただいた教育委員会や学校に対して,この場を借りてお礼を申し上げたい。

 また,本書の企画の段階から,貴重なご指導とご助言をいただいた明治図書出版の樋口雅子編集長,原稿の編集の労をとっていただいた原田俊明さんには心から感謝の意を表したい。


  平成18年11月   /北 俊夫

著者紹介

北 俊夫(きた としお)著書を検索»

福井県に生まれる。

東京都公立小学校教員,東京都教育委員会指導主事,文部省初等中等教育局教科調査官を経て,現在岐阜大学教授。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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