食育−学校でつくる食生活の基礎・基本3
学校給食を活性化する食育実践

食育−学校でつくる食生活の基礎・基本3学校給食を活性化する食育実践

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給食時間に食育を行う際のポイントや基礎知識、実践例を紹介。

食に対する安全や安心が社会問題になったり子どもにまで生活習慣病が、という深刻な事態を迎えているが、本書では、学校給食と食育との関連、学校給食において食育を実践する際のポイント、給食主任に求められる食育についての基礎知識について解説した。


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ISBN:
978-4-18-962314-4
ジャンル:
総合的な学習
刊行:
2刷
対象:
小・中
仕様:
B5判 245頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

もくじの詳細表示

まえがき
T 学校給食で食育をどう進めるか
1 学校給食の役割―これまでとこれから―
2 給食の時間における食育の内容
3 学校給食から広がる食育の方法
U 学校給食における食育実践のポイント
1 学校給食と食育
2 実践のポイント
3 今後の学校給食における食育実践の課題
V 食育を充実させる給食主任の役割
1 給食主任の役割
2 食に関する指導の充実
3 望ましい食教育を推進するために
W 学校給食と結び付けた食育の実践例
1 学校給食でする栄養指導
○牛乳を飲もう
(1) 食育の生きた教材
(2) 学校給食の献立を中心にした取り組み
(3) 給食から家庭へのアプローチ
○作っておいしく食べよう
(1) 学校給食の重要性
(2) 学校給食の充実
(3) 教科における給食指導の活用
2 学校給食でする健康教育
○秋の食べ物を見付けよう
(1) 健康教育のとらえ方と実践のねらい
(2) 「健康教育」実践の内容
(3) 実践の成果と課題
○健康な食生活のために
(1) 食と健康
(2) 偏食を減らすために
(3) 生活の仕方と病気の予防
(4) 健康づくりのための食生活「朝食と健康」
(5) アレルギー児への対応
3 学校給食でするマナー指導
○まず,あいさつから
(1) あいさつについての実践
(2) 箸の使い方についての実践
○手で食べる,箸で食べる
(1) 子どもが自ら身に付けるマナー指導
(2) 保護者の参観日を生かす
(3) 4年の実践から
4 学校給食(郷土料理)でする地域理解
○がめ煮(筑前煮)を食べる
(1) 郷土の食べ物と安全性
(2) 郷土料理と地域の食材
○復活!日生のサワラ
(1) 学校給食に郷土料理・食材を取り入れる意義
(2) 実践事例T
(3) 実践事例U
5 学校給食(行事食)でする和文化理解
○おせち料理
(1) 第1時:おせち料理と食文化
(2) 第2時:四季の食文化
○流しびな
(1) 郷土の文化を生かす
(2) 「食・植・触」の実践から
6 学校給食でする国際理解
○イギリスやインドとカレーライス
(1) 事例T:インドとカレーライス
(2) 事例U:外国の料理と日本料理
○世界の食事とマナー
(1) 箸の持ち方がよくない
(2) 「食事のマナー」の実践から
7 学校給食でする偏食指導
○アンケートの分析を生かす
(1) 給食をバランスよく食べるための指導
(2) 指導の実際
(3) 学習の様子
(4) 学習の結果
(5) 考察と今後の課題
○シールや給食カードを生かす
(1) 偏食指導のねらい
(2) 偏食指導の進め方
(3) 献立・調理の工夫
(4) シールと給食カードの活用
(5) 学級活動「何でも食べよう」
(6) 実施後の変化
8 学校給食とアレルギー問題
○アレルギーを理解しよう
(1) アレルギーと食事を考えるための指導
(2) 指導の実際
(3) 学習の様子
(4) 学習の結果と考察
○アレルギー対応食
(1) 食物アレルギー指導のねらい
(2) 食物アレルギー対応までの流れ
(3) アレルギー対応食の進め方
(4) 安全な給食のための態勢づくり
(5) 料理の内容が分かる献立表の工夫
(6) 食物アレルギーをもつ子どもの個別指導
(7) 日常生活における対アレルギー指導
9 バイキング給食でする食育
○バランスと適量を考えて
(1) 学校環境
(2) 本校での取り組み
(3) 指導の実際
○バイキング&カフェテリア給食
(1) バイキング給食のねらい
(2) バイキング給食実施のポイント
(3) 段階的に行うバイキング給食
(4) バイキング給食の事前指導
(5) 家庭科との連携で行う弁当バイキング
10 異学年合同給食でする食育
○なかよし給食
(1) 実施に当たって
(2) 実施までの流れ
(3) 指導の実際
(4) 当日の流れ
(5) 子どもの感想
(6) 実践して
○「もりもり賞」から「お別れ給食会」まで
(1) 本校の学校給食についての考え方
(2) 年間計画(異学年交流と食について)
(3) 実践内容
(4) 異学年交流(縦割り班)の実際
11 校長との会食でする食育
○校長室での招待給食
(1) 実施に当たって
(2) 卒業時の招待給食までの流れ
(3) 当日の流れ
(4) 招待給食の様子
(5) 子どもの感想
(6) 担任の感想
(7) 校長室での招待給食を終えて
○6年生との会食で食育のまとめ
(1) 事例T:給食で会食を
(2) 事例U:校長との教室での会食
X 資料:「栄養教諭」の創設

まえがき

 食べるという営みは,人間にかぎらず,いかなる生き物にとっても不可欠な行為である。生きていくための最低限の要件であり,このことが正常でないと,人としての健全な成長や発達は保証されない。また食べることは,もっとも安全で安心できるものでなければならない。このことはだれもがいだいている共通の願いである。人間の基本的な生活には,学ぶ,遊ぶ,楽しむ,仕事をする,寝るなどさまざまな行動があるが,「食べる」ことはいずれにおいても基盤となっている。食べることは体づくり,健康づくりの基本である。すなわち,食べる力は,生きる力を構成する重要な基本的な要素である。「食べることは生きること」である。

 すべての人間にとって共通である食べる行為は,人によって,家庭によって,地域によって,国によって,さらには民族によって,それぞれに違いがある。食材や食べる物,食べる方法,調理の仕方一つをとっても,けっして一様ではない。地域性と深くかかわっている。所変われば品変わるである。これらの違いがいま「よさ」として見なおされようとしている。また,食べるという行為には歴史性がある。時の変化とともに,変わってきた部分と頑固に守ってきた部分がある。とりわけ伝統という重みがある。それは食が一つの文化として確立されてきたからである。すなわち「食べることは文化」である。

 ところが,いま「食」にかかわって,人間の生活や健康をはじめ,文化や歴史,産業などさまざまな分野においてゆがみやひずみが生じてきている。食に対する安全や安心の問題が社会問題になったり,子どもにまで生活習慣病が話題になったりするきわめて深刻な事態を迎えている。そのため,これまでは取り立てて課題にならなかった「食に対する指導(食育)」が学校教育の新たな課題としてクローズアップされてきた。食育は子どもを含め,現代社会を生きるすべての人間に課せられている重要課題である。

 今後,各学校・地域においては,平成17年に食育基本法が施行され,その後食育推進基本計画が策定されたことにより,各分野での食育の実践が一層加速されるものと思われる。平成18年度は「食育元年」と命名される重要な年になる。


 本シリーズ『食育―学校でつくる食生活の基礎・基本』は,こうした社会状況を踏まえて,特に学校教育における食育の考え方や実践の方法等について提案することをねらいに企画されたものである。本シリーズは,次の4巻から構成されている。

 第1巻 『学校でつくる食育のカリキュラム』

 第2巻 『今必要な食育プログラムと教材開発』

 第3巻 『学校給食を活性化する食育実践』

 第4巻 『食材づくりと食育の話材』


 本書『学校給食を活性化する食育実践』(第3巻)では,学校給食と食育との関連,学校給食において食育を実践する際のポイント,給食主任に求められる食育についての基礎知識について解説した。

 これらの考え方や記述を踏まえて,学校給食と結び付けた食育の実践を紹介している。ここでは,栄養指導,健康教育,マナー指導,地域理解,和文化理解,国際理解,環境学習,偏食指導,アレルギー問題など食にかかわる具体的課題,さらには,バイキング給食や異学年合同給食など「給食の時間」の多様な形態について,学校給食の課題やこれからの新しい進め方について実践例を提案している。各学校では,これらをヒントにさらにユニークで楽しい学校給食が工夫されるものと期待している。


 いま子どもを健康に育てるということは,将来の社会づくり,国づくりを担う人間をつくることにつながる。食育の充実は,一人一人の国民としての人格を形成し,国家・社会の形成者を育成することに直結する重要な営みである。本書が各学校・地域で有効に活用され,食育の実践がさらに充実することを心から願うものである。

 本書の刊行に当たっては,全国各地の大勢の先生方のご協力をいただいた。たいへんお忙しいなかをご執筆いただいた先生方,貴重な資料のご提供をいただいた教育委員会や学校に対して,この場を借りてお礼を申し上げたい。

 また,本書の企画の段階から,貴重なご指導とご助言をいただいた明治図書出版の樋口雅子編集長,原稿の編集の労をとっていただいた原田俊明さんには心から感謝の意を表したい。


  平成18年11月   /北 俊夫

著者紹介

北 俊夫(きた としお)著書を検索»

福井県に生まれる。

東京都公立小学校教員,東京都教育委員会指導主事,文部省初等中等教育局教科調査官を経て,現在岐阜大学教授。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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