食育−学校でつくる食生活の基礎・基本2
今 必要な食育プログラムと教材開発

食育−学校でつくる食生活の基礎・基本2今 必要な食育プログラムと教材開発

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全教育活動のなかで食育を推進するための準備やプランを解説。

本書では、「学校における食育は全教育活動のなかで推進する」との考え方のもとに、食育プログラムの作成のあり方、食育にかかわる給食主任や栄養教諭、学校栄養職員の新しい役割についてそれぞれ基本的な考え方を示した。


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ISBN:
978-4-18-962210-9
ジャンル:
総合的な学習
刊行:
3刷
対象:
小・中
仕様:
B5判 160頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
T 全教育活動でする食育の考え方・進め方
1 生活科と食育との関連
2 社会科,理科,家庭科,体育と食育との関連
3 道徳,特別活動と食育との関連
4 その他の教科と食育との関連
U 食育のプログラムをどう立ち上げるか
―「食の自立」を目指すカリキュラム―
1 食育の意味を考える
2 消費者教育的観点からの食育
3 食の自立を支えるミニマムエッセンシャル
4 具体的なカリキュラムの例
5 子ども自身の学びをつくる
V 食育の推進と給食主任の新しい役割
1 食育の推進に当たって
2 「健康で安全な食生活の推進」に関する組織づくり(例)
3 学校給食の指導と各教科指導との関連
4 給食主任は,食育のコーディネーター
W 食育の推進と栄養教諭の役割
1 新たな取り組みへの視点
2 子どもへの個別的な相談指導
3 子どもへの教科・特別活動等における指導
4 食の指導に関する連絡・調整〜コーディネーター
X 「給食の時間」の食育・新プラン
1 「地場産品」や「郷土食」を取り入れた新プラン
2 「交流給食」と「体育(保健)との関連」を図った新プラン
3 「食品のグループ分け」を取り入れた新プラン
4 「べんとう給食」を取り入れた新プラン
Y 教科・道徳・特別活動での食育プログラム
1 「生活科」での食育プログラム
(1) 単元名「大豆で元気!」(2年)
(2) 単元名「おいもパーティー」(2年)
2 「家庭科」での食育プログラム
(1) 単元名「スペシャル料理を作ろう」(5年)
(2) 単元名「まかせてね!きょうのごはん」(6年)
3 「体育(保健)」での食育プログラム
(1) 単元名「毎日の生活と健康」(3年)
4 「道徳の時間」での食育プログラム
(1) 単元名「すばらしい日本の食文化」(4年)
(2) 総合単元「命をありがとう」(3年)
5 「学級活動」での食育プログラム
(1) 単元名「食事について考えよう」(3年)
(2) 単元名「バランスよく食べよう」(6年)
6 「委員会活動」での食育プログラム
(1) 単元名「『吉川ネギ』をおいしく食べよう」
Z 「総合的な学習」での食育プログラム
1 単元「人や地域を生かす」のプログラム(5年)
2 単元「地産地消のうどんを作ろう」のプログラム(6年)
[ これからの「学校給食」運営
―私はこう変えたい―
1 「給食指導の目標」の新提案
2 「学校栄養士の授業参画」の新提案
3 「献立の改善(個別献立を含む)」の新提案
4 「給食調理室の運営」の新提案
5 「保護者への啓発」の新提案
6 「給食だより」の新提案
7 「給食の食べ残しゼロ」の新提案
\ 食をめぐるディベート教材
―いま,どんな議論が必要なのか―
1 遺伝子組換え食品は是か非か(中学3年)
[1] 遺伝子組換え技術をめぐる諸問題
[2] ディベートのポイント
2 食に関するメディアリテラシーの問題とは何か(小学3年以上)
[1] 食育に求められるメデイアリテラシーの発想
[2] ディベート実践
3 わが国の農業政策の方向はいまのままでよいか(小学校高学年〜中学校)
[1] WTO(世界貿易機関)体制
[2] 日本の農水産業,農山漁村と消費者の抱える危機
[3] 新農業基本法(食料・農業・農村基本法)
[4] 新農業基本法農政のポイントと問題点
4 日本人の文化「捕鯨」を続けることは必要か(小学6年以上)
[1] 食鯨の人々は野蛮人か
[2] 鯨を激減させてきたのはだれか
[3] 「地球環境保護」のための捕鯨を含めた海洋資源管理は必要か

まえがき

 食べるという営みは,人間にかぎらず,いかなる生き物にとっても不可欠な行為である。生きていくための最低限の要件であり,このことが正常でないと,人としての健全な成長や発達は保証されない。また食べることは,もっとも安全で安心できるものでなければならない。このことはだれもがいだいている共通の願いである。人間の基本的な生活には,学ぶ,遊ぶ,楽しむ,仕事をする,寝るなどさまざまな行動があるが,「食べる」ことはいずれにおいても基盤となっている。食べることは体づくり,健康づくりの基本である。すなわち,食べる力は,生きる力を構成する重要な基本的な要素である。「食べることは生きること」である。

 すべての人間にとって共通である食べる行為は,人によって,家庭によって,地域によって,国によって,さらには民族によって,それぞれに違いがある。食材や食べる物,食べる方法,調理の仕方一つをとっても,けっして一様ではない。地域性と深くかかわっている。所変われば品変わるである。これらの違いがいま「よさ」として見なおされようとしている。また,食べるという行為には歴史性がある。時の変化とともに,変わってきた部分と頑固に守ってきた部分がある。とりわけ伝統という重みがある。それは食が一つの文化として確立されてきたからである。すなわち「食べることは文化」である。

 ところが,いま「食」にかかわって,人間の生活や健康をはじめ,文化や歴史,産業などさまざまな分野においてゆがみやひずみが生じてきている。食に対する安全や安心の問題が社会問題になったり,子どもにまで生活習慣病が話題になったりするきわめて深刻な事態を迎えている。そのため,これまでは取り立てて課題にならなかった「食に対する指導(食育)」が学校教育の新たな課題としてクローズアップされてきた。食育は子どもを含め,現代社会を生きるすべての人間に課せられている重要課題である。

 今後,各学校・地域においては,平成17年に食育基本法が施行され,その後食育推進基本計画が策定されたことにより,各分野での食育の実践が一層加速されるものと思われる。平成18年度は「食育元年」と命名される重要な年になる。


 本シリーズ『食育─学校でつくる食生活の基礎・基本』は,こうした社会状況を踏まえて,特に学校教育における食育の考え方や実践の方法等について提案することをねらいに企画されたものである。本シリーズは,次の4巻から構成されている。

 第1巻 『学校でつくる食育のカリキュラム』

 第2巻 『今必要な食育プログラムと教材開発』

 第3巻 『学校給食を活性化する食育実践』

 第4巻 『食材づくりと食育の話材』


 本書『今必要な食育プログラムと教材開発』(第2巻)では,「学校における食育は全教育活動のなかで推進する」との考え方のもとに,食育プログラムの作成のあり方,食育にかかわる給食主任や栄養教諭,学校栄養職員の新しい役割についてそれぞれ基本的な考え方を示した。

 これらを踏まえて,「給食の時間」における食育の新しいプラン,教科・道徳・特別活動,さらに総合的な学習の時間における食育のプログラムについて,それぞれ複数の事例を提案している。さらに,これらの学校給食の運営についての新しい提案(アイデア),食をめぐるディベート教材についても紹介している。


 いま子どもを健康に育てるということは,将来の社会づくり,国づくりを担う人間をつくることにつながる。食育の充実は,一人一人の国民としての人格を形成し,国家・社会の形成者を育成することに直結する重要な営みである。本書が各学校・地域で有効に活用され,食育の実践がさらに充実することを心から願うものである。

 本書の刊行に当たっては,全国各地の大勢の先生方のご協力をいただいた。たいへんお忙しいなかをご執筆いただいた先生方,貴重な資料のご提供をいただいた教育委員会や学校に対して,この場を借りてお礼を申し上げたい。

 また,本書の企画の段階から,貴重なご指導とご助言をいただいた明治図書出版の樋口雅子編集長,原稿の編集の労をとっていただいた原田俊明さんには心から感謝の意を表したいと思う。


  平成18年11月   /北 俊夫

著者紹介

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福井県に生まれる。

東京都公立小学校教員,東京都教育委員会指導主事,文部省初等中等教育局教科調査官を経て,現在岐阜大学教授。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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