- まえがき
- T章 幼児の知的活動とは
- 1 “よみ・かき・そろばん”の今日的意味
- 2 知的発達の考え方をめぐって
- 3 幼稚園教育の中の知的な生活
- 4 幼児期にふさわしい知的発達を考える
- U章 幼児の活動から知的体験へ
- 1 子どもの姿から保育を考える
- 2 様々な環境にかかわる さわる・ためす・考える
- V章 日案と活動例
- 1 日を記録すること
- (1)入園直後の3歳児
- (2)3年保育 4歳児 6月
- (3)4歳児 11月
- (4)2・3年保育 5歳児 10月
- (5)5歳児 11月
- W章 幼児の知的発達をめざして
- 1 実践を検証する
- 2 実践紹介
- (1)ある日の砂場
- (2)こだわりをもって
- (3)困った場面から役割が生まれて
- (4)順番をきめよう
- (5)劇を作る中で
- (6)「並べて遊ぶ」から「様々な発見へ」
- (7)色と光
- (8)楽器遊びの中で
- (9)ミニ四駆のコース作りから
- (10)長さの違いを確かめる
- (11)次々に遊びのイメージを広げていく5歳児
- (12)飼育動物とのふれあい
- (13)霜柱に出会うことから
- (14)光と影−映して遊ぶ
- (15)自然の発見−光・落ち葉
- (16)役割の理解
- (17)トラブル場面に出会って
まえがき
園庭で自分の好きな遊びを選んで,やりたい方法でひとり,または友達仲間とともに遊びに夢中の子どもたち。そこを自分たちのお気に入りの空間に仕立て,ごっこをして群れて遊んでいるひとかたまり。ジャングルジムやすべり台で高い低いや視野の変化を楽しんでいる子ども。まわりを見まわしてふらふら所在ない子ども。このような子どもの姿は,ごく日常的で見なれた当たり前の保育の中の一場面です。
幼児の「知」は,遊びで育つと言われていますが,上記の自由な遊びは,保育者によっては日々繰り返されている価値の低いもの,活動と活動の合間などととらえて「知」を育てる教育的意味を見いだせないこともあります。
本書では,遊び・学び・生活の一こま一こまを掘り起こして「知的発達」という視点で意味づけていきたいと考えてみました。
『知の育ち』と言うとき,現在では,「よみ・かき・ソロバン・インターネット」などと,特定のことを学ばせて,早く大人の文化,大人が暗黙に了解し合っている「よき子どもの理想像」に近づけたいと願い,幼児の発達にふさわしい知的活動をかがげる幼稚園と議論になったりしています。幼稚園側も,保護者の願いを受け入れて日案を分断的に立案したり,「知」を取り出したプログラムを時間割に組んだりしてニーズに合わせたいと試みます。
本書では,「ただ遊ばせているだけ」と言われる内容に専門家としての見識を示したり,「ただ遊ばせているように見える」活動に,発達的な意味や「知」へのアプローチをして実践的に明確にしたいと考えました。また,教育計画に組み込んでグループや学級全体で行う活動の中の「知」を育てる保育をあえて取り出して内容や方法を再考し新しく意味づけてみようと試みました。
いろいろな論がある「知」を育てる保育ですので,読者の方々のご批判・ご助言をぜひお願いいたします。
最後に,これからの幼稚園にとって避けて通ることのできない,「知的発達」という課題に取り組むようお話しいただきました明治図書編集部の仁井田康義氏にお礼申し上げます。
2002年8月 執筆者代表 /井上 初代
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明治図書
















