- まえがき
- 1 所定教育時間の終了後に行う教育活動
- 預かり保育の意味について
- 1 所定教育時間の終了後に行う教育活動の問題点
- 1 「預かり保育」として考える
- 2 預かり保育の基準
- 3 預かり保育と時間
- 4 預かり保育と教師
- 5 預かり保育の日数
- 2 預かり保育の展開法とその利点
- 1 預かり保育と教育
- 2 預かり保育の展開法
- 3 預かり保育のための環境と保育計画
- 3 まとめ
- 2 預かり保育の実践
- 〜デイリープログラムのアイデア〜
- 4月〜5月
- つくって遊ぼう★郵便週間/ 母の日
- 先生と遊ぼう★かくれんぼジャンケン
- 先生と外で遊ぼう★とーんで とんで★ペットボトル・ボーリング
- みんなと遊ぼう★さわってさわって遊ぼう★お部屋でゲートボール★ワンワン・ニャンニャン大合唱
- みんなと外で遊ぼう★負けたらたいへん
- 歌って遊ぼう★たけのこいっぽんおくれ
- 自然と遊ぼう★植物を使って
- 先生と一緒におやつをつくろう★食べられる春の野草
- 6月〜7月
- つくって遊ぼう★時の記念日/ 父の日/ たなばた
- みんなと遊ぼう★ゴロゴロ ドン/ トントン・おばけさん★かくしたかずはなあに
- みんなと外で遊ぼう★くるくる鬼ごっこ/ できるかな★おおきな水でっぽう/ 水でっぽうで遊ぼう
- 歌って遊ぼう★たけやぶの中から
- 8月〜9月
- つくって遊ぼう★お盆/ 野菜でつくる★お月見(十五夜)/ うさぎのもちつき
- プールで遊ぼう★水中ジャンケン/ 水中ケンケン/ ふわふわ競争
- みんなと外で遊ぼう★自分たちでテントづくり
- おばあさん・おじいさんと一緒に遊ぼう★敬老の日/ ころころボール★お部屋の中で釣り大会
- みんなと遊ぼう★右手と左手
- みんなと外で遊ぼう★どこいき/ チョ・コ・レ・ー・ト
- 先生とたのしい歌遊び★カレーライスのうた
- つくって食べよう★カレーライスづくり
- 10月〜11月
- つくって遊ぼう★鉄道記念日/ でんしゃをつくろう★ハロウィン/ 七・五・三
- みんなと遊ぼう★こぶたくん,手をあげて/ ねことねずみさん★リスとオオカミさん/ 指をつかまえろ
- みんなと外で遊ぼう★だるまさん/ 島から島へ
- 近くの公園で遊ぼう★棒をたおすな/ 石あてゲーム
- 自然と遊ぼう★首飾りや版画
- 先生とたのしい歌遊び★かりうどさん
- 先生と一緒におやつをつくろう★おばけのクッキー
- 12月〜1月
- つくって遊ぼう★クリスマス★たこづくり/ こまをつくって遊ぶ
- みんなと遊ぼう★めかくしチャンバラ/ サンタの福笑い★ねずみとり/ ばんごうたたき
- みんなと外で遊ぼう★ポンポンゲーム★ゴム跳び1/ ゴム跳び2
- 先生とたのしい歌遊び★あぶくたった/ たわらはごろごろ
- 先生と一緒におやつをつくろう★ジンジャークッキーづくり★ホットケーキを焼く
- 2月〜3月
- つくって遊ぼう★段ボールの鬼で遊ぶ★いろんなおひなさま
- みんなと遊ぼう★ハンカチとり/ 王様ジャンケン★とーんだ とんだ/ 新聞紙で遊ぶ★オハジキ落とし
- みんなと外で遊ぼう★ジャンケン馬のり/ 前の子をつかまえろ★くまさんなわとび
- 先生とたのしい歌遊び★なかなかホイ
- 先生と一緒におやつをつくろう★てまり寿司/ 五色ひなあられ★プチ・チョコレート
はじめに
この本は,「預かり保育」で,何を,どのように活動したらよいか,具体例を豊富に集めたものです。
本論に入る前に,「預かり保育」の背景について少し説明しておくことにしましょう。
平成10年12月に改訂された幼稚園教育の教育課程の基準を示す幼稚園教育要領の第3章「指導計画作成上の留意事項」2−(6)に「地域の実態や保護者の要請により,教育課程に係る教育時間の終了後に希望する者を対象に行う教育活動については,適切な指導体制を整えるとともに,第1章に示す幼稚園教育の基本及び目標を踏まえ,また,教育課程に基づく活動との関連,幼児の心身の負担,家庭との緊密な連携などに配慮して実施すること。」とあります。
「教育課程に係る教育時間の終了後に行う教育活動」とは,すなわち「預かり保育」のことで,わが国の教育の在り方を審議する中央教育審議会でも「少子化と教育に関する小委員会」の報告の中に「預かり保育」として述べてあります。
少し引用してみましょう。
「子どもを産み育てることへの不安や負担感の解消に資する観点からも,地域の実情に応じて,満3歳に達した時点での幼稚園入園に係る条件整備を行ったり,幼稚園における預かり保育や幼児教育相談の実施等地域の幼児教育のセンターとしての機能を活用した子育て支援活動を推進したりすることが重要である。」
このことからも明らかなように,これからの幼稚園では,「教育課程に係る教育時間」(本書では,所定教育時間と記しています。)が終わった後の時間や,長期休業(夏休み,冬休み,春休み)の期間にも,地域の実態や保護者の要請を前提としているとはいえ,様々な活動をすることが求められています。
新幼稚園教育要領「指導計画作成上の留意事項」2−(5)に,幼稚園の運営に当たって,幼稚園が地域の幼児教育のセンターとしての役割を果たすよう努めるべきことが明記されています。この点については,ここでは触れませんが,預かり保育とも関連していますので,十分配慮していかなくてはなりません。
本書では,「預かり保育」では何をどうすればいいのか,「預かり保育」をする上での諸問題と通常の保育との関連の問題について,@章で取り上げ,考えてみました。
この中で何度も触れていますが,幼稚園に通う子どもたちは,一定の時間を幼稚園で過ごし,その後,家庭という安定した環境で過ごすことによって,心や体を休めたり,情緒の発達を培っていくことはだれも疑うことのないことです。
そこで,「預かり保育」の場でも,預かり保育を利用する子どもたちが家庭的な雰囲気の中で過ごせるようにすることを第一に考えなくてはなりません。
本書では,預かり保育の利点を生かすことを考えた保育の展開を考えてみました。
特に本書の構成で考えたのは,各月ごとに展開したい遊びや活動をまとめ,その月に行われる行事とか○○記念日とかを取り上げて,その意味を子どもたちと一緒に考えていったり,それにまつわる話を子どもたちにも分かるようにお話ができるように工夫することでした。
そして,その行事や記念日にかかわるものを作ることで,せっかくの行事や記念日を印象的なものにし,子どもの心を豊かに育む一助となるようにしました。
しかし,ここで紹介した遊びの展開だけで,「預かり保育」が可能かというと,決してそうではありません。何度も本文の中で述べていますが,子どもたちが安心し,ゆとりのある時間を楽しく過ごすことができるようなプログラムを各園が実態に合わせて考えていかなくてはなりません。
「預かり保育」が,その子にとってすばらしい教育時間になることを祈りながらまとめてみました。本書がみなさんのお役に立つとすれば,こんなにうれしいことはありません。
2000年10月 /水野 豊二
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- 明治図書