- 幼児の「園外・山のくらし」保育の意義
- 1 環境の広がりと保育
- 2 日常保育と園外保育のつながり
- 自然を感じる園外保育/ 社会の仕組みや事象を感じる園外保育/ 七夕とは
- 3 園外保育の目標とねらい
- 園外保育は何のために行うのか/ 具体的な展開とは/ どう考え,展開すればよいか
- 4 「園外保育」と「山のくらし」のつながり
- 5 「山のくらし」の目標とねらい
- 「園外・山のくらし」保育の運営
- 1 ねらいをはっきりともつ
- 2 目的地を選ぶには
- 3 安全への配慮
- 4 「園外・山のくらし」保育から日常保育へ
- まとめ
- 幼児の「園外・山のくらし」保育の実践@
- 【園外保育編】
- 〈保育室を飛び出そう〉
- 自然公園に行こう
- 水族館へ出掛けよう
- 小川に出掛けよう
- 野原に飛び出そう
- 〈いろんな所へ出掛けよう〉
- 史跡を探検だ(お城見学)
- 小学校はどんなとこ
- 農場へ遊びに行こう
- 〈あれは何,どうしてなの〉
- 親子でウォークラリー
- さあ,ウォークラリーを始めよう
- みんなで地図を作ろう
- 幼児の「園外・山のくらし」保育の実践A
- 【「山のくらし」保育編】
- 日程表作成の条件
- 日程表のモデル
- 「すみか」を作ろう
- 「すみか」で食事をしよう
- ランタンを作ろう
- よく燃えるカマドを作ろう
- 立ちカマドを作ろう
- 上手なタキギの燃やし方
- みんなで料理をしよう
- カレーライスを作ろう
- 野菜サラダを作ろう
- トン汁(ブタ汁)を作ろう
- ごはんを炊こう
- ロープと木立を使って冒険村を作ろう
- ロープワーク
- 野外劇で楽しもう
- 〈夜の野外劇場〉 スライド劇
- 〈夜の野外劇場〉 シルエット劇
- キャンプファイヤー
- *プログラムの例
- *キャンプファイヤーの準備
- *キャンプファイヤーのタキギの組み方
- *キャンプファイヤーの係と任務
- *点火方法の工夫
- 冒険遊び(川遊び)
- 夜の探検(ナイトハイキング)
- お星さまを探そう
- 夏の星座の話
- 「山のくらし」を成功させるためには
- 1 保護者への事前説明
- 2 関係者への協力の依頼
- 3 「山のくらし」に関する子どもの調査
はじめに
この本は,『自然とあそぼ・パッケージゲーム@園庭・地面で遊ぼう』と『自然とあそぼ・パッケージゲームAフィールド・ゲームで遊ぼう』の完結編としてまとめたものです。
『園庭・地面で遊ぼう』では,子どもたちの最も身近な環境である園庭・地面を使い自然とのかかわりを考え,その考え方を更に広げ,『フィールド・ゲームで遊ぼう』では園外保育や広い野外で楽しむことを考え,理論編では野外遊びとしての意義を考えてきました。
そこで,この本では「園外保育・山のくらし」の本来あるべき姿としての目標やねらい・内容についてまとめてみました。この3冊の本の共通テーマは『パッケージゲーム』です。
子どもたちは,様々な環境に包み込まれて生きていますし,その環境と相互作用を何度も繰り返し行うことによって,様々な発達が培われてゆくのです。
この環境とは,子どもたちが心地よく感じる環境でなくてはならないことを本文の中に書き込んでおきました。
子どもが心地よく感じる環境ですので,子どもたちが自分の能力や知力を使い,自分の目の前にある環境に自発的に働きかけ,そのことをやりとげることによって達成感や満足感を味わうことができるのです。
そのためには大人(保育者)として,どのような環境を整え,提供したらよいのかを考えなくてはなりません。
このことについては『パッケージゲーム』の理論編「パッケージゲームを行う環境と活動の基準」を参照してください。
実践編では,他の2冊とは多少内容が違うようにまとめてみました。
例えば,「園外保育」では,なぜ園外保育を行うのか,慣例的に行うのではなく,子どもにつけたいものを考え,展開しなければならない活動を紹介しました。
また,「山のくらし」保育では,ロープの結び方や星の見方,飯盒(はんごう)炊飯の方法,キャンプファイヤーなど少し専門的な知識を大人(保育者)がもってもらいたいと願って紹介しました。
幼児の野外活動は,安全面などの問題からどうしても活発な活動を避ける場合があります。そのためにも,私たち大人(保育者)は野外活動の生活技術を身につけることにより,子どもたちに安全な環境を与えることができるのです。できる限り子どもたちが自然の中に飛び出し,その自然の中に身を置くことが心地よく感じる環境と活動を考え,実践をまとめてみました。
この本のみでなく,3冊の本をぜひお読みになり,自然活動としての『パッケージゲーム』本来の意義を考えてみていただきたいと思います。
最後に,レイチェル・カーソンの言葉を引用して,もう一度子どもたちにとって私たち大人(保育者)を考えてみます。
生まれつき備わっている子どもの「センス・オブ・ワンダー,神秘さや不思議さに目を見はる感性」を,いつも新鮮に保ちつづけるためには,私たちが住んでいる世界の,喜び,感激,神秘などを,子どもたちと一緒に再発見し,感動を分かち合ってくれる大人が,少なくとも一人,そばにいる必要がある。
/水野 豊二
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- 明治図書